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お節料理のお話

#50代 #女性 #食生活 #食生活を考える #お節料理

お節料理の思い出


50年ほど昔のお話です。
スーパーなどでお重詰めのお節が売り始めたころのお話です。
 
 
母は誕生日ケーキはケーキ屋さんに予約する人でした。
クリスマスケーキは、25日に売れ残りを安売りするからその時に半額になったものを買うという人でした。

そしてお節料理のカタログを私が見つけたとき、母は言いました。
買わなければいけない物では無いのだから、買わなくても良いもの」だと言いました。
その時から私は、お重に詰めたお節料理にある種の憧れを持つようになったのです。

ある年の年末に母はお重に詰めたお節料理を買ってきました。
重箱の上には中身の写真が載っています。
カタログで見た一番安いランクの物でした。
私の中では中央に入っているエビの含め煮が一番食べたいものでした。

すぐに食べたいと思ったのですが、母が「これはお正月に食べるものだから」と言いその日は食べることが出来ませんでした。
しかし・・・
お重を開いてみてエビの席に入っていたのは瀬戸物のエビでした。
期待値が高かっただけに意気消沈です。

今思えばいくつかの事が推測できます。
まだ養殖などあまり普及していない時代です。
冷凍技術や輸送インフラもあまり整っていない時代です。
エビが思うように確保できず、急遽焼き物屋さんがエビを作ったのでしょう。
その時からしばらくの間、私は食べれないエビなどお重に入れるな!と言っていました。

ある時伯母が私に聞きました。
「バランやお醤油の入った魚の容器は良いのか?」と言ったのです。
私は、「間仕切りや醤油入れと言う仕事をしているから良いのだ」と答えました。

エビの入らないお節は煮豆と佃煮中心の地味なものでした。
甘いものが多く子供の私には美味しいと感じることが出来ませんでした。

母が作るお節


母は普段の食事はご飯とお味噌汁を用意するだけで、その他はお総菜屋さんから買ってくる人でした。
普段そこそこにおかずを作る人ならばともかく、普段ほとんど台所をしない人です。
それなのになぜかお節料理だけは、何種類か作っていました。
滅茶苦茶偏食な人だったので、好物だけは作れたのかもしれません。

母のお気に入りは甘く煮た豆です。
お正月には黒豆を使用することが多いですが、母の好みは金時豆やささげでした。
正直、私はこの煮豆が好きではないです。
食べれなくは無いのですが、1食で3粒あれば十分です。

お煮しめもよく作っていました。
母が作るお煮しめは、人参、椎茸、かまぼこ、ごぼう、こんにゃくが入っていました。
茹で卵を入れることもありました。

昆布巻きも作っていました。
身欠きにしんを米のとぎ汁で戻して作ります。
私も何回か作ったことがあります。
母が作るお節料理の中で、私が好きなものはこのお煮しめと昆布巻きでした。

田作りも昔は母が作っていました。
そして一番最後まで残る物でした。
母もあまり好きではないお節料理だったようです。
私も食べなさいと言われるから1回に3匹くらい食べて、食べたよと言っていました。

ある年、母が言いました。
作っても残るからどうしようかと。
私は、家で作ると鍋いっぱいになって食べきれないのだから、食べたいものだけ作ればよいと言ったのです。
どうしても無いと寂しいのであれば、いつものおかずのように出来たのを買ってくれば良いと言ったのです。
この会話があった日から、我が家のお節には田作りが無くなりました。
私は小魚が嫌いなのではなく、あの飴に絡めた魚が嫌いだったのです。

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母の好みと私の好み


母は本当に何を食べて生きているのかわからないような人でした。
滅茶苦茶偏食な人でした。
お味噌汁の具はいらないから汁だけほしいと祖母に言い怒られたそうです。
私はそういう点でいえば真逆の好みです。

母の年越しそばの好みは「ざるそば」または「かけそば」になります。
つまりだし汁と蕎麦と薬味が少々になります。
私は忙しいときはこれでも良いのですが、汁に野菜がたっぷり入ったものが好きです。
母に言わせると、田舎臭くて嫌なのだそうです。

七草の時に母が作るものは、野菜を7種類入れた汁でお雑煮を食べていました。
私は7種類とは言わないからとにかく野菜たっぷりの汁で食べたかったのです。
当然ながらお雑煮の好みも母の好きなのは、だし汁にかまぼこが入っているお澄ましです。
私は大根、人参、その他野菜がたっぷり入ったお醤油味の汁です。

