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寒い日、温泉に浸かりたいのは人間だけではない!【長野電鉄に乗ってスノーモンキーに会ってきた】

結論

  • ニホンザルだって温泉に浸かりたい。

  • 日帰りでもいいけど、せっかくなら最寄り駅にある温泉街に前泊してから満喫するとよい。

  • 観光客がエサを与えるのは、言語道断。ルールを守りつつ、温かく見守る。


2月6日はお風呂の日

2月6日は、お風呂の日。風呂(2.6)という語呂合わせから、一般社団法人HOT JAPANが2014年、制定しました。銭湯、温泉など日本のお風呂文化を世界に向けてPRする目的があります。

日本のお風呂文化について、2023年11月26日(いい風呂の日)に投稿した記事に書きました。山梨県立美術館で開催していたテルマエ展で、学んだことをアウトプットした記事となっております。

2023年の風呂の日は、前日に別府温泉について、書きました。ぜひ、お読みください。

2024年の風呂の日のテーマ

寒くなると、温泉に入りたくなります。そう思うのは、人間だけではありません。ニホンザルだって同じです。温泉に浸かるニホンザルは、海外にも広まり、いつしか、「スノーモンキー」と呼ばれるようになりました。

温泉に入る野生のサルを観られるのは、地球上で地獄谷野猿公苑ジゴクダニヤエンコウエンのみです。地獄谷野猿公苑は、長野県北東部の山ノ内町にあります。今回は、スノーモンキーに出会うまでの1泊2日の旅について話します。


スノーモンキーが誕生したわけ

1964年に地獄谷野猿公苑が開苑しました。戦後、ニホンザルが住んでいた奥山の木々が切られ、住む場所が減りました。サルたちは、住む場所や食糧を求めて地獄谷付近へ下り、リンゴ畑や水田をサルが荒らすようになりました。

サルと人間との共生を目指しつつ、サルを自然の状態で観察したいという好奇心もあり、地獄谷野猿公苑が誕生しました。

サルの警戒心を解くため、職員のみがエサを与えています。人間は危険ではないと思わせつつ、知らない人(観光客)を相手にしても何もメリットがないと、サルの接触も防いでいます。

サルは観光客に絡んでも、いいことも悪いこともないとわかっているため、観光客には興味を示しません。近づいても逃げようとも襲おうともせず、普段通りの行動をします。じゃれ合う兄弟姉妹、家族など、サルの生活が見られます。

絶対にエサを与えないでください。行かれる方は、事前に、注意事項を読んでいただきたいです。

人間以外の霊長類(チンパンジー、ゴリラなど)は、寒さが苦手です。ニホンザルは青森県の下北半島が北限。下北半島は、人間以外の霊長類が住む最も北の地域です。人間の場合は、厚着をする、火を使うという手段により、寒さを克服しています。

地獄谷周辺の冬は、雪が冷たく、外は朝晩を中心に冷え込みます。一方、地獄谷周辺は温泉が湧き、源泉は100℃近くあって沸騰しています。ニホンザルは身体を温めるため、冬に温泉に集まります。雪化粧と湯けむりが風情を醸し出し、いつしか、海外から人々が集まるようになりました。海外から来た人々が、この光景を「スノーモンキー」というようになって、定着しました。

ちなみに、夏は暑いためか、サルたちは、温泉に入らず飲む程度で済ませています。

スノーモンキーに会うまでの道のり

準備:防寒対策万全に、靴底もこだわる

地獄谷は、標高850mで周りを山々に囲まれています。長野県の北東部にあるため、内陸高地と日本海側の気候の影響を受けます。冬の朝晩は特に冷え込み、-10℃を下回ることがあったり、雪も1m程度積もることがあります。

冬は大雪の影響で道路が閉鎖されており、夏より遠い駐車場に車を停めなければなりません。遊歩道を30分ほど歩きます。

そのため、防寒対策は万全にする必要があります。

さらに、雪道は滑りやすいです。なるべく新品の靴で靴底が平らに削れていないものを履くとよいです。

上履き用のように、靴底がシンプルな靴、革靴、ヒールの高い靴はダメです。コケてケガをします。

さらに、駐車場に停めてから遊歩道に入る前に、トイレは済ませましょう。スノーモンキーに出会えるまでまで遠く、入口までトイレがありません。寒いほど、トイレの神様は近づきます。

①長野電鉄を制覇する

長野駅から出発する特急スノーモンキー号

まずは、JR長野駅から長野電鉄長野駅に乗り換えました。

長野電鉄長野駅は、JR長野駅東口から地下通路でつながっています。また、善光寺口(西口)からエスカレータで地下へつながっています。JRから長野電鉄への乗り換えは10分ほど必要です。

長野電鉄は長野市から北東へ走り、須坂市や小布施町を通り、湯田中駅まで繋がります。終点である湯田中駅が地獄谷野猿公苑の最寄り駅です。

普通電車の場合、中野駅で乗換が必要です。特急スノーモンキー号で行くと、普通電車で行くより、約30分早く着きます。

スノーモンキーに会うまでに必要なキップは、スノーモンキーパスがオススメです。スノーモンキーパスは、長野電鉄全線の普通電車、特急自由席、長電バスが2日間乗り放題です。さらに、地獄谷野猿公苑の入場料もついています。日帰りでもオトクなきっぷです。

