見出し画像

独断と偏見で鍼灸国家試験科目の学ぶ意味と特徴についてまとめてみた

 もう、タイトルの通りです。それ以上も、それ以下の意味もないです。鍼灸の国家試験科目は、医療概論(医学史を除く)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論、経絡経穴概論、東洋医学臨床論、はり・きゅう理論で、はり・きゅう理論を分けたら14科目になります。

 国家試験に向けて学習する場合は、科目ごとに勉強して過去問をやっていくことになりますが、勉強し始めた人にとってはどういうものか分からないところがあるでしょうから、どういったところが学習ポイントになるのか、臨床では役立つのかについてまとめてみます。


1.医療概論

 医療概論は医療とはなどについての概略ですが、卒業後も知っておいたらいいでしょうが、使うことがほとんどない科目と言えます。ただ、医療界の流れなどについての話もあるので、在学中に聞いておいて、そういうものなのだというぐらいの認識で十分ですね。
 医学史は除かれているので歴史について知ることは少ないですが、多少は知っておいた方がいいです。学校で習った中で少しは歴史の話を聞くでしょうし、開業してホームページを作るときやブログで書くときに調べながら理解してもいいのではないでしょうか。

2.衛生学・公衆衛生学

 現在の日本のように、多くの感染症が蔓延しないで、それほど気にしないで生活できているのは、この衛生学・公衆衛生学のおかげです。
 衛生学は個人、公衆衛生学は集団の健康維持に関わります。
 人間が病気にならずに生活していけるのかを考えている学問なので非常に大切なのですが、データの裏付けによって考えられていく学問なために、勉強するのは、統計や計算の仕方なので、個別事項を学んで国試に向かうのは面白みを感じにくい科目になります。
 ただ、病気予防などについては大切なので、卒業してから行政の取り組み、どういうデータを利用しているのかというのを自分が興味を持った範囲で学習していくのにはいいのではないでしょうか。

3.関係法規

 これは国家試験に向けて覚えましょう。ただし、国家試験が過ぎたら必ず忘れます。なぜかと言えば、手続き含め、やるときぐらいしか気にしないからです。
 ということで、卒業したら、免許を再発行するとき、開業するときで、何が必要だったかなと調べることになります。国家試験が終わった後も覚えていた方がいいですが、ほぼ忘れます。ただ、どんな時に手続きが必要かぐらいは覚えておければいいですね。

4.解剖学

 解剖学は身体のキホンなので重要です。キホンをなぜカタカナにしたのかはパソコンに聞いて下さい。
 ただ、最近の国家試験は臨床問題に傾いている傾向があり、どこまで解剖学が細かく出続けていくのは疑問があります。そのうち、解剖・生理がまとまって問題数が少なくなるかもしれませんね。
 解剖学の中でも、筋肉・神経・骨格は、経絡経穴概論、東洋医学臨床論、はりきゅう理論にも関わってきますし、卒業しても絶対にあった方がいい知識なのでしっかりと覚えておきましょう。
 東洋医学だけだから必要ないと考える人もいるかもしれませんが、世の中は「現代医学」で動いていますし、運動なども現代医学の考え方も多いですし、ストレッチ、筋トレなども聞かれやすいので覚えましょう。
 筋肉が多層構造になっていることが分かれば、刺入したときに、何層も筋肉を貫くというのもイメージしやすいですし、体動したときに、鍼がいろんな方向に曲がってしまって抜けにくいというのも理解できます。
 神経に当てたら辛いので、神経・血管を避けようということにもつながるので、知っておきましょう。

5.生理学

 生理学も身体を学ぶ上ではキホンとなるので、大切な科目になります。国家試験では細かいところまで聞かれるので、細かく覚えることになりますが、本当に大切なのは、単語を忘れてしまったとしても、理解をしておくことが大切です。
 例えば、肝臓は何をするところ?というのを理解しておくと、薬を多く服用している人は、肝臓で解毒されるので、肝臓に負担が出るのではないかと考えていくことができます。
 全部の単語を理解するのは難しいので、身体はどうやって働いて、つながっているのかというのを理解するといいですね。この理解があると、病気を具体的に理解しやすくなります。
 という私も忘れていくことが多いので、患者さんから病気を聞いたりしていくなかで、生理学を見直すこともあります。身体の全体像を理解しやすいので『はたらく細胞』がお勧めです。

6.病理学概論

 これは難しい傾向があります。病気になった原因を探っていくもので、身体の中で何がおきたのかを研究する分野です。
 単語としても特殊なものがでてくることも多く、患者さんとの話でも出てくることはないので、理解できたらいいですが、難しいのではないでしょうか。
 国家試験に向けて学習して、それ以後は触れることがない科目になるのではないでしょうか。ただ、大切なものでもありますし、理解するために『フラジャイル』を読みましょう。

