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テレワーク ゆり物語 (7) 13歳のハローワーク

「お母さんと同じ大学のイスパニア語学科の人の話が出てるよ」

2004年、ベストセラーだった村上龍氏の「13歳のハローワーク」の本を手にしながら、当時13歳の長女が教えてくれた。

指さすページを見てみると、「スペイン圏を中心に世界を飛び回るカメラマン」として紹介されているのは、大学時代同じクラスだった近藤篤くん。

当時、上智大学のイスパニア語学科は、1学年1クラス。マンモス大学と違って、全員お友達。篤くんの卒業後は消息不明だったが、カメラマンとは。しかも世界を飛び回っているとは、驚いた。

実は、上智大学イスパニア語学科1881年入学仲間は、その後の職業が面白い。たった50人程度の中に、商社、銀行、公務員は定番としても、国際線パイロット、小児科医、テレビ局アナウンサー、人気芸能人のマネージャー、そしてカメラマン。まさにハローワーク状態。仕事というものは、予定通りには行かない。でも、だから人生が面白くなる。

近藤篤くんは大学卒業後、外資系大企業への道を捨て、フラリと南米への旅に出たらしい。その道中に「カメラマン」という職業にたどりつく。スポーツ、特にサッカーでは有名とのこと。スポーツ総合雑誌「ナンバー」に近藤篤のスポーツコラムがあるので、興味のある方はぜひ。

そんな篤くんが、この夏突然、北海道オホーツクにやってきた。なんと目的は、「チャリで東京まで帰る」こと。そろそろ還暦が見えてきたのに、大学生かよ。と突っ込みつつ、あの頃と変わらない篤くんを嬉しく思う。

「13歳のハローワーク」は、小学生から中学生へと、自分の未来を考え始める大切な時期に、「花屋さん」「プロ野球選手」「学校の先生」以外に、たくさんの職業があることを教えてくれた。
こんなすごい本は書けないが、自分にできることとして、「会社に毎日通う」以外の働き方があることを、子どもたちに伝えようと、あらためて思った。

ちなみに長女は、「13歳のハローワーク」の影響か否かはわからないが、大学卒業後、タイ・日本・スイス・エジプトと、世界のいろんな地域で働いている。

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