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常盤湯治旅 初日

ゴールデンウィークの大混雑を想像し、朝五時に起きて、上野6時発の各駅停車・水戸行に乗った。

今回は、モバイルSuicaを試すということで、スマホで改札を通過し、スマホでグリーン車のチケットを買うことにしていた。

改札を、画面ロックのまま通ろうとすると入れない。

えー、マジか~、ととりあえずロックを外して改札にタッチすること2回。タッチの位置が合ったようで、入ることが出来た。

モバイルSuicaは、ロックなしで使えると聞いていたのに、と設定を見直したら、ロックを解除しないと使えない設定になっていた。

早速変えて、グリーン券もスマホで買う。

水戸行きの朝二番目の水戸行きに乗ると、思ったよりもかなり空いていた。

グリーン席にタッチも出来た。

ホッとする。

あれっ、チャージしないと、出る時に運賃が足りないぞ。

三千円のチャージをしようとするが、何度もエラー。

使い始めは、あまりチャージできないようになっている。

これでどうだ!と二千円に変えるとチャージできた。ギリギリ運賃超え。

水戸までは、うつらうつらとしていたが、乗り換え後の、いわき駅までの電車では、本を読んだ。

今回の旅では、ゆっくり本を読むのも目的。

平田オリザさんの本を読んだ。

彼は、学校教育に演劇を取り入れる活動の第一人者だ。

私は「教育に演劇」の考えを知った時、今の日本に足りないのはこれじゃないか、と感じた。

自分の子供時代の息苦しさも、娘が小学校時代の途中から、どんどん生気を失くして中学校の2〜3年生を登校拒否(親の意思でもある)で過ごしたことも、演劇的な手法が、学校の授業に当たり前にあったら、こうにはならなかったんじゃないか、という直感からだ。

どうすれば、そんなとこが可能なんだろうか、この2年ほど考えていた。

話は変わるが、先日ツイッターを見ていたら、地元を演劇活動の拠点にしてくれているかたが、何気ないコメントをしていた。

数年前に、偶然私も見た演劇がネットで配信になっていて、その俳優さんが「是非観てください」と。

私は、日常生活で少しでも会っている人の演劇しか行かないが、これは誰も知らないのに観劇した唯一のもの。

この演劇の配信のことをツイートした俳優さんとは、そんなに店先では会わないが、もし会えたら自分も観たと、伝えたかった。

すると、なんと、数日後に天丼を買いに来られた。

「俺も、あれを観たんですよ!」といきなり言ったら、キョトンとされたが、説明すると分かって頂いた上に、びっくりすることを聞いた。

「あの演劇の作・演出の作者は『青年団』同期なんですよ」とのこと。

青年団。

聞いたことはある有名なグループだけど、と思って後で検索したら、平田オリザさんの立ち上げた団体で、演劇をする地域との関わりを大切にしているとも、書かれていた。

これって、演劇の手法を教育に取り入れることに関して、話を聞かせてもらうとしたら、一歩前進できる人に会えたんじゃないか。

次に会って、話を聞かせていただくのも後のことだと思うので、これを買った。

大きな本屋に何冊かあった平田オリザさんの著書の中で、一番読みやすそうだし、読みたいことが多く書かれていそうだった。

今日の電車の中で読んでいて、びっくりした。

まさにそうだ、と自分も考えてnote等にも書いていた部分だけでなく、司馬遼太郎の「菜の花の沖」や宮沢賢治の「農民芸術概論網要」など、いま自分の根幹ぐらいに考えている言葉がどんどん出てくる。

更に彼は、東日本大震災の後に、福島県いわき市の高校で活動もされていた文章を、いわきに向う電車の中で読んでいる不思議。

とは言うものの、こんな偶然は、時にあるもの。

私が何もしなければ、何も起こらないだろう。

 ◇ ◇

いわき駅では、かねてから行きたかった地元の魚を大切にしている寿司屋に入った。

寿司屋と言っても、駅前のショッピングビルの一階にある、誰でも入れる感じの、落ち着いた感じで回転しない回転寿司みたいな店。

メヒカリを知らない人も多いと思うけれど、このエリアの深海で採れるメヒカリが最高と、言われていて、名物のメヒカリづくしをいただいた。


そのままや、炙り、味噌ダレなど。メヒカリは脂が多くてそのままだとボヤけた味になるので、炙りや味噌味の味変が有効。炙りが一番人気だけど、私は味噌ダレが良かった。

午前から、地元の又兵衛を1合飲んでしまう。

膝の調子が悪いので、バスで温泉に向うことも考えていたが、どうしても歩きたく、足を引きずって歩いた。

歩いているうちに、痛みを抑える歩き方が分かってきて、7キロ程歩き切れた。

やっぱり、自分の体で前に進む、と言うのはたとえ遅くても最高の気分だ。

福島は花盛り

開発された新興住宅地を歩いていると、突然森が現れた。


急に車のエンジン音も途絶え、鳥や蛙の声だけになった。


中に通される
山小屋のにおい
小さな湯船、だけど効き目は宇宙戦艦

この宿の世界観はヤバい。

つげ義春の世界だ。

タニノクロウさんの無明の宿とも同じ匂いがある。

開発が目の前まで進んでいる中での、ギリギリ残されている宿。

そして、気づくと、一挙手一投足、どこかから見られているような隠微な閉塞感。

日本の「ホテル・カリフォルニア」がここにある。

そしていま、その無明の宿から十分ほどのニュータウンのサイゼリアで飲んで、そろそろ、宿に帰る。

夜も何が起きるかわからない。

また、明日、投稿します〜

今晩のお別れの曲は、この曲です。


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