分からないことを質問する際に気に留めておくポイントについて

バイト先でお世話になっていた先輩がこの10月で転職されることになった。そこで仕事の一部を引き継ぐことになったのだが、初めてのことだったので知らない言葉や初見の状況ばかりで、他の社員さんたちに色々と質問しなければならない場面が多かった。その中で質問する際のポイントについて考えることがあったので、(多くは仕事や研究をするようになってからしか使わないのかもしれないが)今回noteに投稿する形でまとめようと思う。
仕事で初めてやる内容を任された、というような今回のケース以外でも、例えば新しいことを勉強しているときや、研究しているとき、複数の人と協働して作業をするときなど、分からないことに突き当たる中で周りの経験者に質問することになる場面は多く出てくるはず。質問する内容は当然状況によって異なるのでこのやり方ならいつでも使えるという型は本来はないと思うが、今回のように意識するべきポイントをある程度明確にすることで、どのように質問すれば良いか悩む手間を極力省き、分からない問題によってただでさえ圧迫されている脳の容量を純粋に質問内容を考える方に割くことができるので有用だと感じている。

質問を出すことになる場面というのは先に挙げた例以外にも、普通に話をしている中で気になることがあったときや誰かの発表を聞いた後など本当に様々な種類がある。しかしどの場面でも原則として守っておくべき姿勢が2点あると僕は思っている。それは「質問内容を明確にすること」と「質問相手への配慮を持つこと」だ。1点目を守れていなければ質問を受けた相手が戸惑うのはもちろんのこと、自分はAについて知りたいのに相手からはaという答えしか返ってこないという状況にもなりやすい。2点目も当たり前のことで、質問する相手の存在が前提にある以上は高圧的・感情的に聞いて相手の気分を害さないようにするのは最低限のマナーだろうし、だらだらまとまらない質問によって他の人の時間を必要以上に奪ってしまうことはなるべく避けたい。

上の2つを踏まえ、本題の通り分からないことを質問しなければならない場面で意識すると良いポイントについて考えてみたところ、次の4つにまとめられた。「質問内容を明確にするための考え方」、「質問のフォーマット」、「質問相手への配慮」、そして「質問回数を減らす工夫」である。順番に説明していこう。
分からないことで頭がこんがらがった状態で質問しようとすると、「〜なんですがどうすれば良いですか?」という聞き方になりがちである。これは
・〜部分の内容が実は複数の疑問点が絡んでいたりして不明瞭になり、どこでつまずいているのかが見えにくい
・理解できていない内容を教えれば良いのか、有効な方法について説明すべきなのか、答え方が分からない
といった問題が生じやすい。こんなときは「なぜ〜になっているのか」を出発点に順々にステップを踏んで現在ぶつかっている状況を再現してみると、どこで自分が躓いているのかがクリアに理解できて便利である。物事を正確に伝えるときの注意事項としてよく5W1Hが挙げられるが、理解に躓いているポイントというのは経験的に
・何が分かっていないのか(What)
・どうすれば良いのか(How)
の2つに大別できると感じている。これらの疑問詞を鍵にステップを辿っていく中で、上手く答えられなかった部分が自分の躓いているポイントになる。

質問したい内容がある程度見えていても、質問の形式が効果的なものでなければ相手は内容を掴むのに苦労する。そのため、質問する際はそのフォーマットについても考える必要がある。まず始めに、分からない項目や問題があるというのはそこに①自分の考え方と②正しい内容または最適なやり方とのギャップがあるということなので、①について説明した上で②について教えてください、と聞くのが大きな流れになると思う。この2つが明確にできていれば質問を受けた側もどう答えれば良いかイメージがしやすいし、例えば「さっき△△と言ってた部分があると思うけど、実はそこは□□で〜」というように①で出た情報を踏み石にして②の説明ができるという利点もある。
ここで先ほどのWhatとHowの分類に対応させる形で、より具体的な聞き方について考えてみる。まずWhatの躓き(何が分かっていないのか)については、①にあたる自分の理解の度合いによって「内容が分かっていない」または「内容について〜と認識しているが誤解がありそう」という2つのパターンに分けられる。よってそれぞれ
・内容が分かっていない→「(躓いた内容)という部分が分からないのですが、教えてもらえませんか?」
・内容に対し誤解がある→「(躓いた内容)という部分について、自分は…という理解/認識なんですが、これで合っていますか?」
みたいな聞き方ができる。
次にHowの躓き(どうすれば良いのか)についてだが、この質問が出るときは「ある程度見当をつけてやってみたものの上手く行かなかった」とか「自分は〜という風にやったが、自分よりできる人はどういう感じにやるのか知りたい」といった、①にあたる自分のやり方がしっかりとある状況が多い。見当が全くつかない場合はWhatの「内容が分かっていない」ケースで「どうすれば良いか教えてもらえませんか?」とすれば対応できるし、自分でやり方を考えていないならばまずは試してみた方が良いと個人的に感じている(「質問回数を減らす工夫」で後述する)。そのため
・「(躓いた内容)という部分について、自分は(方法)で(結果)になってしまったんですが、〇〇さんだったらどうされますか?」
みたいな聞き方ができれば、答える側は疑問点を解説するだけでなく、躓いた部分も把握しやすいのでよりピンポイントな説明がしやすくなるだろう。

質問相手への配慮については、相手が気持ちよく答えられるように固くならないほどの丁寧さで聞くのが大切だと思っている。加えて気に留めておいた方が良いと思うのが、質問相手の時間的都合である。チャットで聞きたいことを自由なときに相談できる場合は別だが、例えば仕事でなるべく早く答えて欲しい問題が出たのに、質問に答えられそうな人が他の作業で忙しくしているときもある。こういう場合は質問の前に「質問が何点かあるんですが、今って時間空いてますか?」みたいな確認の枕詞を入れておいて、難しそうなら都合の良い時間帯を聞きつつ質問したい部分を大まかに伝えておけばスムーズに話を進めやすい。

質問するというのは知りたい部分が何かを明らかにして、他の人の助けを得ながらでも理解しようとすることだから、分からないことがあるうちはどんどん質問するべきだと思う。ただ、1回質問して間を置かずにまた質問を繰り返すのは、答える人の時間を無闇に奪って負担をかけることにつながるのでできれば避けたい。そこで、慣れない仕事をこなす際に僕がよく使っていたのが、分からないことが出てきてもまずは自分で考える時間を取るようにするやり方である。調べてみて自分で理解できたらそれに越したことはないし、疑問点を2つか3つストックできればまとめて質問できて効率が良い(あえて「質問回数を減らす」と書いたのは、このような工夫ができるからだ)。調べてみても自分の知識では堂々巡りすると感じたり、ここで躓くと後の部分が理解できないと分かったタイミングでヘルプを出す。
もう1つのやり方は、疑問点についてだけでなくその解決のためにはどうすれば良かったか、何を知っていると良いか、みたいな方法論的な質問を出すことである。例えばプログラムを実行して全く見当のつかないエラーメッセージに遭遇したとき、ただエラーの解消方法を聞くだけではなく、どう検索すれば解決策が載ったWebページを見つけられたかも聞いていれば、次からは自力で対処できる可能性を高められる。

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