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なぜ、魚沼地方のコシヒカリは特に美味しいのか?

結論:水質、気候、土壌が揃っている

土合駅でモグラの気持ちが分かった後、上越線を長岡方面へ1時間。越後湯沢駅に向かいました。越後湯沢駅で下車した目的の一つは、魚沼産コシヒカリを使ったジャンボおにぎり。越後湯沢駅構内で食べられます。ジャンボおにぎりを食べて、ふと疑問が浮かびました。
「なぜ、新潟県魚沼地方のコシヒカリが美味しいのか?」

今回は、新潟県魚沼地方の米が美味しい理由について調べました。

ジャンボおにぎり

越後湯沢駅構内にあるぽんしゅ館で食べられます。10時半にも関わらず10人ほど並んでいました。魚沼産コシヒカリを使った巨大な爆弾おにぎり。具材は、たらこ、鮭など定番から、筋子、南蛮味噌など新潟ならではのものもあり、16種類ありました。1個あたり茶碗2杯分、1合の巨大なおにぎりです。1個食べれば満足です。

今回は、新潟のブランド豚、もち豚の角煮をいただきました。ちなみに、鮭が一番人気です。味噌汁、小さいキュウリの味噌漬けも付いています。
持ち上げるとカンタンに崩れるほど柔らかく繊細なおにぎりでした。コシヒカリは粘り気が強く、モチモチです。もち豚も脂が落ちていてさっぱり、甘辛くご飯がすすみます。サービスの味噌汁は、味噌が濃厚でした。

新潟といえばコシヒカリ

新潟県は米の生産量63.1万tで、日本一です。新潟の米の品種といえば、コシヒカリ。日本で一番生産されている品種でもあります。
特に、新潟県南東部の魚沼地方のコシヒカリは有名です。他にも、佐渡島、新潟県下越地方にある村上市岩船地区で栽培されたコシヒカリはブランド物として他の新潟県産のコシヒカリと別で扱われています。

コシヒカリは、新潟県出身ではありません。実は福井県で誕生しました。農林水産省が1931年に当時最高峰の品種、農林1号を誕生させ、1944年、農林22号と掛け合わせて誕生しました。誕生当初は無名で、福井県では越南17号として育成されていました。1953年、農林100号と登録され、コシヒカリと命名しました。

コシヒカリという名前の由来は、「越の国に光り輝く」品種になるようにとの願いを込めたこと。福井県は越前国、新潟県は越後国と呼ばれているように、北陸地方は江戸時代まで、越の国と呼ばれていました。

新潟県では1960年代に全国に先駆けて栽培がすすめられ、新潟県内で生産されるお米のうち70%を占めました。

お米の主成分はデンプンです。デンプンの中でも、特にアミロースとアミロペクチンが、お米の食感に影響します。アミロースが多いほど、パサパサ、アミロペクチンが多いほどもっちりします。アミロースとアミロペクチンの比率が大切です。アミロースだけだと、パサパサなお米、アミロペクチンだけでは、おもちになってしまいます。もち米は、アミロペクチン100%です。人が最も美味しく感じる割合が、アミロース16%前後。もちっぽくならず、米一粒一粒も感じられます。冷めてももっちり食感が保たれて、美味しく感じます。
もっちりと粘り、甘味が強く感じられるのが、魚沼のコシヒカリでした。

地形

新潟県の日本海側は越後平野が広がっています。信濃川と阿賀野川という2本の大きな川を中心に、南の越後山脈を水源とする川が多く流れます。春になると、越後山脈に積もった雪が、融けて豊かな水源をつくります。川から山の栄養、土砂が運ばれ、細かい砂ほど河口部に広く平らに堆積します。平らで浅い場所は水田が作りやすいです。しかし、かつては、河口部を中心に川の氾濫が頻発し、水害が繰り返されていました。そのため、稲作が困難な土地でした。阿賀野川、信濃川の下流を掘って海岸に広がる砂丘を切り開いて新しい流れ(分水流)を作り出し、洪水時に分水路へ流して水害を防いでいます。

気候

新潟県は、越後山脈の北側にあります。夏はフェーン現象により、越後山脈を乾燥した高温の南東風が超えてやってきます。

魚沼地方は、西を500~700mの魚沼丘陵、東を2000mを超える越後山脈に挟まれた盆地です。日中は30℃を超えますが、夜間は山々から吹き降ろされる風によって気温が下がります。8月上旬の米の穂が出て実るまでの日中の気温差が大きいほど美味しい米ができます。朝は霧もかかるため、適度に日が当たり、おいしいお米になります。

一方、冬は、世界有数の豪雪地帯になります。ユーラシア大陸側では冷えて暖かい空気が上がり、上昇気流を使って高気圧が発生します。気圧は高いところから低いところに向かって均等になるように動くため、大陸から海に向かって北東方向へ季節風が発生します。海は暖流の影響で温かいため、季節風に水蒸気を運びます。日本列島に季節風が到達し、山脈を駆け上がるときに、水蒸気が凝縮して雪をもたらします。鍋でパスタやゆで卵を作るときに鍋から離れるにつれて、白い雲のように見えることと同じ現象です。
そのため、季節風のぶつかる山沿いを中心に、大雪がもたらされます。

土壌

川から山の栄養、土砂が運ばれます。上流で岩が削れて粒子の細かい砂ほど遠くへ流れます。中流では、砂礫層が深くなり、河口部では粘土質の砂が広く平らに堆積します。
魚沼地方は魚野川が流れ、肥沃な土壌を運びます。また、魚野川の中流域に位置し、砂礫層が深くなり、水はけがよくなります。冷たい水にあたり、活性化し、根腐りや病気を防ぎます。

肥沃な土壌のため、肥料も少なく済みます。与えすぎると、稲が倒れやすくなったり、肥料に含まれる窒素がお米の味が落ちるため、逆効果。肥料の量を調整する必要があります。

今回は、なぜ新潟県魚沼地方のお米が特においしいか?話しました。10月は新米の季節。美味しいお米を炊いて塩をかけるだけで、ごちそうになります。みなさんは、ご飯と一緒に食べるものはありますか?コメントで教えていただけると嬉しいです。

越後湯沢駅にあるぽんしゅ館では、新潟県内の酒蔵で造られた日本酒も多く揃っていました。酒風呂にも入ることができます。次回、新潟の日本酒について触れていきます。

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