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笑う月

今夜の月は、まさに安部公房の世界、笑う月そのものではないか。

或いは、中村文則の虚無と自嘲、醜悪の世界感の投影か。

太宰より強く 川端より優しく 若き才溢れる作家よ、
追い詰められ、底に沈むなかれ、と切望する。

逃げろ、逃げろ
全ての、自身を損なうモノを跳ね付け、完全なる諦観と自己肯定持ち
生きながらえてくれ、と

巨大な禍々しい満月みて、祈る。

夢が、精神の、現実の、避けられぬ恐怖と不安の露呈ならば
いや、どうだってよいのだ。

悪夢は悪夢。それを取り込むから、疲れ絶望するのだ。

ただ無為に生きる、望ましい日常とかけ離れた今を憂えず、

そも自分が招き選択した結果なのだと、
建設的でも神秘的でも理想の桃源郷とかけ離れていようと、だ。

怖いものを襖から覗いたときの根源的恐怖は
実は、その怯えに快感を求めたからにほかならぬ。

覗かず、知らず、無邪気に無垢に、生きたくはなかったのだ。

誰のことをわたしは書いている?


最近数冊読みハマッタ作家N氏を案じたのではなかったか?

どうやら、全ての始点、視点は、わたしの裡に想像の産物として、
如何なる理性の思惑や矢印と無縁に
広がり創造されるようだ。

満月よ、笑えばよい。
お前など怖れるものか。


えぇい、池に映ったその月を、ぐにゃりと・・足で誰かが踏み潰した・・などと
読んだ記憶があるのだが。

わたしなら、首尾よくお猪口に映ろうものなら、月ごと飲み干してやるわ。

そんな・・御伽話も・・あったような。ああ、記憶は緩く薄れいく。

忘れることも恩恵なのだ、と開き直り、今夜も脳より先に手が動く始末!

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