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掌編2024

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2024年の創作物です
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記事一覧

【てるてる坊主のラブレター】#毎週ショートショートnote

てるてる坊主のラブレター。私はそう呼んでいた。 携帯電話のなかった頃の話だ。 友人と長電話…

たつきち
5時間前
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【68 たまご】#100のシリーズ

「卵、高くなったなぁ」 と言っても、ほぼ毎晩の厚焼き卵で一杯をやめるほどのものではない。 …

たつきち
1日前
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【67 ダンゴムシ】#100のシリーズ

「ダンゴムシは平気だけどワラジムシはダメだ」 唐突に運転席に座る相方が話し出した。 ダンゴ…

たつきち
2日前
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【赤い傘】#シロクマ文芸部

「赤い傘の女?」 「そう。怪談というか都市伝説というか」 「ネットとかで流行っているのか?…

たつきち
3日前
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不審物

とある国の空港でKはFに会った。 「なんだ?結局おまえと一緒か?」 とFは言って確認したら、…

たつきち
3日前
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和菓子屋 -【腐れ縁だから】#青ブラ文学部

付き合っている年数で腐れ縁と呼べるラインがあるとしても、さすが半世紀の付き合いとなったら…

たつきち
4日前
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【奇岩シューズ】#毎週ショートショートnote

最近流行りの奇岩シューズは、なんてことはない奇岩の写真の入っているシューズだった。それがなんで流行っているのかはわからない。コレクターは新しいシューズが出るたびそれを買い求める。有名メーカーのシューズであるから履き味ももちろんいい。 集めるだけでなく、その奇岩シューズを履いて、現物を見に行くのが正しいマニアの在り方とされている。だから、履くためのものと保存用と2足買うのもマニアのお約束だ。 「聖地巡礼。奇岩のあるところはほぼパワースポットとされているからな」 誰がここまでのブ

【祈願上手】#毎週ショートショートnote

「祈願上手?おねだり上手とは違うのか?」 「そうだな…似て非なるもの。かな?」 西本はあた…

たつきち
7日前
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【金魚鉢】もしくは『隣人005』#シロクマ文芸部

金魚鉢? 駐車スペースにそれは落ちていた。 置かれていたのかもしれない。 どちらにせよ「何…

たつきち
8日前
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【金魚鉢】#シロクマ文芸部

「金魚鉢・・・?」 宵月は目覚めにそう呟いた。 「変な夢だったんだ」 朝食のフレンチトース…

たつきち
9日前
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【66 ポップコーン】#100のシリーズ

理想の休日ですか? うーん… 映画三昧ですかね? ミステリ映画が好きなんです。 だから、新作…

たつきち
10日前
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【65 ゴミ】#100のシリーズ

遺品整理屋が案内したのは元廃校。 「不要と言われるモノを不要となった場所に収めておく。ち…

たつきち
11日前
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【人魚の尾鰭の先の色】#新色できました

馴染みのカフェに置いてあったオーストラリアの雑誌を眺めていた。 読んでいたとは決して言え…

たつきち
12日前
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【山岳カルマ】#毎週ショートショートnote

登山仲間の葬式の後は約束などなくても皆いつもの店に集まる。 「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」 それはあまりにも有名すぎるが、山を登る者にとってそれはまさに真理だ。 「山本は山岳カルマと呼んでいたな」 「カルマ。業ねぇ」 「業は俺たちの業なのか?それとも山の持つ業なのか?」 「どっちにもあるんじゃねぇの?」 山の恐ろしさは誰もが知っている。知っていても、知っているからこそ登るのだ。しかし、誰かが死ぬと少しだけいつも感じている恐ろしさとは別の怖さを感じる。 「でもそ