TDAI Lab

株式会社TDAI Labは東京大学鳥海研究室発のAIベンチャーです。 最先端のAI技術…

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株式会社TDAI Labは東京大学鳥海研究室発のAIベンチャーです。 最先端のAI技術と高速なシステム構築で、企業にこれまでにない競争力を提供します。

マガジン

  • AIの社会的リスク

    東大発AIベンチャーのTDAI Labは、AIによる社会的リスクを扱うリーディングカンパニーとして、フェイクニュース対策や生成AIの安全な利用法について発信しています。

最近の記事

定額減税をめぐる議論の深まり~支持と懸念の狭間で議論が過熱~

定額減税とは、一定額の税金を減税する制度のことです。2024年6月の導入に向けて、国民の間で賛否両論が渦巻いています。そこで、今回は定額減税に対する世論の反応を分析していきます。 定額減税とは?定額減税は、納税者本人と扶養家族1人につき、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が税金から控除されるものです。主な目的は、国民の可処分所得を増やし、消費を促進することにあります。しかし、減税によって国の財政が悪化する恐れもあり、議論の的になっています。 定額減税に関するアンケート

    • AIが生成した画像の著作権問題~過去の判例とサービス提供企業の対応~

      近年、人工知能(AI)による画像生成技術が急速に進化し、リアルで高品質な画像を作り出せるようになってきました。ただし、この技術の発展に伴い、AIが生成した画像の著作権をめぐる問題が浮上してきました。果たしてこうした画像には著作権が発生するのでしょうか。そして誰が著作権を持つのか。この問題を実際の裁判例と企業の対応から考えていきます。 生成AIによる画像生成AIに単語やフレーズを入力するだけで、指定された内容の画像を生成できるのがこの技術の特徴です。DALL-E、Stable

      • 偽情報撲滅を目指すAI~最新のディープフェイク検知技術~

        生成AI技術が発展し、近年ディープフェイクは大きな社会問題となっています。前々回の記事でお伝えしたとおり、ディープフェイクには大きくテキスト、画像、音声、動画の4つの形態があり、それぞれの領域で検知技術が研究されています。前回の記事では、テキストと画像の最新論文を紹介しました。今回は、音声・動画のディープフェイクを検知する最新論文を紹介します。 音声・動画ディープフェイク検知CVPR 2023 workshopに採択された音声・動画検出の最新論文を紹介します。「Multim

        • 偽情報と戦うAI ~最新のディープフェイク検知技術~

          ディープフェイクによる偽情報が社会問題化する中、その対策技術の研究が加速しています。前回の記事でお伝えしたとおり、ディープフェイクには大きくテキスト、画像、音声、動画の4つの形態があり、それぞれの領域で検知技術が研究されています。今回は、最新の研究動向に焦点を当てて、主にテキストと画像の最新論文を紹介します。 テキストテキスト内の偽情報検出に関しては、今年Google DeepMindから発表された最新論文を紹介します。 「LONG-FORM FACTUALITY IN

        定額減税をめぐる議論の深まり~支持と懸念の狭間で議論が過熱~

        • AIが生成した画像の著作権問題~過去の判例とサービス提供企業の対応~

        • 偽情報撲滅を目指すAI~最新のディープフェイク検知技術~

        • 偽情報と戦うAI ~最新のディープフェイク検知技術~

        マガジン

        • AIの社会的リスク
          11本

        記事

          AI革命時代の新たな脅威~ディープフェイクを見抜く技術の現状と課題~

          ディープフェイクとは、AI技術を悪用して作られた偽の画像や動画のことを指します。最近では、有名人の顔や声を無断で使った偽ポルノ動画の拡散や、政治的な偽情報の流布など、ディープフェイクによる深刻な問題が起きています。以前の記事ではディープフェイクを作る技術について紹介しましたが、本記事では、特にディープフェイクの検出技術に焦点を当てて解説します。 背景近年、AIやディープラーニングの技術が飛躍的に進化したことで、ディープフェイクと呼ばれる高度な偽画像や偽動画の作成が可能になり

          AI革命時代の新たな脅威~ディープフェイクを見抜く技術の現状と課題~

          【米大統領選2024】トランプ支持者がAI生成画像で黒人有権者を誘導か?

          近年AIの発達により、ディープフェイクと呼ばれる高度な偽画像・動画の作成が可能になっています。2024年11月の米大統領選に向けて、AIによる偽情報がすでに出回り始めており、有権者を惑わせる恐れがあります。AIに惑わされないためにどうすれば良いか、事例を見つつ考えていきましょう。 背景2024年の米大統領選に向けて、AIで作られた偽画像がソーシャルメディアで拡散されました。BBCの調査番組「パノラマ」が報じたところによると、トランプ前大統領の支持者らが、トランプ氏と黒人有権

          【米大統領選2024】トランプ支持者がAI生成画像で黒人有権者を誘導か?

