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【SS】天国の向こう側
「人は死んだらどこにいくのか?」
これは僕の長年の疑問だった。
「いずれわかる」
と亡くなったじいちゃんは僕に言ったが、死んだ後でじいちゃんは僕に教えてはくれなかった。
死んだらどうなるか? これは教えてくれる人は一人もいない。
どうせすることもないし、一つ死んでみるか。
そこで僕は死んでみることにした。
どうせ死ぬなら痛くない方がいい。
いろいろ考えたが、確実性を優先して飛び
【掌編】アシスタント
詳細は省くが妻に逃げられた。
とにかくある朝ダイニングに行くと「出て行きます」というメモと押印済の離婚届が置かれていたと、まあそういうことだ。
気がつけば確かに妻の持ち物はすべてなくなっていた。
「まあ、仕方がない」
僕は誰にともなく呟くと、仕事部屋に戻って今日の執筆を始めた。
僕は小説家だ。著作もある。ヒット作は特にないが、数が多いのでそれなりに生活は送れている。
元々ほとんど交渉
【掌編】写しの泉(改訂版)
その日、Aはやけに羽振りの良さそうな服装で現れた。
「やあ、ひさしぶり」
5年ぶりに会ったAはパリッとしたスーツに身を包み、いかにも高級そうなピカピカの靴を履いていた。腕には金色の時計、ネクタイも明らかにブランド品。
「今日は俺がご馳走するよ。寿司でもどうだい?」
Aが連れて行ってくれた店は、僕でも知っている有名な寿司屋だった。
Aは慣れた様子で「親父さん、何か適当に握ってくれないかな?
【掌編】そしてみんな猫になる
今となってはその病気の原発地点は判らない。また原因も、また媒介生物あるいは病原体そのものも未分離の状態。それが今日の状態だ。
ともあれ、ある日を境に世界各地で人間が猫化するという奇病が発生した。
それも、ほぼ同時多発に。
「とにかく、なんとかせねばならんのだ」
まだ猫化が進んでいないWHOの局長はドンッと拳で大きな机を叩いた。
だが、すでに猫化が進んでいる各国の代表の反応ははかばかしく