記憶
私の耳には5つのピアスホールがある。
若かりし頃、人生に失敗する度に穴を開けるという、謎の所業により。
この反省を体に刻んで覚えておこうと思ったお馬鹿さんなんです。中途半端なのよ。龍とか桜くらい背負う覚悟もなく、ピアスホールくらいで反省した気になっていたなんて!ほんと馬鹿。
失敗苦悩愛憎羞恥後悔懺悔反省
今思えば、ただの思い出の5つのピアスホール。年齢とともに無駄に積み重ねられた経験のお陰で、今ではちょっとやそっとで反省も後悔もしないし、ピアスの穴も増えない。
「記憶」というもの
大好きだった人、大嫌いになった人。
青い春。クソみたいな恋愛。
取捨選択した命、捨て去った結婚生活。
どん底だった日々。
それらの記憶を一緒くたに偶像化して美化して、書き換え塗り替え、すり変えられて全て良い思い出か、無かったことにして。私の人生は大方成功だと思っているんだから、随分とおめでたいこと
本当に起こったのか?
本当に存在したのか?
それすら最早わからない。
記憶の書き換えを通り越して、
私の捏造なんじゃないのかとすら思う。
ピアスの穴を開けた時は
その時はその時で、のたうち回る程苦しんでいた筈なのに。私の記憶なんて、私の都合よく、私が生きやすいように上書きしたんだな。
その時の感情と向き合うのも、引き摺るのも苦しいから。美化して書き換えて塗り替えてすり変えてしまった、ていのいい私の「記憶」
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