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ワームホールについて

ワームホールは、一般相対性理論に基づいて理論的に予測されている宇宙の構造で、異なる時空間領域をつなぐトンネルのような存在です。この概念は、物理学者アルベルト・アインシュタインとネイサン・ローゼンが1935年に提唱したアインシュタイン=ローゼン橋を起源としています。

ワームホールの基本的な特徴

  1. 時空のトンネル:

    • ワームホールは、宇宙の遠く離れた二つの点を直接結ぶ時空のショートカットとして想像されます。理論上、このトンネルを通ることで、通常の空間を移動するよりもずっと迅速に異なる場所へ移動が可能になります。

  2. シュワルツシルトワームホール:

    • 初期のワームホールのモデルであり、ブラックホールとホワイトホールが「アインシュタイン=ローゼン橋」によって結ばれていると考えられていました。ブラックホールが物質を吸い込む一方、ホワイトホールが物質を放出するとされています。

  3. トラバーサブルワームホール:

    • 1988年に物理学者キップ・ソーンと彼の学生マイケル・モリスによって提案された、人が安全に通過可能なワームホールのモデルです。このモデルでは、ワームホールの崩壊を防ぐために「エキゾチック物質」が必要であるとされています。この物質は通常の物質とは逆の重力効果(反発力)を持ちます。

  4. エキゾチック物質と安定性:

    • トラバーサブルワームホールが存在するためには、負のエネルギー密度を持つエキゾチック物質が必要であるとされています。この物質は量子力学の一部の解釈で可能であるとされるものの、その存在はまだ実証されていません。

科学とフィクション

  • ワームホールは、多くの科学的研究とともにサイエンスフィクションの世界でも人気のテーマです。タイムトラベルや異星間旅行の手段として描かれることが多いですが、現在の科学技術ではワームホールの実証や利用は困難です。

ワームホールは、現代物理学においてまだ仮説の段階にあり、その性質や実在性、安全性など多くの点で未解決の問題を抱えています。しかし、一般相対性理論の予測としてのワームホールは、理論物理学における重要な研究分野の一つとされ、今後の発展が期待されています。


ワームホールを利用している映画


ワームホールを利用したサイエンスフィクションの映画は、宇宙旅行や異次元へのアクセスなど、興味深いテーマを探求するための素晴らしい道具として使われています。以下にそのような映画を5つ紹介します:

  1. インターステラー (Interstellar) - 2014年

    • クリストファー・ノーラン監督作品で、未来の地球が生存困難になった中、ワームホールを通じて新たな居住可能な惑星を探すため宇宙旅行に出る物語です。

  2. コンタクト (Contact) - 1997年

    • カール・セーガンの同名小説を基にした作品で、地球外文明との初のコンタクト後、主人公が異星人によって与えられた機械を使い、ワームホールを通じて宇宙の遠い場所へ旅をします。

  3. スターゲイト (Stargate) - 1994年

    • 古代エジプトとエイリアン技術を組み合わせたストーリーで、スターゲイトと呼ばれる古代の装置がワームホールを開き、遠い銀河へのポータルとして機能します。

  4. イベント・ホライズン (Event Horizon) - 1997年

    • 宇宙船イベント・ホライズンがワームホールを通じて別の次元へと跳躍する実験を行った後、失踪してしまう。救助に向かったチームが船内で恐ろしい発見をするホラー要素も含むSF映画です。

  5. ソース・コード (Source Code) - 2011年

    • この映画では、ワームホールを直接的に描いているわけではありませんが、時間を繰り返し体験するというパラレルワールドへのアクセスという概念が、ワームホール理論に似た時間旅行の要素を取り入れています。

これらの映画は、ワームホールという科学的概念を用いて、異なる時間や宇宙、次元への旅を描いており、観客に新たな視点と壮大な冒険を提供しています。


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