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国際競争力“1位”の秘訣

column vol.1196

あっっっという間のGWだったのではないでしょうか…?

思わず早速、次の夏休みの計画を立ててしまいたくなります…(汗)

…まぁ、個人的な思いは置いておいて…

GWに続き、夏休みの主な過ごし方の1つが「旅行」ですが、コロナによる行動制限が解除されて1年経った今も遠くに感じるのがヨーロッパです。

金銭的にも、時間的にも気軽には行けない…

いつかまた現地を楽しめることを願いつつ、今日はヨーロッパに関するビジネスの話をしたいと思います。

IMD(国際経営開発研究所)が発表している「国際競争力ランキング」2年連続1位に輝いているのが、デンマーク

最近では、同国の強さの秘訣についての記事を多く見かけます。

〜ということで、本日は「デンマークの競争力の源泉」について探っていきたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊

キラリと光る「先見の明」

デンマークの面積九州程度で、人口約590万人

小さな国ではありますが、幸福度・貧困率の低さ・格差の小ささ・汚職率の低さ・デジタル化・国際競争力など、社会的な国際ランキングにおける存在感は圧倒的です。

〈PRESIDENT Online / 2024年1月24日〉

デンマーク文化研究家の針貝有佳さん

「デンマークが国際競争力ランキングで世界ナンバーワンに選ばれた背景には、圧倒的な『ビジネス効率性』を実現する未来を見通す『先見の明』にある」

と解説されております。

国際競争力ランキングは 

●経済状況
●政府の効率性
●ビジネス効率性
●インフラ

という4つのカテゴリの総合評価で決まるのですが、同国の2023年のランキングを見ると、「ビジネス効率性」の強さが際立っています。

経済状況15位
政府の効率性 5位
★ビジネス効率性 1位(4年連続)
インフラ 2位

ちなみに、ビジネス効率性とは何か?

IMDでは

●生産性と効率性
●労働市場
●ファイナンス
●経営プラクティス
●取り組みと価値観

と、5つの項目を挙げております。

このうち、デンマークは「生産性と効率性」「経営プラクティス」「取り組みと価値観」の3項目で高い評価を得ているのです。

「切り替え上手」な国民性

各順位と、項目の詳細は以下の通りです。

「生産性と効率性」(1位):
1人あたりGDP、労働生産性、農業・産業・サービス業における生産性、大企業や中小企業の効率性、デジタル化など
「経営プラクティス」(1位):
アジリティ(状況変化への対応力)、取締役会の機能、意思決定へのビッグデータ分析の活用、起業家精神、社会的責任、女性管理職など
「取り組みと価値観」(3位): 
グローバル化への積極性、ブランディング、柔軟性と適応力、経済的・社会的改革のニーズ認識、企業のDX化、社会の価値観など

そして、「先見の明」「ビジネス効率性」につながる話として挙げたいのが、「デジタル化先進国」としての世界的評価でしょう。 

同国は、

電子政府ランキング3回連続1位(2018年〜2022年)
デジタル競争力ランキング1位(2022年)

という実績を残しているのです。

欧州委員会は、そんなデンマークを

「EU内で経済と社会のデジタル化が最も進んだ国」

と評価。

実際に同国民の94%インターネットユーザーで、様々なオンラインサービスを積極的に利用しているのです。

そして、針貝さん新しいシステムが誕生すると、現行のシステムからバッサリ切り替える彼らの思い切りの良さも指摘しております。

小国として数々の荒波を乗り越えてきたことの強さが、こうしたマインドを育んでいるのかもしれませんね。

安心を生む「フレキシキュリティ」

もちろん、こうしたマインドは社会制度あってこそです。

デンマークと聞いて頭に浮かぶのが「フレキシキュリティ」です。

フレキシキュリティとは、雇用の柔軟性は担保しつつ、同時に社会保障によって労働者の生活の安定を守る政策のこと。

英語で柔軟性を意味するフレキシビリティ(Flexibility)と安全性を意味するセキュリティ(Security)を組み合わせてできた造語となります。

ちなみに、雇用の柔軟性とは、解雇規制の緩和や手厚い失業補償の給付により、従業員が安心してプライベートも両立しながら、次の職場を探すことができる仕組みのこと。

解雇規制を緩和していますが、決して企業側に従業員の解雇を促すための制度ではないのです。

フレキシキュリティによる効果は、主に3つ挙げられています。

(1)失業率の改善
(2)経済成長を促す
(3)自分らしく働く社会の実現

デンマークのフレキシキュリティ制度は「黄金の三角形」と呼ばれており、この成果として、失業率は4〜5%程度とEU内では低く、就業率は約75%と高水準に。

また、失業手当は、前職の給与の約9割であり、最長4年間支給対象となるので、安心して次のことが考えられます。

また、失業者向けの教育訓練制度在職者向けの教育訓練にも力を入れており、失業者が特定企業だけでなく外部労働市場で活用できるスキルを習得できるようにしているのです。

つまり、経済成長できているのは、国民一人一人が学習により “成長” していることが大きいと言えます。

デンマーク人の仕事を選ぶ基準

そして、何より(3)「自分らしく働く社会の実現」ということが理想的です。

デンマークのコペンハーゲンにある、サステナブル都市開発のイノベーション拠点「ブロックスハブ(BLOXHUB)」に務める、ヤコブさんという方のキャリア観が興味深かったので、ご紹介させていただきます。

〈AMP / 2024年4月21日〉

ヤコブさんは、同施設のグローバルネットワークを担当されているのですが、転職は4回目

日本では若干多いのかな?と思う回数ですが

デンマークでは生涯の平均転職回数が2017年時点で平均7回上回っていて、近い将来には平均12回に上ると推測されているので、同国では少ない方です。

これは、まさにフレキシキュリティ制度の賜物

そんなヤコブさんが、仕事選びで大切にしてきたのが「社会的意義」

「僕は自分の仕事を好きでいたい。仕事に社会的意義があるかどうかは、すごく重要だと思う。僕が自分自身をどう見るか、ということにつながってくるからね」

と、仰っていますが、自分なりのテーマを追求して仕事を選んでいくスタイルは、デンマーク人にはよくあるキャリア形成方法とのこと。

だからこそ、「仕事好き」というのはヤコブさんだけではないのです。

デンマークには、彼らの人生観を表す「ヒュッゲ(Hygge)」という言葉があります。

こちらは、「居心地がいい空間」「楽しい時間」という意味。

そうした価値観の上にビジネスも成り立っているわけです。

“好き” だからこそ、プロフェッショナルとしての力や誇りも高まり国全体としての活力につながっていく。

こうした様々な要素が重なって、デンマークの国際競争力が育まれていくのでしょう。

〜ということで、今後も同国の魅力に注目したいと思います😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。


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