7.臨床医学総論

 これは臨床のときに診察するための、身体や病気に対する知識を学習するもので、国家試験でも出題される数が多いですし、臨床でも理解しておいた方がいいことが多いので、出来るだけ頑張って覚えましょう。
 卒業したら忘れてしまうことも多いですが、いろいろな病気をみたときに復習することが出来るので、卒業してからみやすい疾患についての理解を深めていくのがいいです。

8.臨床医学各論

 これは病気についての学習するもので、ボリュームも多くて非常に覚えるのも大変ですが、現代医学の中では、ほんの一部の覚えておいた方がいい疾患、鍼灸でもみられることがある疾患などがまとまったものです。
 私自身も国家試験の向けての学習でこの科目にかけた時間がかなり多かったですし、受験生を悩ませる科目とも言えます。ただ、これでも現代医学の中では、ほんの一部なのでこれだけでは病気を理解することが難しいです。
 生理学と繋げて理解できると非常にいいので、生理学を合わせて学習したいところですが、実際はなかなか難しいところですね。
 臨床に出たら、病気と向き合いますし、いろいろな話を聞くので、だんだんと知識をブラッシュアップしていくのがいいですね。

9.リハビリテーション医学

 リハビリテーションについて学習するのですが、国家試験では結構、細かいところまで出題されることもあるので、なかなか面倒な科目ですね。
 リハビリについては卒業してからも患者さんから話を聞くことになるので身近な科目になります。教科書・国家試験だけではなく、しっかりと理解した方がいいですが、現実はかなり難しいです。
 だって、これの専門的な人が理学療法士で、これがメインの国家資格があるぐらいなので、実はヘビーです。国家試験では、対策をしっかりとおさえておきたいところですね。
 卒業したら、知識を広げてもいいのですが、我々は鍼灸なので、解剖学・東洋医学・経穴などに詳しくなっていくことが専門家になることなので、訪問や介護分野じゃないと知識を広げにくいです。

10.東洋医学概論

 東洋医学概論という科目ですが、学校の教科書は「中医学」「古典的な内容」などが合わさっているので、出題傾向に合わせた学習にならざるを得ないですね。
 例えば、中医学をしっかり学習しようとしても、3年生で国家試験用の学習すると、中医学がはみ出してしまうという状況になってしまう点もあります。
 これは、教科書から出題されるという点ではどうしようもないので、「中医学」の学習と「国家試験用の学習」と分けて理解しておければ、いいのではないでしょうか。
 古典や東洋医学の知識が多くなると、国家試験問題は矛盾しているところもあるので、「国家試験の東洋医学概論」という理解をしていくといいですね。

11.経絡経穴概論

 鍼灸師になる前の人、一般の方からしてみたら、この科目は、経絡経穴についてを理解するので、「こういうときはこの経絡」「こういうときはこのツボ」を学ぶ科目と思うでしょうが、違います。
 教科書と国家試験では、ひたすら「場所」と「神経」「血管」「筋肉」を問われて、たまに東洋医学的な知識を聞かれますが、何の治療に使うかという臨床的ではない科目です。
 場所と構造については卒業後は非常に大切なので、早い段階で覚えてしまえば国家試験は、ただ解くのがめんどくさいだけの科目ですが、唯一満点が取りやすい科目です。後は東洋医学に近づけるか、現代学的に考えるかは自分で決めて、別で勉強する必要があります。分かっていると思っても、意外に取穴は間違えるので、何度も悩んで確認していく必要がありますね。

12.東洋医学臨床論

 東洋医学とついていますが、総合問題なども含めて、現代医学的な内容が多いです。理学検査なども非常に多いので、筋肉・神経・血管の解剖学的な知識が重要です。
 東洋医学の内容は弁証などもありますが、たまに悩ませるものもありますが、弁証もシンプルなものが出題される傾向があるので、2年生の授業のときから弁証に慣れていくといいですよ。
 評価法などは細かく出題されることもありますが、未知の問題が必ずと言っていいぐらい入ってくるので、満点を取るのではなく、7~8割を目指していけるようになるのがいいですね。
 臨床で使えるかと言えば使えますが、臨床の難しさは、現代医学も東洋医学も自分自身で所見や情報を取らないといけないので、国家試験の問題は分かるようにはなっておきたいところです。

13.はり・きゅう理論

 この科目では、はり・きゅうについての話が出てくるので、治効理論は卒業後も患者さんに説明することも多いので、全部の単語は覚え続けていられないですが、理解しておくのは大切です。
 とてつもなく難しいということもないですが、変わった問題が出題されることもあるので、しっかりと対策をしていけば、国家試験では怖い科目ではないです。

最後まで読んで頂きありがとうございました! 頂いたサポートは、有益なコンテンツ作成に役立たせて頂きます。 無料でできる「スキ」や「シェア」でも、私へのサポートにつながります。