今思い出すと、私がスーパーでアルバイトをしていて初めて紅白なますを知った気がします。
私は調理部の人に作り方を聞きました。
その時言われたのです。
お母さんは作らないのか?と。
母を知っている調理部の人が「**さんはやらないよね。」と笑っていました。
考えてみれば、酢の物は嫌いだったようでほとんど家では食べませんでした。

今年私が用意したもの


大晦日のお蕎麦はやっぱり大根、人参、椎茸を入れた醤油味の汁でした。
今年は巾着卵を作り、それをそばつゆの上に乗せました。
写真は撮り忘れたのでありません。

巾着卵の作り方

油揚げ 2枚
卵 4個 
水 100cc
濃縮麺つゆ 大匙2
砂糖 大匙1

油揚げを油ぬきして卵を入れ口を閉じる
煮汁を作り沸かす
巾着を入れ10分ほど煮て卵に火を入れながら味をしみこませる

伊達巻

母は絶対に買おうとしなかった伊達巻です。
でも黄色と茶色の色合いと甘い味が幸せな気分になります。
絶対欲しいものです。
自分で作ることも可能ですが、私はいつも買っています。

さつまいものパイナップルきんとん

母の好みは煮豆なのですが、甘い甘い煮豆は私の好みではないです。
きんとんも昔は嫌いでした。
私が中学生ぐらいのころ、料理研究家の方がさつまいもとパイナップルのきんとんを出していました。
試しに作ってみて私の好きな物の1つになりました。

さつまいもを切って水にさらす
鍋に芋とひたひたの水を入れる
火にかけ水がほぼ無くなるまで蒸し茹でする
パイナップルの缶詰の汁だけを入れる
とろりとするまで煮詰める
味見をして砂糖で味を調える
4つ割りにしたパイナップルを加え火が通ったら出来上がり

昆布巻き

絶対欲しいものです。
昨年は業務スーパーの物を買いました。
今年は別のメーカーの物にしました。
業務スーパーには1年中売られているので食べ比べてみようと思ったのです。
ふじっこだったように記憶してますが、あまり変わらないというのが感想です。

お煮しめ

冷凍のミックス野菜とこんにゃくを煮ました。
作りながら、野菜の下ごしらえが昔は大変なんだと実感しました。
出来上がったものを1000㏄の保存容器に詰めながら、このくらいの量でちょうど良いと感じました。
鍋1つ煮ても食べきれません。

元旦の朝

元旦の朝のメニューはお汁粉(正確にはぜんざい)とお味噌汁です。
お正月の時だけ食べる、ごぼうと焼き豆腐のお味噌汁です。
甘いお汁粉を食べた後、通常の半分のお味噌汁が美味しいです。

ぜんざい

缶詰のゆで小豆を使用しました。
缶と同量の水を加えてひと煮立ちさせて出来上がり。
ちょうどよい分量で良いです。
昨年はレトルトを使いましたが、こちらでも良いと思いました。

紅白なます

当初自分で作る予定でした。
漬物の小さな小袋で売られているものを見つけ、それを買ってきました。
自分で作ったらすごくたくさん作ってしまいます。
そんなに量欲しいものではないので、これで十分と思いました。

お節らしいメニューはこんな感じでした。
その他に上生菓子とお抹茶も頂きました。
上生菓子を用意したらやっぱりちゃんとお茶も点てないと、と思い35年ぶり?に茶筅をふるいました。

茶道はいろいろあって好きではないのですが、お茶碗と茶筅、茶杓があればお茶を飲むことは可能です。
最低の道具だけそろえてお茶を点てて頂きました。

冷凍庫、冷蔵庫に材料だけはいろいろ買ってあるので、あとは食べたいときに食べたいものを作りながら食べようと思います。

スーパーのお節コーナーを見て


今年は買いませんでしたが、やはりお重に入ったお節に憧れがあります。
エビの含め煮があったら買おうと思いました。
残念ながら私がイメージしたものは売ってなく、小さなエビの佃煮がありました。

今年初めて見たのが9個の仕切りがあり、その中に煮豆やその他の物が詰めてありました。
お節料理が完全に無しになるのはとても寂しいです。
でも年齢を重ねたとき、好きな物だけ買ってくるのも悪くないかな?と思いました。


最後まで読んで頂きありがとうございます。


読んでいただきありがとうございます。 アトリエを無事引っ越すことが出来ましたが、什器等まだまだ必要です。 その為の諸費用にあてさせていただきます。