土偶子

好きな時代=縄文時代。好きな歴史上の人物=小野篁。よく知られた事件や人物より、謎の多い…

土偶子

好きな時代=縄文時代。好きな歴史上の人物=小野篁。よく知られた事件や人物より、謎の多い時代や人物に惹かれます。

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  • ドラキュラとゼノフォービア

    丹治愛著『ドラキュラの世紀末』に描かれる、外国恐怖症とは何か?現代の日本や西側諸国と通じる、外国不安恐怖症とは?

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ドラキュラとゼノフォービア━8

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土偶子
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ドラキュラとゼノフォービア━7

 コレラが流行した19世紀のイギリス。当時伝染病の原因はどうとられていたのだろうか。  丹治愛氏著『ドラキュラの世紀末~ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究』による…

土偶子
4日前
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ドラキュラとゼノフォービア━6

 コレラは元々インドの主に下ベンガル地域の風土病だったそうだ。それが1817年、インド全土に拡大する地域流行病になった。そして急速に感染域は広がり、1818年8月にはボ…

土偶子
8日前
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ドラキュラとゼノフォービア━5

 啓蒙主義と自由主義の観点から、イギリスはユダヤ人問題を「排斥」ではなく「同化」で解決しようとしていた。また、できると考えていた。  しかし、大量の移民が流入し…

土偶子
11日前
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宗像教授(星野之宣著)の最新刊三冊まとめて購入してしまった。漫画は断捨離中だというのに…!やっぱ、やめられない!

土偶子
12日前
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ドラキュラとゼノフォービア━4

 19世紀のイギリスは啓蒙主義の国として、大陸の他のヨーロッパ諸国と比べても、比較的移民に寛容であったらしい。根底にドーヴァー海峡で大陸から独立した島国であったこ…

土偶子
2週間前
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コロンビア大に立て籠る学生と排除する警官。『いちご白書』を思い出した人は少なくないはず。若者達はユダヤ人差別とは関係がない。ただ虐殺を止めたいだけ。アメリカ政府のイスラエル肩入れは異常としか見えない。日本政府はどう思うよ??にしても、警官が多すぎ

土偶子
2週間前
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ドラキュラとゼノフォービア━3

 『ドラキュラ』が出版された1897年はイギリスのヴィクトリア女王の即位60周年━━ダイヤモンド・ジュビリーの年だった。大英帝国各地の軍隊(もちろん植民地を含む)がロ…

土偶子
2週間前
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ドラキュラとゼノフォービア―2

 丹治愛氏によれば、19世紀末ヴィクトリア朝のイギリスは、外国恐怖症にかかっていたという。それはどういうことなのか。  そしてその時期に出版された『ドラキュラ』と…

土偶子
3週間前
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ドラキュラとゼノフォービア―1

 『ドラキュラの世紀末』という本を読み返した。著者は丹治愛氏。1997年に東京大学出版会から出版されて、当時書店に出てすぐに購入したと思う。  なぜ、この本を読み直…

土偶子
3週間前
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家電はなぜ続けざまに不具合が出る?こないだステレオ壊れた。先日DVDデッキいかれた。来週、エアコン全とっかえ。そして今日、台所の換気扇が故障。付喪神様の祟りでおじゃろうか?😰(画像と本文は関係ないです)

土偶子
1か月前
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将門を祀る!根元神社(奥多摩町)

 JR青梅線の終点、奥多摩駅で下車。ここは東京の駅の西のはずれにある。駅舎を出ると駅前の空をたくさんの燕が飛び交っていた。駅舎のどこかに巣があるのだろう。  駅の…

土偶子
1か月前
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将門を祀る!将門神社(奥多摩町)

 JR青梅線は御嶽駅を過ぎると、いよいよ山深い風景に変わっていく。山の間の谷底をくねくねと蛇行しながら流れる多摩川と、斜面を削って通る青梅街道。街道の少し上を通る…

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1か月前
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将門を祀る?海禅寺(青梅市)

 JR青梅線を奥多摩方面へ行こうとするとき、青梅駅より先へは都心から直通では行けない。必ず青梅駅で乗り換えなくてはならない。(青梅線は立川駅~奥多摩駅だが、中央線…

