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私のトリセツ〜実話に基づく自分との対話〜20

約90%。


この数値は
当時の国家試験の合格率である。


数字だけを見ると、
難易度は
それほど高くないように思える。


だからといって
簡単に合格できるというわけではない。


さらに言えば、
資格取得=天職とは限らない…。



最終学年ともなると、

実習や試験対策の他に
就職活動も始まる。



あの頃の私は
「中身」よりも「見た目」を重視しており、

現実よりも
理想や憧れに目が奪われていた。



見栄を張り
背伸びをすることで、

自分を
大きく見せようとしていた。



自分に「泊をつける」ことで、
私という人間を
表現しようとしていたのである。



私は大きな病院で
バリバリと働くことに対して、
憧れをもっていた。



けれども、
その夢はほどなくして
打ち砕かれることになる…。



いくつかの
採用試験を受けた後、

かろうじて
ひとつの病院から内定を頂いた。



国家試験にも無事に合格し、
学校も晴れて卒業。


病院が借り上げたマンションの一室へ、
私は引越した。


アクセスにも便利だった
その物件は、

築年数も浅く
内装も綺麗であり、

私は満足していた。



彼との関係も良好であり、

この先の未来は
明るく輝いて見えたのである。

期待しかなかった。



しかし
出勤初日の日。



職場に入り、
オリエンテーションを受けていた最中。



私は突如めまいに襲われ、
立っていられなくなったのである。



私は先輩の看護師に
介抱されながら、
休憩室へと案内された。



『初日早々、
 体調を崩すなんて…。』



体の中で
何が起きたのかというよりも、

自分のことが
恥ずかしく思えた。



配属先は、
毎年多くの新人を採用していた。



なぜなら
辞めていく人間が多いからである。



私は後日
その事実を知った。



だからといって
無理やり配属をされたわけではない。



内定後に、
希望を尋ねるための
アンケートが行われていた。



私はその時
自分の意志で書いたのである。

第一希望 救命救急。






 

つづく

写真引用
https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/iam_s/iam_s_sunset.html

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