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あなたの生きづらさに寄り添ってくれる一冊 宇佐見りん/推し、燃ゆ
※この作品は2021年2月20日にブクログで記載したものです。コメントで多くの方の声を聴き、より多くの方に届いてほしいと思い、こちらでもご紹介させていただくことにしました。ブクログで背中を押してくれたみなさん、本当にありがとうございます。ブクログでのレビューはこちらです。
最近、女子高生の自殺が増えているという。
「小中高生の自殺、過去最多 コロナで大幅増、女子高生突出―文科省」
2020年
それでもわたしがロッキンオンのフェスに行く理由
1.昨年昨年ボロクソに言われた音楽フェス
今年はもう、そんな風に言う人はほとんどいなくなった
わたしはとにかく音楽フェスが大好きで、夏はもちろん冬も、春だってフェスに行く
コロナになる前までは、例年春は仙台の荒吐ロックフェスに行き、夏は山梨のSWEET LOVE SHOWER(ラブシャ)へ行き、冬は幕張のカウントダウンジャパンに参加してきた
コロナ禍になって、フェスは全部中止
しかも直前にな
社会が人間に厳しいのか、人間が社会を舐めているのか、それとも社会は「普通」なのか 宮口幸治/どうしても頑張れない人たち
最初に伝えておくと、非常に長いです。内容がとても濃厚だったので、読了からだいぶかかってのレビューとなりました。
わたしが働く学校は、通信制高校に在籍している子たちが学ぶ学校だ。だから、基本的に自由な時間に登校できるし、平日学校に来ず、友達と遊びに行くこともできる。
必要な単位さえ取得できれば、卒業は可能だ。
枠としてはそのくらいなので、サボれる子はいくらでもサボれるし、真面目にやろうとするとキリ
他人と距離を置くことと、他人への興味のなさを、一緒くたにしてはいけない 辻村深月/噛み合わない会話と、ある過去について
『噛み合わない会話と、ある過去について』
もうタイトルがね、秀逸。
しかも、タイトルだけでぐいぐい惹きつけてくるってだけじゃなくて、作品自体もしっかり「噛み合わない会話と、ある過去について」描かれているのだから脱帽です。
ジャンルは、「ホラー」としても過言ではないくらいの、恐怖感。
さらにその恐怖感といったら、ホラー映画なんかよりもよっぽど怖い。
じりじりと追い詰めてくるような切迫感。
浅くな
子どもを産むことにつきまとうあれこれに、現時点での答えを引き出してくれた傑作 川上未映子/夏物語
明日からまた仕事か、っていう気分で眠りにつこうとした、お盆休み最終日のこと。
この作品を、3分の2くらい読み終えた時だった。
主人公と重ねすぎたわたしは、久々に、一睡も出来ないっていうレベルで、眠れなくなった。
ここまで、「子どもを産む」ということに、ぐぐぐ、とフォーカスしていく作品だなんて思わなかった。
皮肉にも、わたし自身がその問題に、意図せずともぐぐぐ、とフォーカスしていた瞬間だったのだ。
誰かの大切なものを「噛む」という行為に内包された、行き場を失った日本の差別意識
もう、言わずもがなと言っていい。
このニュースである。
最初にこのニュースを目にした時、言葉が出なかった。
そして徐々に、「きもい」であるとか「気持ち悪い」であるとか、感情が言語化されてきた。
後藤選手の活躍は素晴らしく、弱冠20歳というその若さで、ベテランエース上野選手から受け継いだマウンドをしっかりと守ったその姿は、堂々としていて、今でも目に焼き付いている。
見事金メダルを獲得し、そのメ
「時代」だけが悪いんじゃない。では、「時代」に付随した何が悪いのか。
わたしは音楽フェスが大好きで、数年前、彼がステージで曲を披露している姿を見ながら、その独特な音楽に、静かに耳をすませていた。
小山田さんを巡る様々な報道や記事。その全てを目にしたわけではないから、これから書くことは「今」の時点で、わたしが知りうる限りの全ての情報から書いていることである。これから様々なことが分かれば、ここに書いたことからまた、変化をするだろう。
最初は、こうして文章にしようとは思
男性が口を噤むのではなく、男性の言葉を引き出す一冊になってほしい チョ・ナムジュ/82年生まれ、キム・ジヨン
「それで、あなたが失うものは何なの?」
一番刺さったのは、この部分だった。
キム・ジヨンこの名前は、韓国において1982年に出生した女の子の名前で一番多い名前だった。この作品は、その時代に産まれた普通の女性の、普通の物語を描いた小説である。
しかし、これはただの小説ではない。キム・ジヨンが、一人の女性として、男社会の中で必死にもがいて戦う物語。まるでノンフィクション、ドキュメンタリーのような筆
布マスクの悲劇 #5
すっかり定着したマスク生活。
もはやパンティーと同じレベルで日常的につけるようになった。
そして、最近は不織布マスクと同じくらい、布マスクをつけてる人も多くなっている。
わたしも某衣料品メーカーの布マスクを使っている。
しかし最近、その布マスクに、困ったことが起きた。
臭いのである。
しかも、おっさん臭い。
これがまさしく加齢臭と呼ばれるものなんだろう。
小さい頃、よくじいちゃんが昼
薄味で仕上げることのうまみ 島本理生/ファーストラヴ
1.作品全体のことタイトルの「ファーストラヴ」。
これが何を意味するのか。
由紀の大学時代のことか、と思った。
けれど、環奈とその母親の背景を知ったとき、一番最初に愛情をもたらしてくれる存在、もしくは、由紀の夫・我聞さんのような、一番の愛情をもたらしてくれる存在。
そういう意味が込められているのかなと。
この作品が、第159回直木賞を受賞した意味合い。
2018年という現代に、受賞した意味合い
飾らない苦悩と飾ることのたやすさ 若林正恭/表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
リトルトゥースである。
オードリーのラジオは、いつも、何かしらの違和感を凝りほぐしてくれる。
寝不足の通勤電車で読んだ、DJ松永の解説。思わず嗚咽でも漏れてしまうのではないかと、焦りつつも読むのを止めることができなかった。だから、くしゃみと咳が同時に出てしまったようなふりをして、その場を乗り切った。自意識過剰である。
違和感と自意識。そんなものを常に抱えている人、この国で生きづらさを抱えてい