それぞれの『矜持』
以前だったらあっさりスルーしていたと思うんですけど、今回はムカムカして仕方ないんですよね。
プロ野球開幕直前に、こんなニュースがありました。
オープン戦で不調だった巨人の新外国人のオドーア選手が開幕一軍メンバーから外され、二軍での調整を通達されたところ、それを同選手が受け入れず退団しました。
これを見て『矜持』という言葉が浮かび、思い出したことがあります。
先日、ある先輩に質問されたんですよ。
以下、彼の質問内容と私の答え。そして、その際の私の偽らざる心中です。
Q「ようかんさんは高学歴ですが、警備員ではもったいなくないですか?」
A「いやあ。どうですかね」
(「ん?別にそうは思いませんけど」)
Q「奥さんからはこの件で特に何も言ってこないんですか?」
A「いやあ、特に」
(「『この件』って何よ?別に言われてませんけど。てか、それは夫婦の問題であなたに関係なくないですか?」)
Q「お子さんたちは知っているんですか?」
A「はい」
(「もちろん知ってますけど。何を隠す必要があるんですか?」)
私も昔とは違いますから、もちろん言葉や態度に表しはしませんでしたが、心中「なんなの?この質問」って腹が立ったし、それより何より凄く悲しかったんですよね。
私が警備員になって3年。
どの世界にもいろんな方がいますから、嫌な思いをしたことももちろんありました。
ただそれ以上に、先輩方との交流の中でたくさんの心温まる経験をさせていただいた感謝の思いの方が断然強いんですよ。
だから、今回の質問はそんな素敵な先輩方や家族のこともまるごとバカにされたような気がして、とても嫌な気分になりました。
そして、ここからが1番言いたいことです。
このような質問を人に投げ掛けることで言われた人のみならず、警備員である自分自身をも傷つけ、貶めてしまっていることに、先輩はなぜ気付けないんでしょう?
そこがもう、私は悲しくて悲しくて仕方がないんですよ。
先輩もこれまでの長いキャリアの中で仕事についてバカにされたり、傷つくこともたくさん言われてきたのかもしれません。
でも、そのことであなたが積み上げてきたものってなくなってしまうんですかね?
何の仕事だって、長く続けることは素晴らしいし、誇らしいことですよ。
こんな大切な『宝物』ないじゃないですか?
だから、それがなくなる訳がないんですよ。ホントに。
責める気はないです。
でもこれから人として、警備員として生きていくにあたって、そんな卑下した心持ちでいたら「もったいない」気がもの凄くするんですよ。
オドーア選手も。
2軍の選手たちと一緒にされるのって、そんなに嫌ですかね?
確かに、中にはもう1軍への昇格を半ば諦めてチャラチャラとくすんだ目でプレーしている選手もいるのでしょう。
でも一方で、「憧れのプロ野球で1軍で活躍したい」と目をキラキラさせて懸命に練習に取り組んでいる選手もいるんですよ。
その人たちと一緒にいることで、オドーア選手が今後のために得たであろうものは決して少なくなかったと思うんです。
違いますかね?
このニュースには続きがあって、
巨人退団からわずか10日ほどで、結局彼はヤンキースとのマイナー契約に合意しているんです。
こういうのを見ると、私はどうしても「おいおい。そっちの2軍はOKなんか~い」と、ツッコみたくなっちゃうんですよ。
予想外の扱いに、己の矜持を保つために彼なりに必死に動いた末なんでしょうけど、ちょっとやっていることがしっちゃかめっちゃな気がするんです。まあ、ご本人が1番わかっているとは思いますけど。
慣れない異国の地で葛藤があったのだろうことは理解しますが、1度「日本でやる」と決めたからにはせめて1年くらいは頑張れなかったのかなあ。
先輩とオドーア選手。
それぞれの矜持の形があり、「ここは譲れない」という線は基本的に不可侵であり、他人の私がとやかく言うのはおかしいのはわかっています。
でも2人の「人としての在り方」が、私はどうしても好きになれないんですよ。
何でこんなにムカムカ、エキサイトするのか?の理由はわかっています。
2人の姿を通して「ほんの少し前の自分」を見ているからです。
ホント、己の「ねじれた矜持」を保つためには手段を選ばず、不貞腐れ倒して仕事していましたから。
この前、私の職場近くに「行きたい猫カフェがある」とのことで、ママと息子たちがそこに行く前に少しだけパパの『職場見学』をしてくれたんですよ。
危ないですからちょっと離れた歩道橋の上からパパの仕事ぶりを見て、すぐ目的地へと向かって行きました。
嬉しかったですねえ。
見られてる間、誘導棒を持つ右手にどんどん力が漲っていくのを感じました。
人生で1番「誇り高く」在れている今の自分を見てもらえて、高揚したんだと思います。
だいぶ愚痴っぽくなりましたが、職場見学の時の喜びを忘れず、「真の矜持」を持ち、職場の空気を明るく変えていければと思っています。
先輩も一緒に頑張りましょう。
そして、オドーア選手も幸運を祈ります🌈
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