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season2 9話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

9.『春と修羅』


 ミライドンで川を下り、みついりりんごの無人販売所を見つけたりしてスイリョクタウンの舞出山道の橋のところまで来たヨーコ達。

「がお……」

 やっぱり怯えるオーガポン。

「オーガポンさん……」
「あちゃー、やっぱヤだよね」
「だ、大丈夫だから……!」

 断言するスグリに驚く3人。

「スグ! あんた何しようとしてるの?」
「鬼さま! 怖いかもだけど、おれ、がんばったから……。──だから、信じてついてきてくれる……?」
「!」

 真摯な姿勢にうたれたのか、歩き出すオーガポン。村に入るヨーコ達。
 管理人さんやおじいさんが何やら話し合っている。
 ヨーコ達に気付き、

「あれが、鬼……、オーガポン……」
「本当にいたのか!?」

 怯えるオーガポン。すぐに目線を合わせるヨーコ。

「が……、がお」
「信じましょう、スグリさんを」

 と、管理人さんが、

「鬼が山の、鬼……、いや、オーガポンさま!」

 村人達の目は真剣。

「長い間、キタカミではあなたを悪として言い伝えてきました。
 ──誠に、申し訳ありませんでした」
「!」
「ぽに……!?」
「何がどうなってんの!? どういう風の吹きまわし!?」

 おじいさんが言う。

「この子……、スグリがね、村中走り回って本当の歴史を伝えてまわったんだ。反感を買ってしまうからやめなさいと止めたんだが……」

 みんな次々謝ってくれる。

「鬼さま、ごめんよー!」
「オーガポンちゃん、かわいい!」
「お面も本物も緑色でいいね!」
 おじいさん、ゼイユも、
「──どうやら、ワシが間違っていたようだな」
「スグ、やるじゃん! 口下手のくせに!」

 ヨーコもにっこり。

「うん! スグリさんすごい!」

 笑うスグリ。

「これからは顔を隠さなくても、自由に村さ遊びに行っていいからね」
「……ぽにお!」

 笑ってくれたオーガポン。

「センターで保管していた3つのお面も、元々オーガポンさまの持ち物だったとか……。ともっこから返してもらったなら、どうぞそのままお持ちください」
「よかったねオーガポンさん!」
「誤解が解けて、お面も戻ってよかった!
めでたし、めでたしだね!」
「うん!」「ぽに!」

 うなずくヨーコとオーガポン。

「最後に、あたしらでオーガポンを家(うち)まで送っていこうよ」

 跳ねるオーガポン。1人、スグリは真剣な顔をしていた。



 ということでみんなで恐れ穴へ。

「着いたー!」

 爽快に叫ぶゼイユ。

「ぽにー!」

 穴に駆け寄るオーガポン。

「ちょっと寂しい場所だけど、思い出の場所だもんね」
「うん。──元気でね、オーガポンさん」
「ぽ?」

 振り向き、ヨーコに駆け寄るオーガポン。

「ぽにー!」

それを見たゼイユ、

「ねえ、ひょっとして、オーガポンってさ……、ヨーコと一緒に行きたいんじゃない?」
「え?」
「ぽに! ぽにおー!」

 その通り! と言わんばかりのオーガポン。

「う、うちと……?」

 キョトンとするヨーコ。そこで、

「待ってよ!!」

 止めるスグリ。

「それなら、おれも、おれだって鬼さまと……、──オーガポンと一緒がいい!!」
「スグ……」
「スグリさん」
「わがままさ言ってるのは自分でもわかってる。だから、ヨーコ! どっちがオーガポンさ捕まえるか勝負で決めさせて……、ほしい!」
「え……」
「あのさ、スグ」

 困惑するヨーコ、ため息をつくゼイユ。

「オーガポンのこと大好きなあんたの気持ち、すっごく……、すっごくわかるけど!
 ──オーガポンの気持ちも……、考えなよ」
「ぽに?」

 見上げるオーガポン。

「それでも……」

 スグリは諦めきれない。

「……勝負の準備さ、できたら言って」
「──ごめん、ヨーコ。あの子、わからせてやって」

 詫びるゼイユ。ヨーコ、黙ってうなずき、メンバーを出して道具を持たせる。
 すると、何かを察してか、ヨツハさんが出てくる。わっぷるさんとうなずきあい、共に進化する二匹。
 わっぷるさんはウェーニバルに、ヨツハさんはジャランゴに。
「え……」
「バルップ」(やろう)
「ジャララ」(せめてこれくらいしないとね)

 ヨーコもうなずき、みんなをボールに戻してスグリに近付く。

「準備……、いい?」
「──うん」
「──んだば、始めよう」

 漆黒の意志の瞳。位置につくふたり。

「勝った方がオーガポンの相棒になる……。
本気で……、かかってきて!」

 しんとした沈黙、その次の瞬間に、

「──ダーテング!」
「まんじゅう!」

 お互い1体目を出す!

「ヨーコの方がふさわしいってわかってる。
けど……、おれだって……!」

 ダーテング、ねこだましでまんじゅうをひっかけ、しっぺがえし。まんじゅう、どくづきで効果抜群。しかし倒れない。

「本気できてくれて嬉しい。──おれも本気さぶつける!!」

 つばめがえしから再度しっぺがえしくらうもどくづきでとどめ。
 2体目ニョロボン、ぴっかりさん。
 ぴっかりさんエレキボールで効果抜群。ニョロボン、はらだいこで攻撃準備。かわらわりをすんででかわし、かみなりパンチを叩き込んで倒す。
 3体目グライオン、わっぷるさん。グライオンかたくなるで防御を上げる。
 ヨーコ、わっぷるさんをテラスタル。新技アクアステップで効果抜群。かつ素早さを上げる。ポイズンテールをかわし畳み掛けてとどめ。
 4体目、ダイノーズ、わっぷるさん。
 アクアステップで効果抜群だが、特性がんじょうによりダイノーズ倒れず。ダイノーズ、パワージェムで撹乱しスパークをかまして一矢報いるも、けたぐりによりとどめ。
 5体目、カミッチュ、ヨツハさん。
かんろのみつで回避率下がる。ドラコンクローをくらわすが倒れず。かたくなるで防御上がる。めげずにドラコンクロー。急所に当たる。

「運に見放されたって、おれ、けっぱるから……!」

 りゅうのいぶきを返されるが、同じ技を切り返しとどめ。

「まだ、負けてない! もう……、負けたくない!」

 6体目。メガヤンマ、ぴっかりさん。
 エレキボールをかますが、むしのさざめきでピンチ。でんこうせっかで畳み掛けられ倒れるが、代わりにせいでんきでまひに。
 交代でわっぷるさん。げんしのちからを跳ね返した隙をつかれ、むしのさざめきくらってピンチ。しかし即アクアステップを繰り出しとどめ。ヨーコ、勝利。大きく息を吐く。
 スグリ、崩れ去る。

「……わかってた」
「スグリさん!」

 スグリに駆け寄るヨーコ。オーガポンとゼイユも一緒。

「──負けるって、わかってた。──でも、あきらめきれなかった」

 地面を殴り付け、立ち上がるスグリ。

「……ごめんな」
「スグ……」
「……ううん……。うちも、ごめん……」
「……ぽに?」

 みんなを見るオーガポン。


「ヨーコ。──オーガポン、捕まえてあげなきゃ、ね」
「──うん!」

 うなずき、オーガポンを見ると、気合いを入れた表情をしていた。

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