行き、帰りで善光寺のある長野市だけではなく、動物園のある須坂市、葛飾北斎が晩年過ごした小布施町、エノキダケの生産量日本一の中野市など、途中下車して、沿線観光することもオススメです。

②湯田中温泉、渋温泉で前泊する

2.1 湯田中駅

長野駅からスノーモンキー号に乗ること45分、長野電鉄の終点、湯田中駅に到着します。湯田中駅は、山ノ内町にあります。スノーモンキーだけではなく、渋温泉、志賀高原など、山ノ内町の観光の拠点になります。

ちなみに、志賀高原は、八ヶ岳周辺の地域と並び、数多くの日本一標高の高い○○が集まります。夏は群馬県へ行くことができます。群馬県との県境にある渋峠は、国道が通る場所として日本一標高の高いです。

湯田中駅周辺には、7つの温泉街があります。特に知名度が高い温泉は、湯田中温泉、渋温泉です。他にも、新湯田中温泉、星川温泉、穂波温泉、角間温泉、安代温泉、神林温泉もあります。

前泊して湯田中温泉、渋温泉の街並みを散策しました。

2.2 湯田中温泉

湯田中駅周辺は、湯田中温泉の街並みが広がります。泉質は、塩化物泉と硫酸塩泉で、透明な温泉が特徴です。昭和の温泉街の雰囲気があります。

2.3 渋温泉

渋温泉は、バスで渋温泉入口、渋温泉和合橋で下車してもいいです。湯田中駅から2km程度、30分ほど歩いて行くこともできます。湯田中温泉郷と隣合っています。

渋温泉は、地面を掘っただけで湧き出すほどお湯の量が豊富です。源泉は60~90℃でそのままでは、熱すぎて入れません。泉質は単純泉と塩化物泉で、褐色、白濁、無色透明など色が異なります。昔から地元の方によって守られた9ヶ所の外湯は、地元の方だけではなく、宿泊客も利用できます。

渋温泉は、川中島の戦いのとき、兵士たちを療養させるために武田信玄が利用していたと言われています。

江戸時代には、草津街道の宿場町として発展しました。草津街道は、草津温泉から渋温泉を経由して、中津川(信濃川水系)沿いに進み、中津川と信濃川の合流地点である現在の津南町へつながっています。

小布施に住んでいた頃、葛飾北斎が立ち寄ったと言われています。長野県の偉人、佐久間象山、小林一茶も訪れたと言われています。

 

当時の面影が今も強く残ります。昔ながらの温泉街の雰囲気で、スマートボール、射的場もありました。

現存する多くの木造の建物は、大正〜昭和時代に増改築を繰り返していくうちに複雑な構造になっていきました。特に、江戸時代から営業している「金具屋」、千の里千尋の神隠しの湯屋のモデルになったと言われる「斉月楼」は有名です。

金具屋

③湯田中温泉から地獄谷野猿公苑へ行く

前日、ホテルに戻るまでは雪が一切ありませんでした。しかし、翌朝、目を覚まして、部屋のカーテンを開けると、そこは雪国でした。朝から、雪見風呂に入るという特権を得られました。

3.1 湯田中駅、渋温泉からバスに乗る

朝食とチェックアウトを済ませ、湯田中駅に戻り、渋温泉経由のバスでスノーモンキーパークへ向かいました。

運賃は、湯田中駅から片道310円、渋温泉から片道190円です。しかし、スノーモンキーパスを利用しているため、今回はタダで乗ることができました。

3.2 バスを降りて歩いていく

スノーモンキーパークから野猿公苑までは2km弱。雪も降り続き、積もっていたため、40分で行くことができるというGoogleの情報の1.5倍かかりました。

20分ほど歩くと、スノーモンキーが目の前を通り始めました。しかし、焦る必要はありません。何もせず、軽い会釈だけで通過すれば問題ありません。

遊歩道にぽつんとたたずむニホンザル

ついに、スノーモンキーとご対面

バス停から1時間ほど歩いて、ようやく地獄谷野猿公苑到着。入場料は通常、大学生以上800円、小学生~高校生は400円かかります。しかし、スノーモンキーパスを見せるだけで堂々と入ることができます。

温泉は、こじんまりとしていました。しかし、スノーモンキーからしたら、大浴場みたいな雰囲気でした。スノーモンキーと一緒に温泉に浸かることはできません。

浸かる親子のスノーモンキー、湯上がりに雪の上でくつろいでいるスノーモンキー。冬、温泉を楽しむ姿は、人間と変わりありません。

サルと雪との幻想的な風景が見えます。ただし、いつ行っても写真のような風景は見られるとは限らず、スノーモンキーの気分次第です。

仲良く温泉に入るニホンザル

2024年の風呂の日は、長野電鉄を利用して、湯田中温泉、渋温泉を楽しみ、最後にスノーモンキーを見学するという贅沢なひとときを味わった話をしました。コロナ禍から解放され、海外からのお客さんも増えています。自慢のカメラを持った方々が多く訪れていました。

エサを与えないなどのルールを守りつつ、ニホンザルをずっと眺めることのできるという貴重な体験をぜひ、味わってください。

アクセス

営業時間 9:00~16:00(4月~10月)
     8:30~17:00(11月~3月)
 休園日 なし
入館料 大学生以上 800円、小学生~高校生400円

参考文献

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至福の温泉

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