「遠藤選手蹴るんじゃない?蹴った!決まった!」~2010年W杯日本対デンマーク戦~

 2010年南アフリカW杯グループステージの日本対デンマーク戦。午前4時頃の試合であったが早起きをして生中継で見た。

 遠藤選手のフリーキックの場面が忘れられない。

 日本が相手のペナルティエリア正面でのフリーキックのチャンスを獲得し、ボールの位置には本田選手と遠藤選手がいる。

 どちらがボールを蹴るのか。

 試合は本田選手がフリーキックでブレ球のスーパーゴールを決めて1対0。

「1点を決めている本田選手が蹴るのだろうな」と思っていた。

 デンマークも本田選手のフリーキックを警戒していた。

 デンマークのゴールキーパーは1点目を決められたゴール左側に寄って守り、壁も左側のコースを消すように作られている。(日本の攻撃側から見て)

 いよいよフリーキックを蹴るという場面。

 胸の中がそわそわしてきた。

「あれ、遠藤選手蹴るんじゃない?」

 本田選手のブレ球無回転のフリーキックがW杯前から取り上げられていたが、遠藤選手と中村俊輔選手のフリーキックが日本の武器だった記憶がある。

 本田選手のブレ球のフリーキックも半端ない。
 
 しかし、遠藤選手の右足のフリーキックも半端なかった。

 それなのに相手のキーパーは遠藤選手を警戒している様子がなくゴール左側に寄って守っている。
 
 そんな思いがあの数秒の間に頭をよぎった。

 遠藤選手が短い助走からボールを蹴る。

「いった!!」

ボールはカーブを描きゴールの右側へ吸い込まれる!!

「やったー!!』

 ハイライトで後ろからの映像を見ると、遠藤選手のボールは見事なカーブを描き相手の壁の右斜め上を超えていた。
 
 左側に寄って守っていたゴールキーパーは素早い反応を見せるがボールには届かない。

 この遠藤選手のフリーキックが決勝点となって勝利し、決勝トーナメントへ進んだ。

 この遠藤選手のフリーキックは、10年以上経っても忘れられないシーンとなって頭に残っている。


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