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グループツアーのフライト状況、隣席に座れない新婚カップル。お座席問題について。

2人で申し込んだハネムーンのツアー。それなのに、長時間フライトで席が離れ離れで涙。

コロナ禍を越え、ようやく念願だったハネムーンへ。
ワクワクした気持ちでツアーに参加した初日。12時間のフライトなのに、新婚夫婦は離れ離れの席になってしまいました。
なぜ?

今回は最近頻発する飛行機のお座席問題についてシェアします。


コロナ後の航空業界の状況

長かったコロナが落ち着き、ようやく日本でも「海外旅行へ行こう」という気持ちになる方が増えてきました。
2024年のGWは、すでに完売しているツアーも多く出ているようです。

さて、しかし。
航空業界ではコロナによる打撃がまだまだ残っています。
コロナ前の状況に比べると、離発着便などは少しづつ回復しつつもまだ6割程度の状況です。
詳細を知りたい方は是非以下のリンクをご覧になって見てください。

<国土交通省><経済産業省>による解説です

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001467196.pdf

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kokuki_uchu/pdf/004_05_00.pdf

このようなNHKの記事も参考になります

航空業界において、人材不足などの大きな影響もあり、まだコロナ前のような状態まで回復するには難しい現状です。

つまり、コロナ前のように飛行機が飛び、そのためのサービスを得られる状況に未だなっていないということです。

コロナ禍に行きたかった旅行へ行けなかったというストレスもあり、人々は以前にも増して旅行への熱い気持ちが増えているように思います。
グループツアーをお世話する添乗員として、昨今のお客様の気持ちに触れることが多いのでよくわかります。

しかし、ご要望が多くあったとしても受け皿はわずか。

回復しきっていない少ない運行便に多くの旅行者が集まるので、どんなフライトであっても「満席」状況がうんざりするほど続いています。
今まで人気の低かった航空会社だろうと、複数乗り継ぎでのフライトだろうと、エコノミー席もビジネス席も「満席」だらけです。
これが今の状況。

グループツアーで利用するフライトとは?

個人旅行とは異なり、グループツアーでの航空便予約は「グループでのブッキング」となっています。
この空港便予約などについては私の業務外なので、詳細については全てわかっているわけではないことをご理解ください。
旅行会社ではプランを担当するもの、予約を担当するものなど、それぞれがそれぞれの資格などを持ち業務にあたっていますので「畑違い」。
聞き齧った話や航空会社スタッフさんに質問したりして得たわずかな情報をもとに「こうなんだろう」ということをお話ししておきます。

個人旅行でフライトを予約すると、「通常料金(一般料金)」や「割引料金」といったものが選べます。
それぞれに条件があり、その条件をのむことで同じフライトの同じ座席を割安で購入することができたりします。
例えばキャンセルが出来ない、変更が出来ない(出来ても有料)などリスクがあります。一度でも海外旅行の航空券を購入した経験のある方はご存知だと思います。
それではグループチケットは?(ここからは私の予想も入ってのお話です)
20〜30人というまとめて購入するチケットは、例えば美術館などの入場料も「団体チケット」ということで割引になると思います。
そして、そこに「条件」というものが加わり(キャンセルや変更をしないことや、少々乗り継ぎが困難と思われるトランジット便など)私たちは個人旅行で行くよりも割安で飛行機を利用することができるのでしょう。
そして、その条件の一つが「お座席の融通は効かない」ということのようです。
通常料金を払われるお客様のお座席リクエストが優先されるのは「価格」を考えれば納得できると思います。
ざっくりと言ってしまえば「残り物」の座席をグループの人たちで使ってね、という形なのかと思います。

厳しくなってきた空港チェックイン

最近は減便による満席フライトが多いからか、キャビン内でのトラブルも増加傾向にあるようです。
特に預け荷物や手荷物についてのルールは以前に増して厳しくなり、重量制限への措置も厳しくなりました。

そして前出の「労働者不足」によるカウンター業務の混雑も激しいです。
係員が少なかったり、経験不足の係員ばかりだったりして以前よりもチェックインに時間がかかり、航空カウンター前に長蛇の列ができることも多くなりました。
ビジネスクラスのお客様までも長時間並ばれている様子もよく見られます。

