つい買いたくなる「プライミング効果」
column vol.1059
本日は横浜赤レンガ倉庫の『CURRY&MUSIC JAPAN 2023』に行ってきました。
〈横浜赤レンガ倉庫 / 特設サイト〉
さまざまなタイプのカレーが揃い、音楽と一緒に楽しめるというイベント。
どんなミュージシャンが参加しているかというと、以下の通りです。
つまり、カレーを片手に音楽フェスを味うイメージ。
集まったお客さんも大きな声で声援を送っており、コロナ対策が緩和され、こうしたイベントが戻ってきたなと感じました。
その後、近隣の商業施設を覗いてみると、ちらほらとセールの赤札が目に入ってきます。
夏といえば、バーゲンセール。
とはいえ、昔ほどセールが特別なものではなくなっています。
10年前は、6月の終わりからバーゲンが始まり、8月いっぱいは「最終売り尽くしセール」といった感じで夏はセール一色でしたが、最近はだいぶ縮小しています。
この時期になると、多くの商業施設がセール色を無くしている。
セールに頼らず、経常的に売れる仕組みをつくりたいということで、小売各社はさまざまな工夫を施していますが、「行動経済学」を取り入れている企業も増えています。
例えば、「プライミング効果」。
「プライミング効果」とは?
プライマーとは「刺激」。
つまり、何かしら消費者に刺激を与えることで、購買促進につなげるということです。
例えば、「サンタクロース」を思い浮かべてくださいと言った後、「果物と言えば?」と質問すると、「りんご」と答える確率が高くなります。
これは、サンタクロースの「赤い服」がプライマーになっているというわけです。
あと、誰もがやったと思われるプライミング遊びは「10回クイズ」でしょう。
言われて「ヒジ」を10回唱え
と聞かれると、つい「ヒジ」と答えてしまうあのゲームです。
これも「ヒジ」がプライマーということ。
このようにプライマーを設定することで、相手を意図する方向に誘導できるのです。
無意識に「誘導」されている音楽の力
そして、本日は『CURRY&MUSIC JAPAN 2023』を楽しんだことにちなんで、「音楽」によるプライミング効果をご紹介させていただきます。
有名な話でいえば、アメリカ・ニューヨークのスーパーマーケットで行われた「音楽のテンポが買い物客の購買行動に与える影響」についての調査です。
BGMとして、アップテンポの曲とスローテンポの曲、どちらが消費を刺激するのかという実験。
結果は、スローテンポの曲の方が32%も売り上げがアップしたそうです。
理由はスローテンポがお客さんにゆったり感を与え、お店の滞在時間が上がったこと。
一方、逆に短時間滞在を条件とした日本のある研究では、アップテンポの曲の方が購買単価・点数が上がったという結果も。
セールなど「早くしないと売り切れちゃうよ〜!」というような焦る雰囲気をつくりたい時は、アップテンポの方が良いというわけです。
他に音楽とワインの売れ行きの相関についての調査もあります。
フランスワインとドイツワインを用意し、週ごとに店内で流す音楽を変え、売れるワインの傾向を調べたのです。
〈現代ビジネス / 2023年6月29日〉
もちろん、味や価格などワインの条件は同じにしています。
すると、フランスを連想させるBGMを流した日は、お客さんの83%がフランスワインを購入。
逆にドイツを連想させるBGMを流した日には、お客さんの65%がドイツワインを買ったという結果に。
さらには、フランスワインを買った人は35%にまで減ったそうです。
そして、興味深いのがその後に行ったアンケート調査です。
流れていた音楽を認識していた人は、何とたったの15%。
無意識のうちに誘導されていたことが分かりますね。
他にも、店内でクラシック音楽を流すと、より高額なワインが買われる傾向があるという研究もあるそうですよ。
音楽が与える影響は大きいのです。
プライミング効果で「夢」に近づく
プライミング効果は仕事のパフォーマスを上げたり、夢や目標に近づくためにも活用できると言われています。
例えば、CEOが社内メールをする際、達成感を思わせる12の言葉を入れるようにしたところ、社員のパフォーマンスが15%、効率が35%向上したという研究があるのです。
その12の言葉とは直訳すると
となります。
あくまでも英語がベースなので、日本人が使わないような表現もありますが、イメージはつくかと思います。
また、セルフプライミングとして日常的に私たちがやっているのは、「目指せ○○○大学合格!」などといったような貼り紙です。
常に自分に対して自分の目標を見せることによって、貼り紙がプライマーになるというわけですね。
ですから、夢や目標を人前で口にするなど公開することも非常に有効的だと言われています。
有名なところで言えば大谷翔平選手の「目標達成シート」でしょう。
花巻東高校時代に取り組んでいたもので、当時から「27歳でWBCのMVP」と書き、見える化しつつ、公開していました。
コロナ禍もあって大会が延期された影響から年齢こそ違いましたが、投打で異彩を放った彼はしっかりと有言実行したのです。
ということで、夢や目標は周りの人たちに公言することもオススメなのです。
…私個人としては…、なかなかそんな勇気が出ませんが…
しかし、それが凡人ゆえんなところなのでしょうけど…(笑)
いずれにせよ、プライミング効果は上手に使えば、さまざまな場面で私たちの力となってくれるはずです。
気になった方は、ぜひ掘り下げていただけると良いかと思います😊
ちなみに、横浜赤レンガ倉庫の『CURRY&MUSIC JAPAN 2023』は、明日、目玉アーティストのホフディランが出演いたします。
17日(月・祝)まで行っていますので、横浜の方、近くにお住まいの方で、昼間からビールとカレーを片手にフェスを楽しみたい方は、ぜひオススメです♪
いずれにせよ、良い三連休をお過ごしくださいませ!
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