見出し画像

宮崎光学 MS-OPTICS APOQUALIA 1.3/35 Ⅱ SLIMを購入


アポクアリアってなに?

BS松竹東急ほかで始まったドラマ「カメラ、はじめてもいいですか?」で重要なキャラであるチサトさんが富士フイルムX-T5に装着していることで界隈で話題になった宮崎光学MS-OPTICSのレンズ。

MS-Optical R&D(宮崎光学)は宮崎貞安氏が個人で運営されているメーカーで、Mマウントのオリジナルレンズのほか他メーカーレンズやコンパクトカメラのレンズのMマウント化なども手掛けています。

装着レンズはAPOQUALIA-G 1.4/35ですでに絶版。
現在はAPOLLON 1.3/36が4代目としてラインアップされていますが、ここのレンズはハンドメイドなので、とにかく入手が困難。需要に対して完全に供給が足りていない。
APOLLONも公式でも入手困難状態。APOQUALIA-G 1.4/35はヤフオクで20万円以上、この1.3/35 Ⅱも12万程度で取引されています。

そんな中、メルカリで出品されていたものが何故か買い手がつかずに、スタート95000円、ウォッチし始めた頃9万円だったのが、ついに77,000円まで下がったので保護いたしました。
ちなみに新品定価9万円、宮崎光学さんで買うと消費税サービス、小売で買うと99,000円ですね。
ちなみに信頼できるソースは公式以外にはこちらのブログしかありませんでした。
https://www.gu-none.com/ms-optics-apoqualia-1-3-35-ii-slim

アポクアリア35mmの3代目、1.3/35 Ⅱ SLIM外観&スペック

沈胴させてねじ込みキャップを付けるとこの小ささ。
フードなしなら使用状態でこの大きさ。
当然ながらライカによく合います。


マニュアル。
  • マウント ライカM

  • レンズ ダブルガウス 4群6枚 全8面Full MC Coat

  • ピント ∞~約0.6m 連動∞~0.85m

  • サイズ 直径50mm×厚み10.2mm(沈胴時)

  • 79g  

F4にストライクゾーンを持ってくるために開放時は前ピン設定しているそうです。距離径連動最近接で80cmに対し5〜14cmほど前ピン、最大で感覚1mくらい前ピンになるので開放ではF1.3の被写界深度を手動で前ピン修正できる方出ない限りLVもしくはVISOFLEXでの撮影が不可欠だと思います。
これはオフィシャルで設計上の仕様であることが明らかにされているので、フォーカス不良で宮崎さんに送ることのないように

フードがないよ→純正フード購入

「小型化された割にフードまで小さく、薄型らしく丸く凸した前玉に対するガードは甚だ不安」との理由で前所有者はステップダウンリング逆付けとHAKUBAの37mm保護フィルターとスペーサーを利用していた、との事でした。
しかし届いたブツについていたフードはぜんぜん違うフード。
要はこの人純正のフード失くしちゃったんで、こんな運用してたんじゃね?
とおもったんですが、受取評価しちゃったし、これからやりとりするのもめんどくさい。
なんとなく、この形だと、SUMMAR〜SUMMITAR〜SUMMICRONの沈胴50mmを彷彿とさせるデザインなんですが、建て増し感が半端ないんです。
美しくない。

フィルターを装着、これでも丁度いい感じですが、ちょっと大げさだよね。ステップアップサせてるのも意味不明だし
フィルターユニット装着うーん、やっぱちょっと

ということで、宮崎さんのお孫さんが運営する直販サイトに連絡して、純正フードを送っていただきました。初期型はラッパ型のフードだったみたいですが、後期型の中折型のコンパクトなものに。送料サービス税込み3300円。連休中だけど、頼んで3日で届きました。在庫さえあればめっちゃスピーディ! 在庫さえあれば。

で、前玉保護のためにこのレンズはフィルターを使いたい。
marumiの34mmフィルターを前後逆付けで装着します。で、そこに純正フードをくるくると。この様式はほとんどの宮崎光学製のレンズで共通の仕様のようです。