そのような状況でカウンターでは「座席変更をしてほしい」「同行の人と隣同士になれる空席を探してほしい」と言ったリクエストに対応するも、ここ最近はどこの航空会社も一旦探してはくれるものの「すみません。こちらのフライトは満席となっておりお座席の無料変更は致しかねます」と言われることも多くなりました。
そして、「有料席でしたらご案内できます」と言ったオプションもフライトによっては増えてきたようです。

お隣席、前方席などは「有料席」として、別料金を支払えば確保できるというサービスです。
航空会社や路線によって設定は様々ですが、どうしてもグループツアーでも隣同士や前方の席に座りたいという方は料金さえ支払えば変更してもらえるのですから利用しない手はありません。

ツアー会社によってはすでにツアーのお申込み時に「別料金(オプショナル)で飛行機のお座席の事前指定を承ります」と言ったサービスを始めているところもあるようです。

一生に一度のハネムーンや、小さな子供さんや高齢の家族と隣同士でフライトを楽しみたいと願っている方には良いサービスだと思います。
そのような気の利いた有料席の設定の無いフライトの場合は…与えられた席は運試し…と捉えてください(としか言いようがありません)。

お客様に空港の受付でお会いするなり「絶対隣の席がいいの」「私はお手洗いが近いから絶対に通路側じゃないと困る!」と添乗員へフライトのお座席の要望をお伝えになることもよくありますが…
それは医師免許を持たない看護師さんに手術を依頼しているのと同じようなこと。お気持ちはお察ししますが何とも対応することができない立場なのです。
出来ることと言えば一緒に航空会社のカウンターへ行って、航空会社のスタッフに席の変更を頼むことくらいですが、正直添乗員が頼んだ所で満席のフライトの座席が増えることもなく…結果は同じという感じです。

何が何でも、どうしても隣同士、どうしても通路側と強くご要望がありながらもグループツアーに参加されたいという方は、ツアーにお申し込みされる際に受付窓口にて有料の座席指定ができるコース(フライト)なのか、もしそうでない場合はかなり高くつきますがビジネスクラスを利用するようにしてビジネスクラスのお座席確保が確定してからツアー申し込みをするという形しか今は方法がないように思えます。
ツアー会社によっては「往復の飛行機は隣席です!」と条件を明らかにしているコースも出始めているようですので、パンフレットをしっかりと読み込んでからお申し込みくださいね。

そうそう、ついこの間までは「グループ内での調整をしてください」と航空会社から許可をいただいて散らばっているお客様の座席をグループの中で変更することもできたのですが、最近はパスポート情報とお座席情報が合致しないとならないとしている航空会社が多いので、添乗員の配慮でお客様同士のお座席チェンジをするといった行為も難しくなってきています。
体格が似たような方が1組程度チェンジするくらいならば許可してくれるかもしれませんが、重量のバランスや保安要素の問題で断られることが多いと覚えておいてくださいね。
飛行機に乗るということは、航空スタッフの指示に従うというのが原則とされていますので、ご理解の上搭乗をお願いいたします。

心の準備と、モノの準備をしておこう

まずは心の準備が肝心です。
少し昔でしたらご家族や友達と一緒に申し込んだツアーだったら当然のように隣同士に座れたものでしたが、コロナ禍を経て現在は変わっているということを認識しておきましょう。
フライトは別々の席になる可能性が大きいと覚悟しておくと離れ離れになった場合でもショックは少ないです。
慰めにならないかもしれませんが「同じ飛行機に乗れるのだから安心!」というくらいに思っていただけたら良いと思います。
というのも、時々オーバーブッキングという状況を突きつけられるケースがあるからです。オーバーブッキングになれば、最悪別のフライトに変更されてしまう可能性もあります。
天候や機材の具合によってフライトキャンセルになるような状況やオーバーブッキングを味わうと、「同じ飛行機で目的地へ行けるって有難い」と感じるようにもなります。
飛行機移動中におしゃべりをしたい時はギャレイ(CAさんが待機していたり、機内食の準備をするようなコーナー。長時間フライトの際はギャレイで飲み物やちょっとしたスナックを提供するサービスをしている航空会社も多いです。)で立ち話しを楽しむこともできます。
外人さんたちはよくギャレイでワイワイ楽しそうにしていたりしますし、エコノミー症候群対策にも良いかもしれませんね。

