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安倍晋三元首相の暗殺が統一教会に対する迫害に利用されている

安倍晋三首相は2014年にバチカンを訪問し、16世紀以降に日本でキリスト教が「邪悪なカルト」と見なされ、5,000人以上のカトリック信者が殺害されたことについて、ローマ教皇に謝罪しました。皮肉なことに、安倍晋三元首相の暗殺が、家庭連合(旧統一教会)を「邪悪なカルト」と見なすことに利用されています。

イタリア人の宗教社会学者マッシモ・イントロヴィーネが2022年10月28日に発表した英文の記事を以下に翻訳しました。但し、全訳ではありません。一部分、割愛していることをご了承ください。
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日本の統一教会が悪い「カルト」の名を与えられる

2014年6月6日、安倍晋三首相はバチカンでフランシスコ教皇を表敬訪問しました。安倍首相は教皇に17世紀の日本の「秘密の鏡」のレプリカを贈呈しました。それは普通の鏡のように見えますが、太陽の光線を遮るように傾けると、イエス・キリストの姿が浮かび上がります。

当時の日本のキリスト教徒は、キリスト教の絵やシンボルを所持しているのが見つかった場合、処刑されたため、秘密の鏡を使用しなければなりませんでした。彼らの多くは十字架にかけられました。

1829年になっても、3人の女性と3人の男性が、キリスト教の「邪悪なカルト」のメンバー(実際はそうではなかったかもしれない)であり、黒魔術を使って信者を集めていたという理由で、大阪の街中を連れ回され、十字架にかけられました。

安倍首相は、16世紀、17世紀以降の迫害で日本で殺害された5,000人以上のカトリック信者について、カトリック教会に謝罪しました。

安倍首相の謝罪は称賛に値しますが、遠い過去の残虐行為に言及しているように思われます。いや、そうではないかもしれません。ジェームズ・T・リチャードソンや呉俊卿などの学者は、西洋で魔女が火あぶりにされ、帝国の中国や日本で「邪悪なカルト」が血なまぐさい迫害を受けた時代から、あまり変わっていないと指摘しています。

唯一の違いは、黒魔術が「洗脳」という疑似科学的な概念に世俗化されているという点です。この「洗脳」という概念は、今では「カルト」が神秘的な心理的テクニックで信者を魅了しているということを意味しています。

皮肉なことに安倍首相は、日本におけるキリスト教を黒魔術を使った「邪悪なカルト」として迫害したことを謝罪したにもかかわらず、彼の暗殺は今や、家庭連合(旧統一教会)を現代版黒魔術である洗脳によって寄付金を集める「カルト」と位置づけるために、そして「カルト」全般の取り締まりを求めるために利用されています。

これらの主張を裏付ける歪んだ論理は、安倍首相の暗殺者が、20年前に彼の母親が統一教会に多額の寄付をしたために統一教会を憎んでいたという事実に基づいています。彼は、統一教会と関係のある組織のイベントにビデオで参加した安倍首相を罰するために彼を殺害しました。

暗殺を実行した犯人を非難するのでもなく、この犯人を煽動した可能性のある反統一教会ヘイト・キャンペーンを非難するのでもなく、犠牲者たちは論理と公平性の両方の見事な逆転の中で裁判にかけられます。

しかし、「カルト」とは何でしょうか? 宗教学者の大多数は、カルトは存在しないことに同意しています。「カルト」とは、強力なロビー団体が何らかの理由で好まないグループを差別するために使われるラベルにすぎません。常にそうだったわけではありません。

初期の社会学者が用いた事例では、イエスと使徒たちは「カルト」の一員でした。なぜなら、彼らの内の誰もキリスト教徒として生まれてはおらず、全員がユダヤ教徒から改宗したからです。数世紀後、キリスト教徒として生まれた人々が多数派となり、キリスト教は「カルト」(フランス語で「セクト」)から教会へと進化しました。

安倍首相暗殺は、今や「洗脳」という死んだ馬を蘇らせるために、また、悪い「カルト」は良い「宗教」と違って、精神的操作によって信者や寄付者を募集しているという理論を蘇らせるために利用されています。

黒魔術(洗脳は黒魔術の世俗化されたバージョンに過ぎない)や「邪悪なカルト」を運営しているという非難は、常に、非難された人々の非人間化、迫害、差別につながります。これは、ヨーロッパの魔女狩りや、安倍首相が謝罪した日本のキリスト教徒迫害の際に起こったことです。

今日、彼らは統一教会を狙っています。明日、彼らは、メディアに「カルト」だと説得できるほどの力を持つロビー団体を敵に持つあらゆる宗教を狙うかもしれません。

世界の民主主義国では宗教への寄付は非課税ですが、統一教会への寄付は「本物の」宗教ではなく詐欺的な「カルト」への寄付であり、したがってその贈り物は販売の対価とみなされ、そのように課税されるべきであると主張されています。

日本は欧州人権条約には加盟していませんが、世界人権宣言に署名しており、同宣言の第18条には同様の規定があります。1993年に出された一般意見第22号と呼ばれる公式解釈において、国連は「第18条の適用範囲は、伝統的な宗教に限定されない」と述べています。

国連は、「新しく設立されたものであるとか、支配的な宗教コミュニティから敵意の対象となり得る宗教的少数派を代表するものであるということを含め、いかなる理由においても、いかなる宗教や信仰に対しても差別する傾向」に対して警告しました。

日本における統一教会の信者に対する、さらなるメディアの不寛容と行政上の差別を防ぐ方法は、大規模な連合を構築することです。

どの宗教が良い宗教で、どの宗教が悪い宗教か、つまり「カルト」であるかを決める権限を当局に与えること、そして悪い宗教への寄付を本当の寄付ではないと宣言して課税する権限を与えることは、すべての宗教団体を脅かすものであることは誰の目にも明らかです。それは世俗国家と言われている諸機関を新たな異端審問所に転換しています。

一部の日本のメディアは、統一教会は「普通の」信仰を持つ宗教ではなく、創始者である文鮮明師について奇妙な主張をしていると指摘して、統一教会を批判しています。

結びとして、私は告白します。私も、創始者について大げさな主張をする宗教を信じています。その名はキリスト教です。キリスト教徒として、私は2,000年前に犯罪者として処刑されたユダヤ人が今も生きていると信じています。

私はまた、彼が処女の母親から生まれ、死から復活したと信じています。これは、統一教会の信者が文師に対して主張するいかなるものよりも、はるかに大きなことです。

原典:https://asiatimes.com/2022/10/japans-unification-church-given-a-bad-cult-name/

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