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春の車窓より

電車のボックス席というのは、なぜか考え事がよく進む。普段は思いを馳せないところまで考えが巡るので、たまには一人で電車に揺られて遠出するのも悪くないかもしれない。

久々に18切符を使って移動している。道中に色々と話ができたり、観光や食事を一緒に楽しむことができるので、自分は見知った人と旅行に行く方が好きだと思っていた。しかし実際に一人車窓を眺めていると、こういう旅も自由だし落ち着いていて良いなと思う。道中で友人としゃべる楽しみがない分、読書をしたりボーッとしたりと、電車でのひとり旅には割と自由がある。

読みたかった本が読めることや、時にうとうとしながらもゆっくりと目的地に向かって進んでいることが心が落ち着く大事な理由なのかもしれない、と気づいた。なぜなら読んでいる本の内容が飲み込めないままに時間だけ過ぎていくとか、プログラムのエラーを直していたら夕方になっていたとか、まあさすがに今の例が極端とはいえ、一日が忙しなく過ぎ去っていくことは日常生活を送る上でよくあるからだ。座っていれば(かなり重要だ、今まで忘れていた)行きたい場所に確実に向かえている、というのは結構嬉しいことかもしれない。荒んだ思考に思わず悲しくなりながら窓側の景色に目をやる。建物が多く並ぶ街並みや道なりに広がるのどかな田んぼなど、普段訪れない土地の眺めは見ていて飽きない。

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