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ガソリンの暫定税率廃止に反対したのはこいつらです

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日はこちらのポストから。

ガソリン価格の高騰が続き、この先200円を超えるのでは?という報道もあることから世論がかなり熱くなってきていますね。

しかしこの機に「減税」を言わず、与党はもちろん野党までが補助金でまたまた国民にその負担を押し付けようとしている空気なのですから困ったものです。

ですので冒頭でご紹介したように

「補助金はドブ金(金をドブに捨てるの意味)」

としつこいくらいポストしてるわけですが、ご覧のように5000いいねを超えるほどの反応を頂いています。

しかしその反応のなかで多いのが

岸田総理を辞めさせればいい
財務省が悪の根源

といったものです。

増税の話でもこういう論調は少なくないですが、しかし残念ながらそうではありません。

結論から言うと

世の中そんな単純なものではないのです。

ということで今日は、ガソリン税などの暫定税率廃止を巡って大荒れに荒れた2008年当時を振り返って

ガソリン減税に誰が反対し、誰が賛成したのか

をあらためてまとめてみようと思います。

まず当時の与野党の対立構図をおさらいすると、延長法案を可決しないと2008年の3月末を持って失効する「暫定税率」に対し

与党:自民党、公明党「暫定税率の10年延長」

VS

野党:民主党「道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止」

となっており、簡単に言えば

暫定税率の10年延長か廃止か

が争点となっていました。

当時は衆議院の過半数は自公が、参議院の過半数は民主党が持つ「ねじれ国会」

ですので暫定税率延長法案を衆議院で可決しても、参議院では野党の賛成が無いと法案は可決されません。

それを狙って暫定税率廃止を推す民主党は暫定税率延長法案を3月までに議決させないと公言。

3月末までのこれまでの暫定税率を定める法律を延長しないことで失効させ、それによる暫定税率廃止を狙うという全面対立の状況となっていきます。

そのような混乱の中、与党は衆議院での予算及び歳入関連法案を強行採決。

ますます対立を深める状況において、失効期日の迫った3月27日に自民党が「道路特定財源の一般財源化を翌年行う」と民主党案を一部飲む譲歩案を提示し、事の鎮静を図ろうとします。

しかしこれに対しても民主党は「暫定税率廃止に応じななら協議はしない」と一貫して拒否し、最終的には3月31日までに暫定税率延長法案の採決は行われず、4月1日からガソリン税の暫定税率は廃止されることになったのです。(その後衆議院に差し戻され、自公の賛成多数による再可決で5月1日から暫定税率は復活しました)

これが2008年に1ヶ月だけ起こった「暫定税率の期限切れ失効」のざっくり説明ですが、では与野党以外でこの時に

誰が暫定税率の延長に賛成し、誰が反対していたのか

を見てみましょう。

まず皆さんがある意味大好きな「財務省」はもちろん「財源確保」の観点から自民党側の「暫定税率延長派」です。

しかし財務省が全てを操っているなんていうのは嘘です。

「一般財源化」において財務省は「財政再建へ使うべき」と主張していましたが、前述した自民党の妥協案にその主張は全く反映されていません。

もちろん力が無いわけではないですが、全てを牛耳っているというのは映画の見すぎです。

さて次。

ガソリン税と言えば国土交通省ですが、言うまでもなく「暫定税率延長派」です。

この時、国交省は10年で65兆円という大規模な予算を使う「道路整備計画案」を提出し、「暫定税の税収がないとこれが出来ない!絶対必要!」と徹底抗戦をしていました。

平成19年11月 道路の中期計画(国土交通省)より

でもこの国交省のケツを「暫定税の税収は絶対必要!」と叩いていたのが「地方六団体」です。

「地方六団体」とは首長の連合組織である

全国知事会
全国市長会
全国町村会

の三団体と各地方議会の議長の連合組織である

全国都道府県議会議長会
全国市議会議長会
全国町村議会議長会

の三団体のことで、つまり

皆さんが暮らす都道府県の知事、市町村長、都道府県議会の議長、市町村議会がこぞって「暫定税率廃止なんて許さんからな!」と怒りの声を挙げていたのです。

そのことがよくわかる声明がこちらです。

一部抜粋して文字起こししてみましょう。

地方の道路整備を困難にし、地方財政を一層危機に陥れる「暫定税率の廃止」に反対する緊急共同声明

我々地方六団体は、地方の道路整備を困難にし、地方財政を一層危機に陥れる暫定税率の廃止に強く反対し、その維持を求めるものである。

現行の道路特定財源の暫定税率等が廃止された場合、地方においては税収等の減が約9千億円、地方道路整備臨時交付金の制度も廃止された場合には、合わせて1兆6千億円規模の減収が生じることとなる。

多くの地方自治体では、道路の新設はおろか、着工中の整備も継続できないばかりか、最低限の維持・補修さえできなくなるなど地方の道路整備は深刻な事態に陥ることになる。

そればかりか、既に危機的状況にある地方財政運営を直撃し、教育や福祉といった他の行政サービスの低下など国民生活にも深刻な影響を及ぼしかねない。

現在の危機的な地方財政においては、このような国民生活に直結する財源について減税の余地は到底無いのである。
この点を率直に訴えたい。

当時はこうした共同声明文を手にした地方六団体の大陳情団が、国土交通省道路局などへ昼夜なく押しかける光景がよく見られたそうです。

森林環境税の話もそうですが、増税を目論み減税に反対する敵は身近にいるのです。

また産業界は、暫定税率廃止により道路事業が減るのではと恐れおののく建設業界はもちろん、

経団連も「地方財政に多大な影響、混乱をきたす」として「暫定税率延長派」の自民党側に付きました。

環境省は「ガソリンへの課税はCO2排出抑制に役立っている」と道路建設時のCO2排出は完全無視した「暫定税率延長」論を展開。

環境税をめぐる最近の状況について 平成20年9月3日 環境省資料より

総務省も、暫定税の廃止が地方自治体を財源不足に陥らせ、公務員のボーナス削減などの恐れが出ると、全公務員を「暫定税率賛成派」に引き込む強い懸念を表明するなど、平たく言えば

与党、各省庁、地方自治体、全国の地方議会、産業界、公務員などがこぞって「暫定税率延長派」で「廃止反対!」

という立場だったわけです。

つまり、当時はほぼ全員が敵という状態でした。

では「暫定税率を廃止しろ!減税だ!」と言っていた勢力は誰だったのでしょう?

それは…

長くなってきたのでこの話の続きはまた明日にします笑

ということで、今日の記事はここまで。

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