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制作日記|プランナー編09 仕様書作り

こんにちは、ヒヅメです。

テバサキゲームズが現在制作しているノベルベーム「コメンテーター」の制作日記を書いています。
※ヘッダー画像はあくまでイメージです

下準備からシナリオ制作まで、これまでの記事は以下からご覧ください。

今回はプランナー編の一区切りとして、仕様書作りをまとめていきます。


1.仕様書の目的を確認する

テバサキゲームズの場合はプランナーのヒヅメが、プログラマーの手羽先に「脳内にあるゲームの完成状態を全て伝えきること」です。

重要なのは「ゲームの完成イメージ」ではなく「ゲームの完成状態」であることです。

つまり、ゲームを表現するための全て書き記すことが仕様書の目的です。

これによりプランナーと他のチームメンバー(プログラマー、イラストレーター、コンポーザーなどなど)は仕様書を通して意思疎通が図れるのです。

2.思ったより伝わらないと理解する

意思疎通が図れるのです!ドヤァ‥とした直後ですが、人は思ったほど全てを上手く伝えられませんし、伝わりません。

「ジャンプ後に画面遷移する」と書いたって、それがジャンプの何フレーム後なのか、どう画面遷移するのかも分かりません。そしていくら詳しく書いてもこの問題は解決しないと考えた方が心理的に楽です。

なぜならば、人は文なんて読みたくないのです。

なので、仕様書はできるだけ読む負担が少なく、パッと分かりやすいことが理想です(理想です)。

そして定期的に相互確認し、思い違いがあれば指摘し、それを仕様書にフィードバックしていきます。

パーフェクトな仕様書はできませんし、きっと存在しません。

僕たちの場合は最低限、僕と手羽先くんが理解できればいいのです。

3.実際に仕様書を書く

仕様書の構成について書いていきます。ここでは、開発するゲームの全ての要素と、仕様書として必要な項目を全て書き出します。

いきなりすべての項目を書き出すのは難しいので、まずは大項目をおさえます。「コメンテーター」の場合ですと以下の通りです。

  1. 更新履歴

  2. ゲーム概要、ゲームシステム

  3. 画面遷移図

  4. 画面詳細仕様

  5. ニュースリスト

  6. ニュースパラメーター仕様

詳細は以下に書いていきますね。

3-0.仕様書アプリ

ヒヅメはやや古い人間なので多くはスプレッドシートを使っていますが、ここら辺は好き好きで良いかと思います。スプレッドシートは無料ですし、共有もしやすいので決して悪くないですよ。

僕も手羽先くんからいろいろ教わり、いくつかの項目はスプレッドシート以外のアプリを使っているので、それは各項目に記載していきます。

3-1.更新履歴

絶対に必要なシートです。

ゲーム開発中は頻繁に情報が更新されるため「いつ、どの仕様書を指しているのか」「いつ変更されたのか」といった記録を示す更新履歴は不可欠なのです。

それを端的に示す情報が

  • 改定日付

  • 更新内容

の2つですが、内容に関してはもう少し項を増やして該当シートを分かりやすくしたり、手羽先くんが確認済みかどうかのチェックボックスを用意してもいいかなと思いました。

「コメンテーター」仕様書の改定履歴

3-2.ゲーム概要、ゲームシステム

過去の日記と重複しますが、内容としては

  • ゲームのジャンル(特徴)

  • ゲーム設定(操作方法を含む)

  • ゲームサイクル

などを記載していきます。プランナーが複数いる場合やメンバーが多い場合は、ターゲット層を書いても良いと思います。やはり初心を忘れないための基準点を書き残すことは大切です。

「コメンテーター」で作成した説明資料
「コメンテーター」で作成した説明資料
「コメンテーター」で作成した説明資料

詳細はそれぞれ過去の記事にも書いていますので、興味があればぜひ⇩

3-3.画面遷移図

「Figma」を使っています。

手羽先くんに教えてもらったんですが、便利なツールですねー。

すごく簡単にきれいなチャート図を作成できるので、チャート作成は全てFigmaを使いました。

画面遷移という概念はゲームだけでなく様々なアプリでもありますので「画面遷移」「ワイヤーフレーム」などと検索すると素晴らしいサンプル図がたくさん出てきますよ。

以下のリンクは「Overflow」というアプリの説明記事ですが、ここで表示されている画面遷移図はすごくきれいだなと思いました⇩

3-4.画面詳細仕様

「コメンテーター」で作成した画面詳細仕様

各ゲーム画面の全てをここに記載します。

具体的には、各画面のUI/UX、動作やその結果、状態の遷移などです。仕様書の花形かもしれません。

「コメンテーター」の場合では

  • 画面の画像

  • CGソースリスト(ファイル名、大きさ、内容など)

  • サウンドリソースリスト(ファイル名、音量、使用される条件など)

  • フォントリスト(フォント名、大きさ、太さ、使用場所など)

  • 画面遷移内容(ざっくりと。詳細は画面遷移図に記載)

  • 画面処理内容(ざっくりと。詳細はアニメーション説明図に記載)

などが記載されています。

仕様書作りには以下の本がすごく参考になりました⇩

3-5.ニュースリスト

「コメンテーター」は報道ノベルゲームなのでゲーム内で使用するニュースの内容(識別ID、シリーズID、効果など)を一覧にまとめたリストです。

ゲームの中で何かしらリストになる項目(例えばキャラクター、モンスター、アイテムなどなど)があれば、それをまとめたページは役に立つと思います。

3-6.ニュースパラメーター仕様

ニュースがゲームに与える内容を記載したページです。「コメンテーター」ではニュースをどのようなスタンスで批評したかによってゲームシナリオに変化が起きますので、その変数を記載しています。

この変数によってゲーム難易度が変わりますので、レベリング設定もこのページで行います。

5.仕様書作成後は改定を重ねる

上でも書きましたが、仕様書はゲーム制作の進捗とともにしょっちゅう改定されます(展示会前は特に)。

プランナーからすればさっさと仕様書に更新していけばいいと思ってしまいますが、そこはチーム作業ですのでグッと我慢です。

どう修正すればいいか自分なりの案を考え
手羽先くんとコミュニケーションを取り
どういう修正にしようと合意し
その合意結果を改定版に書き落としていきます

この作業は修正作業が多くなる展示会直前になると結構しんどいのですが、コミュニケーションをすっ飛ばすとロクなことがありません(多分)。

プランナーという役割をしている限り、しょうがないというか、きっとそれが仕事なのだと思います。

ゲーム制作のまとめとしてはここで一旦区切り

さて、一連の日記では、ゲーム作りの完全素人である僕がゲームを作るにあたって調べたこと、作業したことをまとめてきました。これまでに

  • 下準備

  • ゲーム概要と設定

  • ゲーム仕様

  • ゲームサイクルと画面レイアウト案

  • 目標とスケジュール

  • コンセプトアート

  • シナリオ

  • シナリオフォーマット

などを書いてきましたが、ひとまず今回をもって「ゲーム制作に関する作業のまとめと振り返り」は一区切りですかね。

今後はもうちょっと日記寄りというか、その時々の気付きや進捗などを更新していこうと思います。

もちろんインディーゲーム制作はゲーム開発だけじゃなく、販売や販促といった作業もありますので、その際はまたまとめていきますね。

今後ともよろしくお願いいたします!

ヒヅメ

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