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ブラックホールと潮汐力(インターステラーより)

 映画「インターステラー」で主人公クーパーがブラックホール「ガルガンチュア」に落ちたとき、なぜブラックホールの潮汐力(スパゲッティ化現象?)で激しく引き伸ばされなかったのか?
 「ガルガンチュア」は、超大質量ブラックホールなので「ブラックホールへの落下時に物質がそれほど激しく引き伸ばされることはない」のでしょうね。以下調べた結果です。


ブラックホールは、その質量やサイズによって異なる特性を持ち、その規模によって潮汐力の影響も大きく変わります。ブラックホールは大きく三つのカテゴリに分けられます:恒星質量ブラックホール、中間質量ブラックホール、超大質量ブラックホールです。それぞれの特徴と潮汐力について詳しく説明します。

1. 恒星質量ブラックホール

  • 特徴: 太陽質量の約3倍から数十倍の質量を持つブラックホールで、大質量星の超新星爆発の残骸から形成されると考えられています。

  • 潮汐力: このタイプのブラックホールの潮汐力は非常に強く、ブラックホールに近づく物質は「スパゲッティ化」と呼ばれる現象で、極端に伸びることがあります。🍝

2. 中間質量ブラックホール

  • 特徴: 数百から数万太陽質量のブラックホールで、その形成過程はまだ完全には理解されていませんが、恒星団内での恒星の合体によって形成される可能性があります。

  • 潮汐力: 恒星質量ブラックホールよりも大きいため、潮汐力は強いですが、その効果は恒星質量ブラックホールほど局所的ではありません。物体がイベントホライズンを越える際には依然として強い潮汐力を受けます。🌌

3. 超大質量ブラックホール

  • 特徴: これらのブラックホールは、銀河の中心に位置し、通常は数十万から数十億太陽質量を持っています。最も有名な例は、我々の銀河中心にあるさそり座A*です。

  • 潮汐力: 非常に大きいため、その潮汐力は相対的に広範囲にわたりますが、イベントホライズンの近くでは、恒星質量ブラックホールほど強くはありません。このため、理論的には「穏やかな死」とも呼ばれる現象が起こり、ブラックホールへの落下時に物質がそれほど激しく引き伸ばされることはないとされています。🌀

潮汐力の影響

ブラックホールの潮汐力は、ブラックホールのイベントホライズンのサイズ(シュワルツシルト半径)に依存し、質量が大きくなるほどそのイベントホライズンは大きくなります。しかし、質量が大きいほどイベントホライズンでの潮汐力は相対的に弱まります。このため、超大質量ブラックホールでは、イベントホライズンを通過する際の破壊的な効果は小さくなりますが、恒星質量ブラックホールでは極めて強い潮汐力が発生します。
これらの特性を理解することは、ブラックホール周辺の物理現象や、ブラックホールを介した高エネルギー現象の研究において重要です。

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