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実務未経験WEB制作志望者は、就活でフルリモートワークという幻想を見ていないか?

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は実務未経験でWEB制作職への就職希望者がフルリモート可の仕事に就くのは案外難しい、という事について語ります。職業訓練・スクールでWEBデザインを学んでいる人、就活中の人に読んでいただければ幸いです。


IT企業、WEB制作の現場でもフルリモート勤務可は意外と少ない

電通、ソフトバンクがフルリモート勤務化して、両社の本社ビルがあった汐留界隈がゴーストタウン化している、という話を耳にしたことがありますが、大手企業がフルリモート勤務を推奨する事例はそう多くはありません。

多くの企業はコロナ禍が明けた後、原則事務所に出勤する働き方に戻しています。この傾向は率先して新しい働き方を実践していそうなIT系の企業、WEB制作の現場も同じで、コロナ禍以降も完全フルリモート化を継続している企業は意外と多くなく、コロナ禍以前と変わらない働き方に戻そうとする企業がむしろ増加しているようです。

フルリモートでも客先訪問や出社要請は普通にある

完全フルリモートを導入している企業でも、お客様との打ち合わせで客先訪問や自社事務所への出勤が必要になる事は結構あります。また、月に数回、自社事務所への出社が義務付けられている事もあります。

これは、企業の中枢にいる層に「対面での話し合いでないと大事なことは伝わらない」と感じている人が、まだまだ多くいる事が理由として考えられます。

また、フルリモート可でも入社して日が浅い社員、新卒社会人には研修期間中は出社して業務にあたる事を前提としている会社も多く見受けられます。

新卒、新入社員の教育はフルリモートではなかなか難しい、というのは筆者も体験したことがありますのでこの傾向に関しては全否定はできませんが、新しい働き方を模索する努力を怠って、古い働き方に巻き戻すのもいかがなものかとも思います。

地方住まいの人が大都市圏の企業にリモートワーク前提で就職するのは極めて難しい

前項のとおり、フルリモート可でも出社しなければならない場面は意外とあるものです。したがって、地方住まいで出社=出張レベルの距離感の人が大都市圏の企業にリモートワーク前提で就職するのは、実務経験豊富な人でもかなり難しい事だと考えられます。

コロナ禍の時世でも、東京の企業で全国から応募可の求人というのはかなりレアなケースでしたが、最近はほぼ見かけなくなっています。たとえあってもベンチャー、スタートアップ等の社員数10人未満の小規模で融通の利く企業がほとんどではないでしょうか。

とてもレアなケースで採用される事例もひょっとしたらあるのかもしれませんが、新人研修・教育にかかる手間、フルリモートでの研修の難しさ等の理由から、実務未経験者をフルリモートワーク前提で採用する企業は、ベンチャーやスタートアップ企業ですら皆無とみて良いでしょう。

フルリモート勤務が特権化している企業もある

フルリモート勤務可を謳っていても、実際にフルリモートで勤務できるのは、会社への貢献度が高い人、勤続年数が長い古株、中枢にいる幹部のみに限られていたりと、フルリモート勤務が特権化している会社がある、という話を聞いたことがあります。

実際に筆者がかつて所属していた制作会社でも、コロナ禍以前にそれに近い状況になっていたことがあります。(小規模かつオーナー社長だったので、社長の一存でどうにでもなる)リモート勤務していた人物が会社への売上貢献度が一番高かったので、誰も文句は言えませんでしたが。。。

入社時の条件に研修期間終了後はフルリモート勤務可と記載されていても、研修期間終了後も色々理由をつけてフルリモート勤務を許可しない、という事例もあるようです。

研修期間後は地元に帰郷して仕事をするつもりで上京したのに、なかなかリモートワークの許可が下りず、いつ地元に戻れるかもわからない、などという事例もちらほらとあるようです。

企業勤めで「フルリモートワーク勤務」は存外、確実性のない夢物語なのかもしれません。

確実にフルリモートで仕事をしたいならフリーランスになるしかないが、絶対はない

企業に就職して会社員として働く以上、企業の定める就業規則には従わざるを得ません。今現在フルリモート勤務可であっても、将来的に事務所出社の働き方に変わるかもしれません。

どうしても完全在宅、フルリモートワークがしたいということであれば、現状では一番確実な手段はフリーランスになって開業する位です。

ただし、フリーランスの場合でも、お客様によってはどんなに遠方であっても対面打ち合わせや、取材のため、開発環境やセキュリティの問題等で客先で働く事を要求されることもあります。したがって「絶対のフルリモート」という働き方は存在しないのかもしれません。

企業への就職が希望、かつ地方在住で首都圏・大都市圏への通勤が難しい人で、WEB制作の仕事を希望している人は職業訓練やスクールを受講する前に、本当に自分の住んでいる地域にそのような求人があるのかどうかを一度調べてみる事をお勧めします。

もし、企業への就職希望だが地元にはWEB制作の仕事はない、首都圏、大都市圏の企業に就職したいが転居はできない、という事であれば、業界・職種含めて色々と再検討せざるを得ない部分があるのではないでしょうか。

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