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こんにちは!
空気が冷たくなり、秋らしくなりましたね。
聖心美容クリニックでは、この秋からいくつか新しいメニューが登場しました。
そのひとつとして、9月から本格的にスタートしたのが、「医療アートメイク」です。

構想から1年かけて、看護師たちがトレーニングし、アートメイクアーティストとして、安定したレベルの施術ができるようになったため、
いよいよメニューに加わりました!

実はアートメイクは医療行為なのですが、
意外にもそのことを知らない人が多いようです。

■医療アートメイクとは?

医療アートメイクとは、水や汗に濡れても落ちない「消えないメイク」のことです。

眉や唇、アイラインなどの皮膚の浅い部分に医療用ニードルで染色していきます。
まるで、本当にメイクしているかのようにナチュラルな仕上がりで、
例えば、唇であれば、食事をしてもメイクリップが落ちませんし、
アイラインが汗や涙で滲むこともありません。

タトゥーと似たイメージを抱かれるかもしれませんが、
施術方法に違いがあります。

タトゥーは皮膚の深い部分にある真皮層に色素を入れるのに対し、
アートメイクは皮膚の表層部に色素を入れます。
ですから、ターンオーバーにより1~3年かけて自然に退色します。

え?色が落ちちゃうの?と言いたくなりますが、
色が抜けるからこそ、流行や要望に合わせて、デザインや色味を変えることができ、いろいろなバリエーションを楽しめるのです。

■アートメイクは医療行為

日本において、アートメイクは人の皮膚に針等で色素を入れる医療行為です。
ですから、医師免許がある医師、もしくは医師が常駐している医療機関の看護師でないと施術を行えません。

では、タトゥーはどうなのか。
ご存知の方もいるかもしれませんが、医師でない者がタトゥー施術をしていたことで、医師法違反として起訴された刑事事件がありました。
そして、2020年9月16日。
最高裁は医療行為ではないと判断したのです。

タトゥーは美術的な意義がある社会的な風俗として続いてきた歴史のあるもの。
長きにわたり、伝統として彫り師が行ってきたものであると。

「タトゥーは医療行為でない」というこの判決を受けて、
アートメイクもタトゥーの一種と考え、
「医療行為にあたらないならエステでも施術できるのね」と
拡大解釈するエステティシャンやヘアサロンの人たちがいます。

しかし、タトゥーと医療アートメイクは違います。
タトゥーは歴史的に長らく医師免許をもたない彫り師が行ってきた実情がありますが、医療アートメイクは医師・看護師が行ってきた実態があります。
そして、安全性の確保の水準の確保が重要な施術なのです。

■福島県の照会にも「アートメイクは医療行為」と回答

6月に福島の保健所が厚労省に、医師免許をもたない者がアートメイクをすることについて照会し、そのときの厚労省の回答が公開されています。

それは次のようなものでした。
「アートメイクには入れ墨のような歴史的背景はなく、これまでの通達の通り医療行為とするのが妥当」

これを受け、僕が理事を務める一般財団法人 日本医療アートメイク財団は、他の都道府県にも通達を出しましょうと東京都に働きかけています。

それによって、全国統一は難しくても、県、エリア単位で考え方を踏襲できるかもしれません。

アートメイクと似た事例に、医療脱毛があります。
エステでは脱毛施術を当たり前のように行っていますが、
永久脱毛は医療行為にあたります。
実はこの事実を知らない方はとても多いのです。

あるクリニックのアンケート調査によると、
エステサロンで脱毛をして、「永久脱毛だった」と回答した人は過半数以上だったといいます。

つまり、エステ用の脱毛機器を提供する海外メーカーは、法律に抵触しないように「永久脱毛の働きはない」と言って販売しているものの、
実際は永久脱毛の機械である可能性があるのです。

また、同アンケートでは、永久脱毛が医療行為だと知っていると回答した人は半分以下でした。

■安全性よりも利便性重視?

聖心美容クリニックがアートメイクを導入するにあたり、
リサーチをかねて、Googleでまず「脱毛」を検索してみたところ、
上位20位のほとんどがエステでした。

エステの脱毛施術を受けたお客さんの評価から推察すると、
脱毛の場合、医療行為であるなしに関係なく、安全性よりも「気軽」で「安い」という利便性を重視する人が多いようです。

次に「アートメイク」で検索したところ、今度はほとんどが医療機関でした。
アートメイクについては、脱毛と比べると多少は医療行為という認識があるようですね。

■自宅で看護師がアートメイクをするのはアウト

アートメイクはドクターもできますが、多くは医師の管理のもと、医療機関で看護師が行います。

ここで重要なのが、「医師の管理下で行う」「医療機関で行う」ということです。

看護師が勝手にアートメイクの機械を買って、自宅で施術をするのはアウト。
オンライン診療で医師がカウンセリングして、医療機関でない場所で施術するのもアウトです。

残念ながら、自宅でアートメイクを提供している看護師はいます。
確信犯もいるかもしれませんが、そもそも違法であることを知らない看護師は少なくないでしょうし、患者さん側も気にしていないのでしょう。

しかし、これは行政から指摘されれば、罰せられかねない行為です。
日本医療アートメイク財団としては、
看護師たちに啓蒙していく必要があるのです。


今回はアートメイクについてお話させていただきました。
僕は医療アートメイク財団で理事を務めているので、いろいろな情報が耳に入ってきます。

聞くところによると、タトゥーが医療行為にあたらないという最高裁の判決を受けて「アートメイクを教えてほしい」という、美容サロンやヘアサロンからの問い合わせが多いそうです。

アートメイクも医療行為という認識が十分に浸透していないのかもしれませんね。

次回のnoteでは聖心美容クリニックのアートメイクのご紹介です。
どうぞ、お楽しみに。

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