          シェアを意識してニュースを読むと偽情報に騙される!?~ソーシャルメディアがフェイクニュースを助長するワケ~

          ソーシャルメディアは今や私たちの生活に欠かせないものとなりましたが、同時に、フェイクニュースが広まる場としても知られています。ソーシャルメディアがユーザーの「真偽を識別する能力」に与える傾向を分析した論文「The social media context interferes with truth discernment」によると、シェアを意識してニュースを読むと真偽の判断力が低下してしまうことが指摘されています。 本記事ではこの論文について解説をしつつ、ソーシャルメディア

          シェアを意識してニュースを読むと偽情報に騙される!?~ソーシャルメディアがフェイクニュースを助長するワケ~

          フェイクニュースは真実よりも速く広く深く拡散されやすい~X(Twitter)上のデータから明らかに~

          ソーシャルメディアなどのプラットフォームが急速に発展し、個人が簡単に情報を発信し、世界中の人々と共有できるようになりました。このような状況下で、真実と虚偽の情報がどのように広がるかについて分析した論文「The spread of true and false news online.」によると、フェイクニュースは真実よりも拡散されやすい性質があると指摘されています。 本記事ではこの論文について解説をしつつ、いかにして偽情報が拡散されるかについて議論していきたいと思います。

          フェイクニュースは真実よりも速く広く深く拡散されやすい~X(Twitter)上のデータから明らかに~

          デマの訂正情報の拡散はむしろ逆効果!?~コロナ禍のトイレットペーパー不足から考える訂正情報の適切な流し方~

          デマが流れた際は訂正情報を流し拡散さえすれば問題は終息すると思ってはいないでしょうか?実はそう単純な話ではないという研究結果があります。2020年2月に日本で起きたトイレットペーパーデマに起因する社会的混乱を分析した論文「Impact of correcting misinformation on social disruption」(米国科学誌「PLOS ONE」に掲載)によると、訂正情報の拡散はむしろ逆効果であったことが指摘されています。 本記事ではこの論文について解説

          デマの訂正情報の拡散はむしろ逆効果!?~コロナ禍のトイレットペーパー不足から考える訂正情報の適切な流し方~

          なぜSNSばかり見ていると危険なのか?~エコーチェンバーとフィルターバブルが引き起こす意見の極端化~

          近年、SNSの普及や情報技術の発達により、私たちは自分と似たような意見の人々と簡単に接することができるようになりました。しかし、この便利さは時に問題を引き起こすことがあります。それが「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」呼ばれる現象です。これらの現象が形成される背景や問題点、具体例を理解することで、私たちが多様な情報を取り入れ、メディアリテラシーを向上させる重要性がわかります。 エコーチェンバーとフィルターバブルとは エコーチェンバーとは、SNSなどで自分と類似した考

          なぜSNSばかり見ていると危険なのか?~エコーチェンバーとフィルターバブルが引き起こす意見の極端化~

          ディープフェイクの概要と既存技術の紹介~今AIで何ができるのか~

          ディープフェイクは、「ディープラーニング」と「フェイク」の組み合わせによる造語で、人工知能を使って人物の動画や音声を合成する技術を指します。この技術はもともと、映画製作やエンターテインメント業界での作業効率を向上させるために開発されました。 しかし、そのリアリティと高い精細度から、不正な使われ方も増えており、現在では偽動画の代名詞ともなっています。ディープフェイク技術は、ポルノへの転用によるプライバシー侵害や尊厳侵害、フェイクニュースによる政治的または防衛上の混乱、詐欺、企

          ディープフェイクの概要と既存技術の紹介~今AIで何ができるのか~

          「紅麹」の事例から学ぶ誤情報や偽動画への対策方法

          今年3月から話題となっている「紅麹」問題。未だ原因物質が特定されていない中、多くの憶測がSNSで飛び交っています。「ベニコウジ色素」という食品の着色料が危険だとするデマや、小林製薬の社長が記者会見で健康被害の原因について述べていない内容を述べたとするフェイク動画が拡散しています。本記事では何が正しい、間違っているといった情報を提示するのではなく、様々な偽情報が飛び交う中で意識しておくと良いポイントをいくつか紹介したいと思います。 個人の意見は信頼度が一番低い 情報の確認方

          「紅麹」の事例から学ぶ誤情報や偽動画への対策方法