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農業・漁業の技術

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“焼肉のタレ”でカメムシ対策

“焼肉のタレ”でカメムシ対策

最近カメムシが異常に増えています。

【原因1 針葉樹林が荒れている】
戦後の造林ブームでヒノキ、スギの針葉樹が増えて増殖源となった。また、木材価格の低下で山が荒れ、枝打ちや間伐などの管理ができず、花粉や球果の量が増えているのもカメムシ大量発生の一因
【原因2 温暖化で成長が加速】
温暖化で気温が高まるとカメムシの成長速度もアップ。
【カメムシのニオイの秘密】
カメムシは外敵から身を守るため、そ

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梱包材として使われた植物

梱包材として使われた植物

現在では、プラスチックの梱包材が普及しているが、プラスチックが利用される前は、植物を梱包材として使うことがよくあった。
牧草であるクローバーの和名がシロツメクサとなったのは、梱包材となる草、「詰め草」だったからである。

ヨーロッパ貴族を魅了したランの花は、1818年にブラジルで活動していたプラントハンターが熱帯植物をロンドンまで送った際に、あまり大切ではなさそうな植物を詰め草として詰め込んだ。荷

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尾根はアカマツ、中腹はヒノキ、谷はスギ

尾根はアカマツ、中腹はヒノキ、谷はスギ

ハイキングなど山に行くときは、地形と樹形にも注目してみたい。標高や地形によって生育状態がかなり異なる。
尾根筋は雨が降ってもすぎに流れ去ってしまい、風も強いので乾燥しやすい。光は上方、側方、斜め下からくる。そのため、尾根筋の木は背が低く下枝が大きく張り、根は広く伸びている。
谷筋は水が集中し風が弱いので水分環境がよいが、光は上方からしかこないので、隣接する木との光獲得競争が激しい。そのため、谷にあ

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トマトは"野菜"か"果物"か

トマトは"野菜"か"果物"か

19世紀のアメリカでは、野菜に関税をかけ、果物は無関税であった。そのため、トマトは果物なのか野菜なのかで裁判沙汰になったことがある。

植物学的には「フルーツ」というのは植物の果実のことである。そのため、トマトは果実である。しかし、フルーツという言葉は、植物学以外でも用いられる。つまり、デザート的に食べるものがフルーツであり、料理の食材として調理して食べるのが野菜である。結局裁判でも、「トマトはデ

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農業と気象情報

農業と気象情報

農業にとって気象情報はとても大切だ。雨が降りそうだ。気温が高くなりそうだ。という利用方法もあるが、もっと攻撃的に気象情報を活かす農家もあるようだ。

例えば、競合するライバル産地の気象情報を常に見て、ライバル産地が台風の影響を受けるのが何月何日になりそうだとわかると、自分たちの農家の作物の出荷体制を整え、台風の翌日から大量に出荷する。
ただし、生育期間を数日程度調整できるトマトなどの作物でないとな

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あなたは針葉樹タイプ・広葉樹タイプ?

あなたは針葉樹タイプ・広葉樹タイプ?

理科の時間にならった“針葉樹”と”広葉樹“、この2つは成長の仕方が全く異なっている。
針葉樹は太陽の光をもとめて、真っ直ぐに伸びる。上方に他の木が覆い被さっていてもおかまいなし、目標に向かって突き進む。

広葉樹は太陽の光をもとめて、柔軟に伸びる。上方に他の木が覆い被さるとより多くの光のくる方向に主軸の向きを変えながら、目標に向かっていく。


人間の性格にも似た、成長の仕方だ。どちらが良い・悪

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木材輸入量に見る日本のエネルギー事情

木材輸入量に見る日本のエネルギー事情

2023年の木材輸入量を品目別に見ると、主に住宅など建築向けの丸太、製材、合板及び集成材が、金利の上昇にともない住宅着工件数減少のあおりを受けて減少した一方で、木質バイオマス燃料用の木質ペレットの輸入が急増加しています。