時として、海外旅行では「理不尽だなぁ」と思う出来事に遭遇することがあります。スリやひったくりの被害もそうですし、転んで怪我をしてしまったり、忘れ物をしてしまったり、期待たっぷりで訪れたお店が臨時休業だったり…
希望通りの座席でフライトとなるのも理不尽な出来事の一つだと思います。
ただ、本当に旅を上手に楽しむ人々は理不尽な出来事も「帰国して数日経つとどんな出来事も良い思い出になって心に残ります。来年には笑い話として友達に話していることでしょう。」と驚くほど早く心のシフトチェンジをなさっています。不愉快な思いや、モヤモヤを引きずれば引きずるほど「旅はつまらないもの」になってしまいますから、やはり意識的に気持ちの切り替えをして、限られた旅の期間を楽しい気持ちで過ごすようにしてみてください。

さて、それでは「ぼっちフライト」の準備を考えてみましょう。

今はエコノミークラスのお座席にも立派なモニターが設置され、インフライトのエンターテイメントサービスが充実してきています。
音楽や映画、ゲームといったものがお座席で楽しめます。
LCCを使う場合はモニターなどのサービスがないという場合もありますが。

長いフライトも楽しい映画やドラマを2〜3本観ているとあっという間に目的地が近づきます。
スマホやタブレットに動画をダウンロードしておくことをお勧めします。
音楽やゲームなどもダウンロードしておくと暇つぶしになるでしょう。
また、雑誌や文庫本という読み物も準備しておくと良いです。

過去、強者のお客様は編み物を持参され、機内で黙々と編み物を楽しまれていました。「この国に行った時に編んだセーターと思うと、より一層楽しめるものなんですよ〜」とおっしゃっていました。
絵を描いてみたり、俳句や詩を書いてみたり、アナログな1人パズル(ルービックキューブとか!)なんてものも良いのかもしれませんね。

現地に到着するのが朝や午前中の場合は、そのスケジュールに合わせて機内ではひたすら眠ることに徹するという方法も良いと思います。
アイマスクやヘッドホンを準備して、しっかり眠ることで時差調整に役立つ理想的な空の旅となるでしょう。

また、先日のグループにいらっしゃったお客様はベテランの1人参加ツーリストさんで、隣になった外国の方とすっかり打ち解けて仲良しになっていました。
その方は、個包装の日本のお菓子を多めに準備されて、隣になった方にプレゼントすることで会話のきっかけを掴み、片言の英語で楽しくお話をしてフライトを過ごすようにしているとおっしゃっていました。
旅行を楽しむ素晴らしいアイディアをご存知のお客様だと感心しました。
確かに隣の方と上手にコミュニケーションを取ることができれば、ちょっと楽しくフライトを楽しむこともできますし、思い出にもなりますね。

長時間フライト、添乗員が伝授する「ぼっちで楽しむコツ」

添乗員はいつだって「ぼっちフライト」です。
たまに同じフライトで他の添乗員と一緒になることもありますが、大体はひとりぼっちで過ごします。
機内では報告書や精算書を作成したり、仕事に時間に充てることも多いですが、休息時間として過ごすようにしています。

まずは音楽や動画を楽しめる準備はしっかりとしておきます。
イヤホンやモバイルバッテリー、ケーブルなどは手荷物に準備。
のど飴やチョコなど小腹が空いた時に困らないおやつも完備。
タブレットには本のアプリ(私はkindle)を入れ、雑誌や本を数冊ダウンロードしておくことも忘れません。
もともと一人旅が好きなので、ぼっちフライトが寂しいとか怖いとか思うこともなく、のんびりと快適に過ごせるのだと思います。

ぼっちで楽しむコツは、1人でも退屈せずに過ごせる準備を徹底すること。
暇つぶしのためのアイテムを複数用意しておけば、数時間のフライトもあっという間に感じられることでしょう。

あと一つ加えるとしたら、隣や前後の座席の人や担当してくれるCAさんと気持ちよくコミュニケーションをとるように心がけることもコツの一つです。
笑顔で挨拶をしておくことで、自分が座席の下に何かを落としてしまった時に助けてくれたり、頭上の荷物入れから重い鞄を取ろうとすると手伝ってくれたりと「1人だから助けてくれた、手伝ってくれた」と嬉しく思うことも多いです。

バラバラのお席になってしまったとしても、旅そのものを台無しにはしないで、「ぼっちフライト」を楽しんでみてくださいね。
飛行機から降りた時、互いにぼっちフライト報告をしあって思い出を共有してみてください。


今回はグループツアーのフライトお座席についてお話ししてみました。
皆様の参考になればと思います。

他にもグループツアーについて、色々と書き進んでいます。
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添乗員MIDORI

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