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パーマカルチャーが目指すもの

はじめまして、もえんです。
パーマカルチャーについて絶賛勉強中で、現在は神奈川県藤野にあるPermaculture Center Japanと、静岡県浜松にあるフォレストガーデン富塚にてコースを受講しています。

PCCJデザインコースの同期である、はさみにお誘いいただき、このアカウントのメンバーに仲間入りしました。

今回は「パーマカルチャーの目指すもの」という大きなテーマについてお話ししたいと思います。

パーマカルチャーはゴールがない?

結局パーマカルチャとは何なのか?どんな地球や社会を目指しているのか?ということを最近は常々考えています。

いろいろな方とお話するなかで薄々感じているのは、パーマカルチャーが目指すものと言えば、「永続的な」「豊かな」「健やかな」などと言った形容詞であって、「〇〇がある場所」、「△△をするコミュニティ」と言った名詞動詞的なビジョンではないのかもしれないということ。

コンポストトイレがあればパーマカルチャー、すべて自給自足できていればパーマカルチャーという話ではないし、絶対的な「正解」も「答え」があるわけでもない。

土地を観察して、周りの生き物や、関わっている人たちと協力して、その時、その場所や人が豊かであれる、豊かでい続けられる、その場所特有の「答え」をデザインするのがパーマカルチャーなんだと思います。そういう意味で、完成形も終着点もなく、常に動的に変化し続ける、試行錯誤し続けるのが正解なのかもしれません。


生態系と、人の営み

パーマカルチャーの父、ビル・モリソンの本を読んでいてもGoal、Objective、Visionというキーワードはほとんど登場しません。語られるのは、哲学や指針だったり、原則がメインであるという印象です。

「ゴール」に近い表現で発見できたのがこちら:

The aim is to create systems that are ecologically sound and economically viable that provide for their own needs and do not exploit or pollute, and are therefore sustainable in the long term.
(パーマカルチャーが)目指すのは、生態学的に健全で、経済的に成り立つシステムを作ることである。そのシステムは自らのニーズを満たし、搾取や汚染をせず、そのため長期にわたって持続的なものである。

Introduction to Permacultureより

ここで私が最も興味深いと感じたのは「経済的に成り立つ」という部分でした。なんとなくですが、単純にお金や生業の話をしているのではないという気がしたんです。

Occidental Arts and Ecology Center の「Vision and Strategy」ページに、「経済」について面白い記述があります。

Economics(経済学)、Ecology(生態学)のEcoは古代ギリシャ語で「家、ホーム」を意味するOikosという言葉から来ているそうです。
つまり、経済とは本来「ホームの管理」であって、お金の管理、富を生むことに限定されることではないということです。日本語で言えば、「どう暮らすか」「どんな営みを築くか」がキーワードになりそうです。

Ecologyは「ホームの学問」ですから、ホームというのも「人間の住む建物」よりももっと広い意味で、生態系や地球全体を指していることがわかります。

生態学的リテラシー(つまり生態系に見られる関係性に関する正しい理解)なしには、私たち人間の行動が経済・文化に及ぼす影響を知ることは不可能。現在の生態的、経済的、気候的な危機は、不適切な"ホームの管理"の、直接的な結果なのです。

https://oaec.org/our-work/vision-and-strategy/


逆に言えば、生態系を正しく理解して、それに倣ったり、それと共存・協力する形で暮らすのが、理想的な「ホーム管理=経済」であり、パーマカルチャーを目指すことなのではないかと思うのです。

生態系を理解する
→生態系と調和する経済(=営み・文化)を築く
→相乗的に自然も人間も豊かになる

と私は解釈しています。

このように「経済」という言葉を定義すると、パーマカルチャーの「カルチャー」がAgricultureとCultureの両方の意味を持つことにも納得が行きます。自然と人間の営み(文化)は切っても切り離せない関係にあるからです。

人の営みや文化は、その場所や、そこにいる人の特性によって形作られるものですから、場所によって違うのは当たり前ですし、同じコミュニティでも、人が来たり去ったり、死んだり生まれたりするたびに少しずつ変化していきます。また、文化が変われば、生態系も変わり、それがまた人の文化や営みに影響を及ぼします。

いろいろな要素が共創し、進化し続けるシステムをデザインするのがパーマカルチャーだとすると、「こんな生活」「あんな生態系」という明確なビジョンやゴールがないのも当然かもしれません。


定義があいまいなのが魅力

以前はさみが紹介していた、TreeYoのPermaculture Design Course Handbookにもこんな記述があります。

パーマカルチャーの素晴らしいことの一つは、明確な定義がないことです。地球や、地元地域と共創する中で、自分なりにパーマカルチャーをカスタマイズする自由が与えられているのです。

https://treeyopermacultureedu.com/about/treeyo-permaculture-definition/

実際、いろいろなサイトやブログを読んでいても、パーマカルチャーを実践されている方とお話していても、皆さん自分なりの定義を定めていたり、やり方・考え方にアレンジを加えていて、楽しそうだと感じています。

自己決定できること、柔軟に新しいものを生み出せることがパーマカルチャーの魅力であり、強みなのかもしれません。

では、自分なりのパーマカルチャーの定義やゴールを定めるにはどうすればいいのか?次回はそのヒントになりそうな記事をいくつかご紹介したいと思います。

今日はこのへんで。まとまりのない思考プロセスにお付き合いいただきありがとうございました :)

もえん
Instagram: @nomadmoen


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