土偶子
1か月前
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ちょこっと断捨離 其十三

土偶子
1か月前
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将門を祀る?乗願寺(青梅市)

 天寧寺に行った帰り、ついでに三田氏ゆかりの乗願寺にも立ち寄ることにした。  東青梅駅に向かって戻り、線路が見えたら西に曲がって線路のわきの細い道を進む。時折、…

土偶子
1か月前
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ドラキュラとゼノフォービア━8

ドラキュラとゼノフォービア━8

 『ドラキュラ』が書かれた19世紀後半、細菌の研究が進み、ワクチンによる予防も進歩した。そして、それらの知識を取り入れられた小説も書かれるようになる。
 例えばラディヤード・キプリングの『高原からの平易な物語』(1888)や、H・G・ウェルズの『盗まれたバチルス菌』(1894)などである。

 『ドラキュラ』の中にも、細菌学の知識から取り入れられた単語が出てくるという。
 「死毒」と「殺菌/消毒」

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ドラキュラとゼノフォービア━7

ドラキュラとゼノフォービア━7

 コレラが流行した19世紀のイギリス。当時伝染病の原因はどうとられていたのだろうか。

 丹治愛氏著『ドラキュラの世紀末~ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究』によると、「嗅覚革命」というものがあったという。

瘴気恐怖

 「嗅覚革命」とは18世紀後半にアラン・コルバンの『瘴気と黄水仙』(邦題『においの歴史』)という本の中で出てくる言葉で、それによると、その頃から悪臭に対する社会の見方が変わったの

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ドラキュラとゼノフォービア━6

ドラキュラとゼノフォービア━6

 コレラは元々インドの主に下ベンガル地域の風土病だったそうだ。それが1817年、インド全土に拡大する地域流行病になった。そして急速に感染域は広がり、1818年8月にはボンベイ(現ムンバイ)に達し、ついに国外へと広がった。コレラはアジア・コレラという名で世界的流行病となったのだ。(日本には1822年に到達)

 これ以降、19世紀の間に5回のパンデミックが起きた。第1次1817~23年、第2次182

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ドラキュラとゼノフォービア━5

ドラキュラとゼノフォービア━5

 啓蒙主義と自由主義の観点から、イギリスはユダヤ人問題を「排斥」ではなく「同化」で解決しようとしていた。また、できると考えていた。
 しかし、大量の移民が流入したことによってさまざまな問題が大きくなるにつれて、ユダヤ人に対する見方が変化してきた。そしてユダヤ人に対して恐怖心さえ抱くようになったという。
 「同化」に対する考え方に変化が起きたのだ。

 丹治愛氏の著作『ドラキュラの世紀末~ヴィクトリ

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宗像教授(星野之宣著)の最新刊三冊まとめて購入してしまった。漫画は断捨離中だというのに…!やっぱ、やめられない!

ドラキュラとゼノフォービア━4

ドラキュラとゼノフォービア━4

 19世紀のイギリスは啓蒙主義の国として、大陸の他のヨーロッパ諸国と比べても、比較的移民に寛容であったらしい。根底にドーヴァー海峡で大陸から独立した島国であったことや、「移民はいずれ同化してゆく」という考えがあったからという。

 しかし、その考えはあることがきっかけとなって少しづつしぼんでいく。そして、次第に厄介な社会問題へと変化していった。

 丹治愛氏の著作『ドラキュラの世紀末~ヴィクトリア

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コロンビア大に立て籠る学生と排除する警官。『いちご白書』を思い出した人は少なくないはず。若者達はユダヤ人差別とは関係がない。ただ虐殺を止めたいだけ。アメリカ政府のイスラエル肩入れは異常としか見えない。日本政府はどう思うよ??にしても、警官が多すぎ

ドラキュラとゼノフォービア━3

ドラキュラとゼノフォービア━3

 『ドラキュラ』が出版された1897年はイギリスのヴィクトリア女王の即位60周年━━ダイヤモンド・ジュビリーの年だった。大英帝国各地の軍隊(もちろん植民地を含む)がロンドンで祝典パレードを繰り広げた。
 世界中に植民地がある大英帝国は、まさに「日の沈まぬ国」として絶頂期を迎えていた。

