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あなたは「親あるうちに」行動できるだろうか?


この記事は、2024年4月29日にFacebookで書き、その後5月1日にTwitter(現X)に載せた文章に加筆訂正したものです。
人の死のことが書いてありますので、注意して閲覧してください。
そして、勇気をもって途中で読み閉じることがあってよいですし、心が受け入れられそうなときには、ぜひお読みいただければと思っております。

たくさんの皆様にお読みいただきありがとうございます。
学びの材料としてお使いいただければと思います。

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私がある施設の施設長の時に、ある利用者の人が体調を崩し、その週は休むと母親から連絡があったのですが、職員から、どうしても連絡したいことがあるとのことで電話をしたところ「お母さんがお風呂の中で寝ていて起きてこないので温めているの」という趣旨の言葉がその利用者の人から出ました。

状況を察した職員は一旦電話を切り、半ばパニック状態で走って私のところに報告にきたので、今度は私から電話をしました。
「お母さん寒くないようにしてくれているんだね。ありがとうね。しばらく会ってないし、ちょっと顔見に行きたいから行ってもいい?」
「いいよー」
「じゃあさ、私たちが行く前に救急車の人とか警察の人が行くかもしれないけど、玄関開けてあげてね!」
「わかったー」

そこから、警察・消防に連絡しつつ、担当職員と二人で彼女の家に向かったのですが、警察が先に着いていて現場検証が始まっていました。

母親は亡くなり、ご本人は3日くらい一人で冷蔵庫のものを食べ、てんかん発作の薬も飲めていたので無事でした。

母親は、いつも通り洋服を脱ぎ床に置き、お風呂に入ったのでしょう。そして、その間に何らかのことが起き亡くなってしまいましたが、沈まず湯船から出ているお顔は穏やかだったので、本当に良かったと思いました。

実は、現場がどういう状態だったかを身内に伝えるために、見せていただいたのです。 警察は卒倒する可能性があるからやめるように言いましたが。

事件性も示唆されましたが、娘さん(利用者)の障害状況なども説明し、現場検証等の結果も犯罪性はないと判断され、彼女の疑いが晴れました。

その時点で親戚がいるのかどうかもわからないですし、とりあえず、入所・ショートステイ探しと移動はケースワーカーに任せ、家族・親戚探しは私たちがやった次第です。

そして、別な施設のケース。
その父親は調子が悪くなり、自分で救急車を呼び病院に搬送されました。その後に、息子さんは施設から出たのは、15時30分すぎ。

夜20時過ぎに行政から父親が入院したということで連絡が入り、家を見に行ったら、彼は真っ暗な中に座っていたのです。

いつもはお父さんが出迎えてくれる。
玄関は開いていたのにお父さんがいなかった。
だから、そのまま座って待っていた…ということでしょう。
言葉がない人なので、確認できていませんが。

私たちがこの利用者の人の家に行ったのは、彼が施設を出てから5時間くらい経っています。
ずっと座っていて、何のアクションも起こすことができなかったのです。

無事でいてくれたことにほっとし、まずは父親に会うために入院先に向かい面会していただきました。父親はもう危篤状態で意識がなかったので、これで最後のお別れである話をしました。わかったかわからないかはわかりませんが。そして、病院を出たあとコンビニで食事を買って車中で食べていただきながら、その間にショートステイを探して、運よく空きがあったので利用を開始しました。

実は入所先が決まらず、その後2年くらいショートステイでつないで行きました。

二つの事例を自立という視点で考えたいと思います。
一人目の彼女が3日間生きていたのは、自立できている部分があったからです。
そして、二人目のケースは、発見が遅れれば、何が起きたかわかりません。

人は突然死ぬ可能性があります。
親として何を準備するべきなのでしょうか?

個々のご家庭でそれぞれ違いはあるでしょうけど、私の目の黒いうちは…などと思ったり、子に私より1日早く死んでほしいとの願いは、子の人権の侵害していると思った方が良いのです。

そして、「親あるうちに」を合言葉に、親として今のうちにできることは何か?と考え、自立の手助けをしましょう!

子は親がなくなっても、今日と同じように明日を生きるわけですから、自立の視点でも、今からできることは多々あることでしょう。

何から始めるか?

親としての課題であり、職業的支援者としての課題でもあると思います。

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そして、ここから考察していきたいと思います。
有料になりますが、もしよろしかったらお読みください。


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