見出し画像

「余白思考」で常識を超える

column vol.1183

今朝、ニュースチェックをしていたら

京都芸術大学3年連続志願者数過去最高を更新(前年対比127%増

という記事が目に飛び込んできました。

〈BIGLOBEニュース / 2024年4月18日〉

この少子化の時代において、入学定員数も3年連続で拡大させ、2年連続で新校舎を竣工するそうですよ。

同大学は、クリエイティブな思考を重視し、学際的なアプローチを取り入れている点が特徴。

「クリエイティブな思考」ということでいえば、「デザイン思考」「アート思考」を企業経営に取り入れている会社が増えましたね。

〜ということで、本日は「デザイン」という視点から、ビジネスのヒントになる種を見つけてみたいと思います。


前向きをつくる「余白思考」

京都芸術大学出身のクリエイターといえば、数多くの方が活躍されておりますが、本日は、株式会社セイタロウデザイン山﨑晴太郎さんについてご紹介したいと思います。

山﨑さんといえば、デザイン経営のパイオニアであり、著書の『余白思考』重版を重ね、1万部を突破。

余白思考とは、物事の本質を捉え、無駄を省きつつ余白を意識的に残すことで創造性発想の幅を広げる思考法のこと。

情報や行動の過多がもたらす圧迫感から解放されることにより、必要な部分に集中することで質の高いアウトプットを目指すというわけです。

余白が生まれることで、余裕を持った考えが生まれ、新たなアイデアや解決策が生まれる。

こうした考えはクリエイティブな世界だけではなく、ビジネスや日常生活にも転用できますね。

ちなみに、山﨑さんの言葉の中で一番好きな言葉が、こちらです。

論理を積み重ねれば、たしかに
「正しい答え」にたどり着く。
でも、「心を動かす答え」には届かない

うぇい!

かっこ良いですね〜

ちなみに、人生において、余白を持つことでの効能をこのように仰っています。

余白の「余」は余分ではなく、余裕の「余」であり、「余白」の先には、果てしなく続く時間/空間があります。
自分が自分らしく生きるために必要なものとしての余白。
(中略)
生きることが絶対「ラク」に前向きになるし、例えば仕事や人間関係が今よりもっと「楽しく」なる

〈GOETHE / 2024年3月1日〉

普通は「余裕」という言葉を使いますが、余裕ではイメージがなかなか浮かびませんね

一方、「余白」と言われると、画用紙の「余白」など思い浮かぶ絵があります。

イメージがあると、人は認識・行動しやすい。

イメージを大事にするデザイナーだからこその視点ですね。

「ロゴなし化」がウケるワケ

この「余白(余裕)」につながる事例として挙げたいのが、最近、メーカーのロゴがない家電が増えているという話です。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年3月29日〉

ロゴがあっても、位置やデザインを工夫し、目立たないようにした商品も多くなっています。

ブランドのロゴが重要なはずのファッション業界においても

「クワイエット・ラグジュアリー(静かなぜいたく)」

という言葉がトレンドとなり、目立つロゴや派手なデザインを避ける装いが好まれるようになっているのです。

ちなみに、クワイエット・ラグジュアリートレンドになったきっかけの1つに、アメリカのドラマシリーズ『メディア王 ~華麗なる一族~』があると言われています。

同作品は、世界的メディア企業の経営者とその家督相続バトルを描いたものであり、大富豪でありながらも大々的にロゴがないファッションを着こなしているのが話題となりました。

こうしたクワイエット・ラグジュアリーの広がりは、シンプルなデザイン性を好み、機能性を重視するようになったことが影響していると考えられています。

そもそもですが、ユーザーにとって「ブランドロゴ」はどのように捉えられているのでしょうか?

21年の消費者庁による調査結果では、商品・サービスを購入する際に重視するものとして「品質・性能」1位となっております。

ちなみに、「費用対効果(コストパフォーマンス)」3位

そして、ここからがポイントです。

4位「見た目・デザイン」

「有名ブランド・メーカー」であるかは、グッと順位が下がって9位となっています。

ここからも、消費者視点でいえば、ロゴはできれば「なし」もしくは「目立たない」方が良いと思っていると捉えることができるでしょう。

…それでも、分かっちゃいるけどやめられない…

なかなかそうした決断ができない企業も多いと思います。

だからこそ、考え(常識)の中に「余白(余裕)」を持てる企業は強いとも言えます。

ちなみに、自分が消費者側なら、よっぽど愛しているブランドは別として、あまりロゴは目立たない方が良いと思う方は多いはずです。

消費者視点に立って考える余裕(余白)を持てるかというのは、ビジネス上の重要な視点である気がします。

「本質」を重視するからこその「余白」

一方、これまでは「余白」に焦点を当ててきましたが、それは本質をちゃんと捉えてこそ活きるものだと考えております。

これは、茶道、華道、武道など「道」の世界で使われる「守破離」という考えにも通ずる話。

ちなみに守破離とは、日本の伝統的な学び方や技能習得の概念で、三段階のプロセスを表しています。

守(しゅ)基本的な技術や規則を師匠や教師から学び、従うことが求められる段階
破(は):基本をマスターした後、学んだ規則や技法を超え、自分なりの改良や新たなスタイルを試みる段階
離(り)完全に独自のスタイルや表現を確立

「型破り」という言葉は、この「破」の段階が由来していると言われているのですが、基礎がないのに破ろうとすれば「型なし」になってしまう…

余白思考も「本質」があってこそ。

そんな本質の大切さを改めて感じさせてくれるのが「ツバメノート」です。

3月25日に投稿された「新年度のお知らせ」という投稿が話題になりました。

〈withnews / 2024年4月15日〉

「創業より変わらぬツバメノートの意匠ですが、当社で熟考を重ねた結果

おっ、何か変更があるのかな?と思って続きを読むと…

来年度もデザイン変更しないこととなりましたので、ここにお知らせ致します」

えええっ!??何で変更しないことを発表しているの…??

と、不思議な気持ちにさせられます…

実はこのツバメノート、1947年に発売して以来、表紙のデザインはその当初から変わっていないそうです。

ツバメノート株式会社

実は同社ご担当者さんが

デザインや使い心地を気に入ってくれているお客様のためにも、なるべく商品の仕様を変えないように努力しています」

と仰っているように、「変えない努力」に命を懸けているのです。

というのも、ツバメノートが製造・販売している商品の多くは「罫引き印刷機」を使って印刷されているのですが、実はこの印刷機は、日本では最後の1台で、替えが効かないのだそうです…(汗)

では、なぜ「罫引き印刷機」にこだわっているのか?

その理由は、現在主流となっている「オフセット印刷」との大きな違いは、水性インクを使っていること。

油性インクで印刷されたノートの場合、罫線が水性インクを弾き、文字がにじんだり書き心地が悪くなったりすることがあります。

そのため、水性インクを使う万年筆ユーザーの中には、罫引き印刷にこだわる方も多いというわけです。

「なぜ、ツバメノートが選ばれているのか?」

という本質を徹底的に考えて判断した「現状維持」なのです。

一度、山﨑さんの余白思考を再確認してみましょう。

物事の本質を捉え、無駄を省きつつ、余白を意識的に残すことで創造性や発想の幅を広げる思考法

「本質」「余白」

この2つをビジネスの中でどのように意識するのか?

そして、これは豊かな人生にもつながるでしょうね😊

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?