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東洋医学概論についていけない?

 鍼灸学校に入学して2か月を過ぎてきていると思いますが、いろいろな科目の学習が始まって、覚えることも理解することも多くて大変ではないでしょうか?

 解剖学・生理学は、見えるものなので、単語を覚えて、図や絵で理解していくことになるので、理解できるところもあるでしょうが、東洋医学概論って何なのだろうか?と不安になりませんか?

 大丈夫です。

 きっと理解できます。

 ただ、理解していくためには段階が必要なので、少し時間がかかってしまうのは仕方がないことです。


1.わからなくて不安になる


 東洋医学概論を勉強しはじめたときに、最初に感じるのは、「わからない」ということではないでしょうか?

 これは当然で、今まで学習してきていないことになるので、覚えにくいし、理解しにくいのは当然です。

 しかも、解剖学や生理学であれば、図もあるし、実際に存在しているので、理解しないといけないというのはわかるでしょうが、東洋医学は図があっても、実際に存在していないので、覚えにくいし、理解しにくいです。

 これは東洋医学の用語は、存在している物を調べるという視点から拡大した現代医学と違い、人の身体はこうやって成り立っているのではないかという想像から作られたものなので、イメージが理解できないと理解するのが難しくなります。

 昔は、顕微鏡などの観察する道具がないので、人が生きているという状態がどのようにして成り立っているのか想像するしかありませんでした。

 しかも、「言葉」は必要に応じて作っていくので、人の生命や活動に関しても「言葉」を作っていきます。現代医学が主流になるまで、この東洋医学独特の「言葉」は当然のように使われていましたが、現代では、現代医学が主流になっているので、東洋医学の「言葉」は使われていません。

 使われていない「言葉」なので、初めて学習する用語になってしまうので、「言葉」を覚えて「理解」する必要も出てくるので、最初は本当に大変なのです。

 歴史はどこかでゼロになることはなく、太古の昔から今もつながっているので、昔に使われていた言葉も、意味や内容が変わって伝わっていきます。

 例えば、「情けは人のためにならず」は本来の意味は「人に情をかけておけば、巡り巡って自分に返ってくるので、人にかける情けは自分のため」という意味になりますが、「人に情けをかけるとその人のためにならない」と違った解釈が出てきます。

 ほかにも、マナーということで、昔の言葉や風習が現代にもつながっているということで誤った解釈を付けて普及していくことがあります。

 東洋医学を学ぶときには、今まで学習したことは非常にためになる部分もありますが、学習した知識が邪魔をしてしまうこともあります。特に、鍼灸学校では、現代医学も同時に学んでいかないといけないので、同じような用語なのに違う意味になってしまったり、病気の考え方が違うので、理解しにくくなりやすくなります。

2.東洋医学を理解するためには何が必要か?


 東洋医学を理解していくためには、知識も必要なのですが、初めて学習することなので、「慣れ」が必要になるので、「時間」も必要になります。

 鍼灸学校に入って2か月だと、覚えることは出てきているのに、時間が短いので全体像がどうしてもわからない傾向にあります。

 鍼灸師も、東洋医学を学んだ薬剤師、医師もそうですが、初めて学習するときには、「東洋医学は意味が分からない」というのを乗り越えています。

 鍼灸師の国家試験では、東洋医学も出題されますが、多くの鍼灸師は、東洋医学でちゃんと点数を取れているので、時間をかければ理解できていきます。

 東洋医学の学習は「単語」を覚えて、「使い方」を覚えて、「使う」必要があるので、英語の学習に非常に似ています。

 英語も単語を覚えて、文法や使い方を覚えて、使った人がうまくなるものです。鍼灸学校の1年生の段階では、「単語を覚え始めている」段階になるので、東洋医学を理解して使うというのは、もともと難しいです。

 1年生の時期は東洋医学全体を理解するというよりは、単語を覚えて理解するための土台作りと考えていった方がいいです。

 もちろん、学校での授業の組み方、教員の授業のやり方によって違いが出てくる傾向はありますが、東洋医学だけではなく、現代医学も土台作り、理解、臨床というステップがあるので、簡単に言えば、1年生は土台、2年生が理解、3年生が臨床というのはどの学校でも共通しています。

 これは、鍼灸学校は決められた単位を学習しないといけないので、どの学校においても科目はほとんど変わらないので、共通してきています。

 そのため、1年生では土台を作るために、必要な単語をしっかりと覚えようという気持ちになることが大切です。

3.早く理解したくて不安になる

 東洋医学が理解できなくて不安になることが多いのは、早く理解したいという気持ちがあるからです。これは非常によいことなのですが、物事には順番もあるので、順番を飛ばしてしまうと理解しにくくなるので、階段を一つ一つ上っていくのが本当の近道になります。