原発の稼働もままならない状況の中、化石燃料に傾きすぎるのも世界情勢をみると危険、木質バイオマスを取り入れたエネルギーミックスが積極的に行われているのがよく分かる。

『参考資料

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和牛の血縁関係を数値化

和牛の血縁関係を数値化

農業・食品産業技術総合研究機構は、黒毛和牛の血縁の近さをゲノム分析をもとに数値化する手法を開発した。

黒毛和牛をはじめとする肉牛の品種改良では霜降りの質などが良いごく少数の雄を種牛に使うため、同じ種牛を先祖に持つ牛が増えて近親交配が進んでいるという。

近親交配は、発育の悪化や受胎率の低下につながる。
そうならないように現状、農家は牛の家系情報を3代前まで調べることができる仕組みがあるようだが、

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スギやヒノキの香り

スギやヒノキの香り

心身をリラックスさせる森林浴。森に入ると、スギやヒノキなどの樹木の香りに触れて心身の健康効果があると言われています。
この森林にただよう匂いの正体は「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性物質です。「フィトンチッド」とはロシア語に由来する言葉で、フィトンは「植物」、チッドは「殺す」という意味です。つまり、森林浴の香り成分は、人にとっては有用であっても、本来は「他の生物を殺す」ために作り出されたものです。

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不要になった園芸用土のリサイクル方法

不要になった園芸用土のリサイクル方法

使い終わったあとの園芸用土は、そのまま放置していると虫が湧いたりするので、早めに処分したい。
しかし、土は自然物であるため、一般ごみとして捨てることができず、捨て方は自治体によって異なる。

ホームセンターのニトリなどは、不要となった園芸用土を、購入時の空袋に戻して回収実施店舗に持ち込むと、リサイクル施設で熱処理・殺菌消毒し、新たな園芸用土の原料として生まれ変わらせてくれる。

資源不足が懸念され

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突然変異で種がなくなった

突然変異で種がなくなった

バナナは種もなく食べやすい果物だ。しかし、真ん中に小さな黒い点がたくさんある、これは種があった名残だ。もともとバナナには種があったが、突然変異によって「種無しバナナ」ができたのである。

通常、植物はオスとメスから遺伝の性質を決める「染色体」を1組ずつ受け継いで、対になった2組の染色体を持っている。これを「2倍体」という。子孫を残すときは2組の染色体を半分に分け、再び受精すると2倍体になる仕組みに

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イネ科植物の紫外線ダメージ修復

イネ科植物の紫外線ダメージ修復

イネ科の植物は、紫外線でダメージを受けたDNAを修復する、他の植物にはみられない仕組みを持っている。

太陽光に含まれる紫外線は生物のDNAを傷つけ、人が浴びすぎると皮膚がんの要因になる。植物も同様に紫外線焼けをおこす。

イネやコムギ、トウモロコシなどのイネ科植物は、酵素の状態を変化させ、光合成を担う葉緑体を修復する。

東北大学の研究チームは、酵素を部分的に合成して、輸送を担う部位を特定した。

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ムール貝からヒントを得た接着剤

ムール貝からヒントを得た接着剤

物質・材料研究機構(NIMS)の高分子・バイオ材料研究センターの研究チームは、ムラサキイガイ(ムール貝)の接着機能にヒントを得た新しい接着材料を開発した。

ムラサキイガイは海中で岩に固着する際に、カフェ酸という物質を分泌している。カフェ酸は、波長の異なる紫外線を照射することで相互につながったり離れたりする。

家電製品や自動車など、しっかりくっつき、パッと離れる性質は応用範囲が広い

『参考資料

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アロマでトマトの防虫

アロマでトマトの防虫

東京理科大学の研究によると、トマト土壌にローズ精油を施用すると、トマトの葉の防御遺伝子PR1が活性化することが明らかになった。また、圃場での実験から、ローズ精油で土壌を処理すると、害虫による食害が54.5%にまで減少することを実証。

さらに、ローズ精油溶液はチリカブリダニなどの害虫の天敵を誘引する効果も示唆された。

『参考資料』

https://www.tus.ac.jp/today/arc

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