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【人間らしい暮らし】とは

生活保護の受給率が年々上がっているそうである。年金だけでは暮らしが立たない年配の方、ワタクシみたいに病を得て働けなくなった方(あ、ワタクシは今のところは前の職場からの傷病手当で暮らしてます)、所謂【氷河期世代】で働きたくても働く機会を与えられない方…事情は様々だ。

そして、生活保護を取り巻くネガティブなイメージも一向に払拭される気配が無い。それについては今更語るまでも無いのでこの場では割愛するが、どうもこのネガティブなイメージにより此処数年の間に生活保護の受給額にもマイナスな影響が出ているらしい。明け透けに言えば年々貰える金額が下がっていると言う事だ。これはどうやら日本人の平均年収が下がっているのに合わせた結果らしいのだが、平均年収が上がるような策を講じず、困窮している人々に皺寄せを強いる辺りが如何にも日本らしい。その是非についてワタクシがとやかく言うのは控えるが、どれだけお上が民草の事を理解していないか垣間見えて頭痛がして来る。

例えば話をワタクシの在所(千葉県北西部)に限定して記すと、ワタクシの在所は千葉県なので支給される生活保護の額面は千葉県の水準が適用される。ところが我が在所はなまじ東京都に近いがばかりに、物価がどちらかと言うと東京寄りの水準なのである。つまり千葉県の他地域と比較して物価が高いのだ。
実際ワタクシも役所の窓口で「こんな額面じゃ生活出来ない」と泣きながら訴えている方を何人も見た。然し窓口の担当職員はいっかな平気なもので「是が非でもその金額でやり繰りして下さい。御国が決めた事なんですから」の一点張り。
「こいつら、生活困窮者を経済的に追い詰め死に追い遣って"口減らし"したいんじゃないか」と邪推を抱く事が度々ある。

最もウチの在所はまだまだマシな方で、これが地方都市ともなるともっと酷い惨状を呈する事がある。
過日ネットニュースで、群馬県・桐生市の役所が生活困窮者の保護申請を悪質な手口で断り、門前払いを続けていた事が明るみに出て話題になっていた。申請者に書類の代わりに家計簿を渡して「自分がどれだけ無駄な出費をしてるか記録して持って来い」等と放言(暴言と言い換えても良い)したり、窓口から女性職員を排し近寄り難い空気を作ったり…とかなり巧妙で悪質な手口を使っていたようだ。こんな人間の屑のような連中でも、公僕と言うだけで罪に問われないのだから全く救いがない。恐らく斯様にも悪質な例が日本各地に存在するのだろう。日本が衰退国になって長いが、こんなところにもその影響が出ている。

過日、役所内にある民間支援団体の窓口に用があって出向いた際、待合席の傍のブースから生活保護に関する相談の打ち合わせの音声が筒抜けで聞こえて来た。その内容を聞いてワタクシは甚だ気が重くなってしまった。自分の事でも無いのに。

「生活保護を受けるからには、色々と我慢していただかないと困ります」
「カラオケに行きたい。映画に行きたい。ショッピングを楽しみたい。そんな甘い考えは全て捨てて下さい」

うろ覚えだが、生活保護は確か【様々な理由で就労が困難な人間が"人間として最低限の暮らし"が出来るように支給する制度】と銘打たれていた気がする。
御国が定義する"人間としての最低限の暮らし"または"人間らしい暮らし"とは、果たして一体どんなヴィジョンなのだろうか。

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