付けてみました。ああ、ぜんぜん違う、かっこいい。保護フィルターはあえてシルバーにしてみたんですが、ドンピシャです。惚れます。

純正フード。税込み3300円
純正フード

アポクアリア35mmシリーズのフォーカスについて

  • このレンズの「開放からF2までの軟調設計」が理解されず"フォーカス不良"で返品が多いです。

  • このレンズのコンセプトはF1.3〜2はソフトな像に設定し、絞り変更による画質の変化を楽しめるようにしている。前ピンでコントラスト重視、後ピンでシャープネス重視の設計。デジカメならピント合わせはすぐに修正できる

  • F2.4〜4では軟調特性が失われここにジャスピンを持ってきている。


F1.3でレンジファインダーでピント合わせ。一番右のこけしに合わせているのだが、5cmほど手前の棚の扉にむしろ合っている
F4でレンジファインダーでピント合わせ。きちんと仙台弁こけしにフォーカスできている。なるほど

つまりデジタルで使うことを念頭にピントを修正できるようにするかわりに開放では前ピンにしてあるということですね。開放でレンジファインダーでピント合わせするのはちょい危険です。

APOLLONではLVで30cmまで寄れたり、バランスの良いSUMMAR風味の画
になっているようなので、そちらがお好みならそちらを探されるといいでしょう。

とにかく情報量の少ないレンズですので、作例や色んな情報はこのエントリーに集約して行こうと思っておりますので皆さんのお役に立ちますように。

絞りの違いによる描画の差異について

F1.3
F2.0
F2.8
F4
F5.6
F8
F16

作例1.昼光中心

作例についてはすべて下記の共通数値で撮影

  • カメラ:ライカM11

  • 絞りはf/1.3

  • 絞り優先オート、もしくはシャッター、絞りマニュアルISOオート

  • 中央重点測光

ss1/320 ISO100 WB3850K
ss1/350 ISO64 WB3850K
ss1/3200 ISO64 WB3850K
ss1/2000 ISO64 WB3850K
ss1/320 iso800 WB3850K
ss1/320 ISO160 WB3850K
ss1/320 ISO160 wb3850K
ss1/320 ISO500 WB2950K
ss1/60 ISO800 WB2621K
ss1/60 ISO640 WB2662K
ss1/350 ISO160 WB4420K

まだなんとも言えませんが、EVFでみて合ってるつもりでも前ピンだったりf/1.3は自分の未熟さを思い知らされます。
開放では予定通りかなり周辺がにじみます。
にじみはかなり暴れるのでこれをコントロールするのは難しいです。ああめんどいな、ってときは素直にF4まで絞る方が正解かもしれません。

作例2. 夜中心のスナップ

F1.3 SS1/800 ISO64
F1.3 SS1/640 ISO64。サイド光に対するゴーストは強烈。
F1.3 SS1/640 ISO64 レモンぐるぐるボケと虹ゴースト同時
F1.3 ss1/30 ISO64
F1.3 SS1/30 ISO64
F2.8 ss1/12 ISO64 2.8に絞ったってにじみますね
F4 ss1/30 ISO80。F4でパリッとします。宮崎氏のコメント通り
F2 SS1/30 ISO80
F2 SS1/80 ISO64
f2.8 ss1/40 ISO64
f2 SS1/400 ISO64
F2 ss1/15 ISO64
F2 SS1/45 ISO64
F2 ss1/140 ISO80
f2 ss1/45 iso250
F2 ss1/140 ISO500
f2 ss1/140 iso320
F2 SS1/45 ISO250
F1.3 SS1/80 ISO640
f1.2 ss1/100 iso64
f1.3 SS1/80 iso3200
f1.3 SS1/30 ISO250
F2.0 ss1/320 iso64
F1.3 ss1/80 ISO80
f1.3 ss1/80 iso800
F1.3 ss1/80 ISO800
f1.3 ss1/25 iso160
f2.8 ss1/25 iso2000
F2.4 SS1/60 iso2500
f1.3 ss1/30 iso1600。上の写真と比べると一目瞭然のゴースト、サジタルコマフレア
F4 ss1/30 iso640
f1.3 ss1/30 iso2500。右の大光源がフェニックス型のゴーストを笑
f1.3 ss1/30 iso320
f5.6 ss1/30 iso1250。このくらいの絞りが一番スッキリするかもしれませんね

(2023.07.15初稿、2023.07.19、2023.07.24追記)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?