 しかし、「盛者必衰」。頂点に達すれば、その先は停滞か衰退が待っている。イギリス人たちは得体のしれない不安を抱え

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ドラキュラとゼノフォービア―2

ドラキュラとゼノフォービア―2

 丹治愛氏によれば、19世紀末ヴィクトリア朝のイギリスは、外国恐怖症にかかっていたという。それはどういうことなのか。
 そしてその時期に出版された『ドラキュラ』というホラー小説が、イギリスを覆っていた外国恐怖症を背景に取り入れているのだともいう。

 丹治氏が1997年に出版した『ドラキュラの世紀末』から、それをみてみよう。

 イントロダクションとして、「ドラキュラの謎」と「ドラキュラの年は西暦

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ドラキュラとゼノフォービア―1

ドラキュラとゼノフォービア―1

 『ドラキュラの世紀末』という本を読み返した。著者は丹治愛氏。1997年に東京大学出版会から出版されて、当時書店に出てすぐに購入したと思う。

 なぜ、この本を読み直したのか。それはここ数年の日本や世界━━とりわけ「先進国」といわれた(というか自称している)西側諸国の、何とも言えない周辺国に対する焦りのような不安感が、この本の内容とどこか似かよっていると思ったからである。

 この本の副題は「ヴィ

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家電はなぜ続けざまに不具合が出る?こないだステレオ壊れた。先日DVDデッキいかれた。来週、エアコン全とっかえ。そして今日、台所の換気扇が故障。付喪神様の祟りでおじゃろうか?😰(画像と本文は関係ないです)

将門を祀る!根元神社(奥多摩町)

将門を祀る!根元神社(奥多摩町)

 JR青梅線の終点、奥多摩駅で下車。ここは東京の駅の西のはずれにある。駅舎を出ると駅前の空をたくさんの燕が飛び交っていた。駅舎のどこかに巣があるのだろう。

 駅の向かいに観光案内所(ビジターセンター)があり、ここでハイキングや登山、キャンプなどの情報を得ることができる。

 駅前から道は奥多摩湖(小河内ダムによってできた人口湖)方面に向かう青梅街道と、日原街道に別れている。日原街道は日原鍾乳洞へ

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将門を祀る!将門神社(奥多摩町)

将門を祀る!将門神社(奥多摩町)

 JR青梅線は御嶽駅を過ぎると、いよいよ山深い風景に変わっていく。山の間の谷底をくねくねと蛇行しながら流れる多摩川と、斜面を削って通る青梅街道。街道の少し上を通る鉄道。トンネルも多い。

 鳩ノ巣駅で下車した。ここは鳩ノ巣渓谷で有名なところ。キャンプ場などがあり、釣りやハイキングなど自然を楽しめる行楽地だ。

 上の散策まっぷを拡大して見ていただくと分かるが、駅の右、電車の絵のすぐそばに目的地の将

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将門を祀る?海禅寺(青梅市)

将門を祀る?海禅寺(青梅市)

 JR青梅線を奥多摩方面へ行こうとするとき、青梅駅より先へは都心から直通では行けない。必ず青梅駅で乗り換えなくてはならない。(青梅線は立川駅~奥多摩駅だが、中央線から青梅駅行きが乗り入れている)乗り換えがスムースに行くときもあれば、待たされる時もある。

 二俣尾という駅で降りた。線路の北は山が迫り、南に青梅街道が平行して通る。その先、谷の底を多摩川が流れている。
 因みに川を橋で渡った吉野街道に

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将門を祀る?乗願寺(青梅市)

将門を祀る?乗願寺(青梅市)

 天寧寺に行った帰り、ついでに三田氏ゆかりの乗願寺にも立ち寄ることにした。

 東青梅駅に向かって戻り、線路が見えたら西に曲がって線路のわきの細い道を進む。時折、青梅線が通り過ぎる。単線なので、電車は東から西から交互に来る。

 すると、レトロな洋風の木造の建物が現れた。

 勝沼公会堂だそうだ。昭和十四年[1939]に建てられた。公会堂の名があるが、どちらかといえば地元の集会場的な存在らしい。

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