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「ない」という観光資源

column vol.1181

今週に入って

GW前に打ち合わせしましょう」
GW明けには提出してください」

など、 “ゴールデンウィーク” というフレーズが飛び交っております。

…気が付けば、4月も残り1週間…

月日の流れる早さと、大型連休の気配を感じますね…

GWの楽しみの1つが、やはり旅行でしょう。

コロナが5類になったのは、昨年の5月8日から。

ということは、コロナ以来、初の行動制限のないGWです。

恐らく、多くの方々が行き交うでしょうね。

そんな中で今、注目されている観光地があります。

…それは、「何もない場所」なのです。

外国人が訪れたい「ない」場所

は、、、はぁ〜?

…という声が返ってきても不思議ではないと思います…

「何もない場所」とは何なのか?

その答えは「田舎」です。

実は「日本の田舎」を求める外国人観光客が増えているというのです。

〈東洋経済オンライン / 2024年3月30日〉

2023年に、パリ市内の日本食を出すカフェにやってくるお客さん50人を対象に行ったアンケートでは

1位:東京 2位:京都 3位:田舎

という結果になったとのこと。

まぁ、こちらはかなり狭い調査なので参考レベルですが、観光庁の調査によっても、田舎へのニーズが汲み取れます。

日本への旅行が2度目以降の外国人が約6割いらっしゃるそうなのですが

2度目、3度目になったら、いわゆる観光地と呼ばれるところよりも、人里離れた田舎のほうが良い。日本の古民家に滞在して里山風景に溶け込み、田舎料理を味わいたい

という声が多いというのです。

『日本一わかりやすい地方創生の教科書 ――全く新しい45の新手法&新常識』の著者で

2022年度の「地方創生テレワークアワード(地方創生担当大臣賞)」「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」をダブル受賞した株式会社イマクリエ代表の鈴木信吾さんは、このことについて

「特徴のある産業がない」「観光資源も何もない」という何ひとつ特徴のない地方自治体にも、「地方創生の可能性」は十分にあります。
今までの概念から「新しい視点」を持って、もう一度、「地方創生」の可能性を探ってみましょう。これまでになかったような、新しい「地方創生」の姿を見つけられるかもしれません。

と、「ない」ことに対する「価値」をいかに見つけるかが重要だと仰っております。

さらに言えば、実はこの観光ニーズは外国人観光客だけではないのです。

約2人に1人が「田舎」を希望

そうです、私たち日本人同じ気持ちを持っていることが分かっています。

地域課題の解決をサポートする株式会社GAROOが全国の20代~60代、1,017人を対象に行った調査によると

「有名な観光地ではなく、あえて田舎を選んで旅行したことはあるか?※田舎=地方やローカルな場所」と質問に対し

「はい」が46.3%

という結果に。

約半数の方が田舎を選択したことがあるわけです。

〈AMP / 2024年2月27日〉

その理由として最も多かったのが

「自然に触れたかった」…56.7%

半数以上の人が、自然に触れたいといった理由で有名な観光地ではなく田舎を選んだことが判明しました。

株式会社GAROO

さらに、「田舎の旅行は楽しかったか?」と質問したところ

「とても楽しかった」…51.0%
「まあまあ楽しかった」…45.2%

と、9割以上の人が「楽しかった」と回答しているのです。

他にも、「田舎旅行の良さは何だと思うか?(複数回答可)」という質問には

「地元の食材を食べることができる」…44.2%
「自然豊かな環境」…43.8%
「混雑していない」…36.5%

ということが上位に挙がっております。

ちなみに、最近では豊かな自然の中で長期滞在する富裕層が世界的に増えています。

また、グルメでいえば、「まだ知られてい “ない”」美味しさは、それだけで潜在価値と見た方が良いでしょう。

音楽ファンが次に輝くスターの原石を発掘しようとするように、観光についても「発掘してもらう」仕掛けづくりを行うことは、マーケティング上の大きなポイントになるはずなのです。

「価値」発掘のためのヒント

「発掘」ということでいえば、1つ興味深い事例があります。

地図情報の調査・制作・販売を行うゼンリンが、「47都道府県ピンバッジ」を販売しているのですが、売れ行き1位の県は想像つきますでしょうか?

こちらは地元民・出身者が主なターゲットです。

実はトップに輝いたのは「群馬県」

他県の人は、意外に思いませんか?

〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年4月9日〉

この47都道府県ピンバッジ第3弾まで販売されており、第1弾はこちらになります。

ITmediaビジネスオンライン

都道府県それぞれのカタチが表現されています。

そうなのです、群馬県が1位になった理由は、この「カタチ」にあるのです。

実は、群馬県では小学生の頃に「かるた大会」があるそうなのですが

「つる舞う形の群馬県」

と詠まれることで、地元の人にとっては「つるのカタチ」ということで馴染みが深いそうです。

ITmediaビジネスオンライン

確かに、つるに見えますね〜

自分に引きつけて考えてみると、私がこれまで住んできた東京、神奈川のカタチ自体には思い入れがありません

こうした差が、群馬1位につながったのでしょう😊

ちなみに、第2弾名所名産品などをイメージしたにした「街まち 47palette カラーピンズ」を販売。

ITmediaビジネスオンライン

例えば、宮城県「ずんだ」滋賀県「琵琶湖の夕日」福岡県「めんたいこ」といった具合に色づけられています。

名所や名産品を想起させるカラーが加わったことで順位が変わることが予想されていたのですが

結果は、ここでも何と群馬が1位

それぐらいカタチが強かったのです。

ちなみに、第3弾18金またはでできたラグジュアリーシリーズが登場。

ITmediaビジネスオンライン

…あれ、…写真を見ていただくと分かる通り、…群馬県が9位に落ちていますね…

…ひょっとして…、群馬県にはラグジュアリーを求める方が少ない…?

…と、一瞬想像してしまいましたが、敗因

「これまでに比べて、つるのカタチが分かりにくい」

ということが挙げられているそうです…

ITmediaビジネスオンライン

…確かに型押しのデザインに変わったことで、つるのニュアンスが変わって見えるのかもしれません…(?)

…いずれにせよ…、どうでしょうか…?

このカタチのパワー

名所、グルメ、自然など、一般的に土地の魅力だと思われている点ではないところに、価値をつくるヒントがあるのではないでしょうか😊

〜ということで、「ない」ことに対して発想を変えることで観光資源になる

そんな良き好事例たちでした。

やはり、これからの時代はますます柔らか発想が求められますね。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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