 例えば、非常に長い階段を登るときは苦痛でしょうし、楽しくもないですが、かなり時間が経てば、高い場所まで登れています。ですが、頂上までたどり着かないと、全体像がつかめないですよね。

 頂上まで登れば、最初の階段は狭くて、上の階段は広かったというのにも気づかないでしょうし、上の方はコケが多かった、中盤の階段では壊れているところもあったという細かい気づきもなくなってしまいます。

 ショートカットするという考え方は、「楽をしたい」というのと同じで、工夫に繋がるので、人間の一つのスキルであり、重要なスキルの一つですが、本当に理解するためには、全部をやってみないとわからなくなります。

 例えば、スマホもそうですが、最低限のことをしようとしたら、使うことはできるでしょうが、スマホの使い方、スマホの応用の仕方、アプリは、本当に理解しないと人に伝えられないですよね?

 東洋医学は、全体で一つのものなので、一部分だけを使おうとしても、他が関係してくるので、使えないし、理解できない不安だけになってしまいます。

4.全体を理解するためには何が必要か?

 それでも全体を理解していきたいという場合には、東洋医学は東洋哲学がもととして成り立っているので、東洋哲学を理解していけば、東洋医学を理解することにもつながります。

 なぜかといえば、もともと東洋哲学で、人の生命、自然を考えて整理をしていったので、東洋哲学を理解すれば、人の生命、自然を理解していくことができるので、考え方が理解しやすいです。

 無理って思いますよね?

 もっと簡単な方法がないのかって思いますよね?

 そうです、教科書がこの簡単な方法になるのです。教科書は中医学(ちゅういがく)をベースに作られていますが、長い歴史の中で煩雑になっている物を、統一整理したものになります。

 量が多く感じるでしょうが、東洋哲学をベースに作られているので、本来は「気」という用語で一生研究もできるぐらいの物が含まれているので、全体を理解しようとすると、実はとんでもないぐらい時間がかかります。

 私がおすすめするのは、東洋医学の全体が早く理解できるようになりたいのであれば、教科書を全部読んでみることです。

5.なぜ教科書を読むのか?

 教科書は全体がまとまって書かれているので、前半に書かれていることと、後半に書かれていることが同じになります。なんのことかと思いますよね?

 例えば、簡単にブログなどで理解しようとしたら、「教科書の言葉」ではなく、「その人の解釈」「その人の言葉」だったり、「違う解釈」だったりするので、いろいろな物を見れば見るほど、矛盾が生じてしまいます。

 教科書は、矛盾がないように書かれているので、できるだけ同じ用語、同じ意味になるようにしっかりと調整してあるので、前半で学習したことが、後半でも出てくることが多いので、1回全体を読めば、最初を読んだときに、後半のここに繋がるというのが理解できます。

 これが全体像を理解することになるので、「わからない」のであれば「わからないまま」でいいので、「読む」のがいいのです。

 「読む」と、いろいろなところで、同じことを言っているというのが分かるでしょうし、何度も出てきていることで慣れてくるので、「つながっている」ということを理解できます。

 大変でしょ?

 そうです、大変です。

 知らないことを学習して理解するというのは非常に大変なので、時間をかけるのが実は楽な方法になります。

 2年生、3年生になっても東洋医学が理解できないという人もいますが、そういう方でも、最低限は使っていくことができるので、実は理解できています。

 理解の深さや広さは人によって違いがありますが、理解できないということはありません。

 例えば、2、3年生であれば「消化器の問題」ときたら、「脾胃?」となりませんか?

 これは東洋医学の考え方ですし、そのまま治療に使っていける考え方なので、十分理解できていますし、一生使える知識になります。

 より細分化して、理解するためには、単語を覚えてつなげていかなければいけませんが、最低限の単語と理解でも使っていけます。

 日本にも外国人が多く在住していますが、全員が日本語を完全に使いこなしている訳ではありませんよね?

 完全に理解していなくても十分生活できています。

 皆さんも日本語を正確に完璧に理解していますか?

 漢字の意味を完璧に理解していますか?

 生活する上で問題はないですよね?

 東洋医学も同じです。理解できたところで使おうと思えば使えます。なぜ使えないかといえば、使わないから使えないのです。

 1年生のこの段階では、まだ始まったばかりで東洋医学の1~2割程度しか進んでいないので理解できないのは当然ですよ。ただ、もし早く理解したいのであれば、教科書を全部読んでみると単語に慣れます。

 単語に慣れると、教員が話していることがなんとなく理解できることが多いです。もし、大変だと思うのであれば、授業が終わったら、授業で学習した内容を読んでいく復習がお勧めです。

 以前も東洋医学が分からないということについて具体的に書いてあるのもありますので、参考にしてみてください。


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