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第11回初心者のための機動戦士ガンダム解説『ガンダム誕生』

 戦争は膠着状態に陥りましたが、その間にもジオン公国軍は新型MSの開発や潜水艦隊の結成、初のニュータイプ研究機関となる“フラナガン機関”の設立など戦力拡充に注力していました。

 詳しくは前回の記事をご覧ください。

●エネルギーCAPの確立

 U.C.0079年7月、地球連邦軍は“エネルギーCAP”という新技術を確立しました。“CAP”とは“Capacitor(キャパシタ)”の略で、縮退してメガ粒子に変化する寸前のミノフスキー粒子の蓄積と放出を行うための装置です。

 これにより、ミノフスキー粒子をメガ粒子へ変化させるためのエネルギーを大幅にカットすることができるようになったため、MSでも携行可能なビーム・ライフルやビーム・サーベルといったビーム兵器の実用化に成功しました。

 公国軍の水陸両用MSやMAに搭載されたメガ粒子砲は、ジェネレーター直結式となっており、ミノフスキー粒子からメガ粒子への変化を一から行っています。そのため、高出力ジェネレーターが必要となり、機体の大型化を招いたり、冷却システムやジェネレーターへの負荷という問題を抱えていたのです。

 ビーム・ライフルやビーム・サーベルは対MS戦において、非常に有効であったため、後のMSの標準装備となり、今後の戦争の歴史を大きく塗り替えていくことになります。

●プロトタイプガンダムの完成

 同月、連邦軍は遂に“RX-78 プロトタイプガンダム”をロールアウトします。コスト度外視で最新技術を詰め込み、使用するパーツも高品質なものを厳選して組み上げた結果、機動性や運動性、耐弾性など、その性能は公国軍のMS-06を凌駕していました。

 RX-78は最初に2機生産され、稼働試験が行われました。そのデータをフィードバックする形で生産された3号機は“RX-78-2”の型式番号が与えられ、後に1号機と2号機も同タイプに改修されることになります。一般的に“ガンダム”と呼ばれるのがこのモデルです。

●ホワイトベース進宙

 さらに同月、連邦軍は初のMS運用艦となる“ペガサス級強襲揚陸艦”の2番艦“ホワイトベース”を進宙させています。つまり、武装や設備などを除いた大枠が出来上がり、航行が可能になったというわけです。

 ちなみに1番艦である“ペガサス”は建造中にエンジン部の問題が発覚し、改修作業に時間がかかったため、後から着工された2番艦の方が先に竣工することになります。

●RX-79計画の始動

 反攻作戦に向けて、着々と準備を進めていく連邦軍でしたが、実際に現場で戦う兵士たちはそんな悠長なことを言っていられませんでした。一刻も早いMSの実戦配備を求めていたのです。

 連邦陸軍はRX-78開発の際に規格落ち、不採用となったパーツを使用して、独自のMS開発を進める“RX-79計画”を発動しました。こうして、開発されたのが“RX-79[G] 陸戦型ガンダム”です。

 これに伴い、“極東方面軍第1機械化混成大隊”(通称“コジマ大隊”)が編成され、実験的にMSの先行配備が進められました。

●欧州戦線での反転攻勢

 連邦陸軍がここまでMSの早期配備を求めたのには理由がありました。欧州戦線では、公国軍の侵攻を前に後退を余儀なくされ、7月25日には遂にドーバー海峡目前にまで追い込まれてしまいました。陸軍はそれだけ苦しい戦いを強いられていたわけです。

 翌日、残存戦力を集結させて、反転攻勢を試みます。ハーマン・ヤンデルが61式戦車でMSを3機も撃破するという活躍を見せましたが、結果的に連邦陸軍は大敗を喫し、戦力の半数を失うことになります。

●次期主力MSの選定

 一方、公国軍はMS-06に代わる次期主力MSとして、MS-11の開発を進めていましたが、その開発は大幅に遅延していたため、完成までの繋ぎとして、7月末に新たな主力MSを決めるコンペティションが行われることになりました。

 このコンペでは、ジオニック社のMS-06R-1Aに更なる改修を加えた“MS-06R-2 高機動型ザクII”とツィマット社のMS-09を空間戦闘用に改修した“MS-09R リック・ドム”が対決することになります。

 性能面ではMS-06R-2が上回っていたのですが、コストや生産性、操縦性などの問題からMS-09Rの方に軍配が上がり、次期主力MSとして、量産されることになります。

 このコンペが行われた後、開発の遅延していたMS-11の型式番号は別の機体に譲ることになり、新たな型式番号MS-14が与えられました。

 

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