仕事で広がる「メタバース」
column vol.1204
一昨年、注目を集めたメタバースですが、コロナの落ち着きとともにトーンダウンし、その後のAIインパクトに話題の主役を奪われた感があります。
一方、ビジネスの現場では着々と広がっている。
2023年の産業メタバース市場規模は収益ベースで800億ドル。
今後年率24%以上の成長率を維持し、2030年には7,658ドルに拡大する見込みとなっています。
特に製造業では、もはや欠かせない技術になりつつあります。
ということで、本日は【仕事で広がる「メタバース」】と題し、その動向をお届けいたします。
ぜひ、最後までお付き合いくださいませ😊
アメリカの製造業「92%」
デロイトは昨年10月のレポートで
ことを伝えています。
産業メタバース関連のテクノロジーである
が広く普及しつつあり、実験段階を含めこれらのテクノロジーをすでに活用している割合は92%に上っているそうです。
また、
におけるユースケースが注目される分野であることも明らかになっています。
例えば、プロダクション関連の取り組みとしては、
などが実施されています。
この産業メタバースで特に注目されている企業の1つが、ドイツのシーメンス。
東芝の島田太郎社長の古巣としても有名ですね。
シーメンスは、2023年7月、20億ユーロ投資計画の一環で、ドイツ国内での産業メタバース分野の研究開発促進に向け10億ユーロ(約1,600億円)を投じる計画を明らかにしました。
世界最大級の家電・IT見本市「CES2024」でも、その存在感を示し、ソニーと新たなパートナーシップを提携したことを発表。
日本のメディアでも取り上げられました。
「デジタルツイン」がビジネスを変える
ではでは、なぜ製造業でメタバースが広がっているのか?
主な恩恵は、コスト削減と売上増加です。
プロトタイピングなどの工程を仮想世界で実施することで、時間とコストの大幅な短縮につながる。
また、仮想世界でのアフターサービスやカスタマーエクスペリエンスの提供が売上増に寄与する見込みもあります。
そして何と言っても、キーワードとなるのが「デジタルツイン」です。
こちらは、現実の世界から収集した、さまざまなデータを、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現する技術のこと。
この技術を活用することで、実世界の工場を仮想空間に構築。
生産ラインのシミュレーションなどを行う際に、かなり正確に行うことができるのです。
これにより、自動車産業ではこれまで新しいエンジンを開発するのに約5年かかっていましたが、開発期間は圧倒的に短縮。
それに応じて生産ラインを変更する頻度も高まっています。
また、食品産業でもバッチサイズ(物の移動・加工など一回のオペレーション対象の物量単位)の縮小や頻繁なレシピ変更により生産ラインの変更頻度が高くなっているのです。
産業メタバースへの期待は、ますます高まっていくでしょう。
メタバースで広がる新しい働き方
仕事ということで言えば、働くことが困難な方々に新しい雇用の機会を創出しています。
例えば、障がいのある方です。
日本では1160万人と推計されていて、人口のおよそ9.2%。
以前より増加傾向が続いています。
そして来月からは「共生社会の実現」へ向け法定雇用率が現在の2.3%から2.5%に引き上げとなりますが、現状として、法定雇用率を達成している企業は半数に留まっている状況になっているのです。
そんな中、メタバースを導入することで
というメリットが生まれています。
〈TOKYO MX / 2024年3月25日〉
メタバース上のオフィスには、実際の会社と同様にデスクやパソコンが配置。
たとえ自宅にいたとしても、まるで実際に出勤しているような感覚を得ることができるのです。
また、アバターを使用することで、人と顔を合わせることも無くなり、対人ストレスの軽減も期待されています。
こうした点は、ひきこもりの方にとっても働きやすい環境をつくることができるでしょう。
実際、北海道の札幌市でも、NPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワークが市から委託され、仮想空間を活用した新しい働き方を広げています。
〈HTB NEWS / 2024年5月16日〉
理事長の田中敦さんは
と、メタバースを活用する意義を語っていらっしゃいますが、「無理に自分を変える必要のない」働き方というのは、全ての人々にとっての理想。
私たちみんなの光になるやもしれません😊
今後、ビジネスシーンでどのように導入が進んでいくのか?
これからの展開が非常に楽しみですね〜
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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