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「成果」を上げる「4つの因子」

column vol.1151

売上、営業利益を毎年アップできる会社というのは理想ですが、どのようにそんな組織を築いていったら良いのでしょうか?

ヒントとなるのは、長野県にある伊那食品工業経営哲学です。

「48期連続増収増益」を達成の秘訣

同社は、最近【100年企業の国】という記事でも取り上げさせていただきましたが、「かんてんぱぱ」を製造している会社。

1958年以来、48期連続増収増益を達成した企業として有名です。

ちなみに昨年度(22年度)の売上過去最高の205億円

この売上成長物語と同じぐらい有名なのが「リストラなしの年輪経営」です。

社員を家族のように大切にする。

そうした考えのもと、売上ノルマはなく、同社が一番大切にしているのは「社員が幸せである」こと。

社員が幸せなら結局はちゃんと利益が出る

という考え方を持っていらっしゃいます。

〈日刊ゲンダイ / 2024年3月1日〉

一人一人が生き生きと働き自分たちの考える仕事をして欲しいという方針を徹底しているのです。

非常に理想的ではあるけど、理想論として受け止めてしまいそうになる…

しかし、社員の幸せを追求することで会社の成果に結びつくという研究結果も数多く見られます。

●幸せな社員は、不幸せな社員より創造性が3倍高く離職率も低い
●幸福度の高い会社は利益が出て、株価も高く、企業価値も高い

そう考えると理想論ではなく、理に適った経営方針と言えるのです。

実際、同社の社員の95%

月曜日には会社に行きたくてたまらない、早くみんなと一緒に働きたい」

と思っていらっしゃるとのことで…(驚)、少し差し引いて見たとしても、月曜日をワクワクしながら迎える社員が多いというのは、驚きです…

このことについて、慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生は、「幸せの4因子」という言葉で解説しています。

「幸せの4因子」が成果をつくる

「幸せの4因子」とは

●やってみよう因子
●ありがとう因子
●なんとかなる因子
●ありのままに因子

のこと。

言い換えると、

●挑戦しやすい(主体的になりやすい)職場
●感謝を伝い合う職場
●失敗を恐れない職場
●自然体でいられる職場

ということ。

言葉にすると簡単ですが、実現するには非常に難しい

そんな中、もう一方、ご紹介したい経営者がいらっしゃいます。

中央シャッター/横引シャッターの2代目、市川慎次郎社長です。

〈東洋経済オンライン / 2024年2月23日〉

市川さんが掲げるいるのは「お互い様経営」

これは、お休みは全て「有給」にするという制度に基づいています。

つまり、子どもの参観日や運動会、親戚や友人の結婚式、親の介護などなど、私用の休みがもれなく有給になるというわけです…(驚)

そんなことしたら…、組織は崩壊してしまいそうですが…、逆に自分が休みたい時に休めるよう社員同士で「お互い様」の精神が生まれるとのこと。

しかも、「銀婚式の記念旅行」に行きたい社員には20万円のお祝い金を贈呈されたそうです…

①納期に遅れないこと
②品質が保たれていること

市川さんが社員に課すのは、この2点だけで、あとは自由を尊重する。

すると、みんな自由な方が良いので、自ら進んでモラルを守ろうとします。自由にはもれなく責任がついてくるのです。

そうした経営哲学を持つことで、最大9億円あった借金を返済し、経営を軌道に乗せていらっしゃるとのこと。

同じ経営を司る人間として、ただただ頭が下がる思いでいっぱいです…

結局、経営者にとって大事なこと

中央シャッター/横引シャッターの職場にも、幸せの4因子が溢れていますね。

主体性があり、感謝し合い自己開示しやすい関係性である。

合コンのため早退することもオッケーのようで…(笑)、許容力のある文化が築かれているわけです。

この2社に共通するのはトップの器というか、覚悟を決めまくっていること。

「こんな良い職場がなくなったら困る」

そう社員一人一人に思わせるだけブレない気持ちがあるからこそ、実現できるのだろうなと感じます。

テクニックやノウハウでは成立しないと思うのです…

前野先生も

「幸福度が高い企業は『従業員を幸せにしたい』という経営者の思いや理念が強く、会社全体にも広がっているのです」

と仰っていますし、改めてトップの意志って本当に重要だなと感じます。

ちなみに、社員数17人の中小企業ながら、取引先数はなんと名だたる大手企業を始め1100社を超える長野の製品設計会社「スワニー」橋爪良博社長も、挑戦する企業づくりの成功法について

「僕も挑戦するから一緒にやろう。何かあったら自分が責任を取るから」

という想いを社員の方々に伝えることが肝要であると仰っています。

〈Seizo Trend / 2024年2月14日〉

決してトップが偉ぶらず、目線を合わせて挑戦していく。

失敗する時は自分も一緒

そういう姿勢を示すのではなく、示し続けることが、こうした理想的な会社をつくるのでしょう…

…頭では分かっていても…、そんなに簡単には体現できない…(汗)

…でも、そこで大抵の人は腰が引けちゃうから理想論のままで終わってしまうんだろうな…と自戒・自省の念も込めて、そう思います…😅

まぁ、どこまで覚悟を持ってやれるかは置いておいて、リーダーは

●やってみよう因子
●ありがとう因子
●なんとかなる因子
●ありのままに因子

の4つの因子が、組織の中でどこまで育まれているのか?

そのバロメーターを見つめ続けることが必要なのでしょうね。

こうした素晴らしいリーダーたちの爪の垢を煎じて自分を改めたいと思う今日この頃です…(汗)


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