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長男の話〜善悪の区別〜

キチンと叱られて育った子は、ちゃんと善悪の判断がつき、危険を回避出来る子に育ちます。親が思う以上に、子ども身近には、危険が一杯で、些細な一瞬で加害者にも被害者にもなる可能性があります。そんな世界で、親の目の届かないところで、いかに危機を回避していけるか、そのエピソードを書きます。

長男が小5の時、転居に伴い長く続けていたサッカーのクラブチームも移籍しました。関西某県の少し郊外のチームから都会のチームへの移籍へのですが、どちらも全国大会を狙う強豪同士の見知ったチームだったので、心配もありませんでした。
夏を過ぎる頃から、あんなに好きだったサッカーに行くのが楽しくなさそうに見えていましたが、本人が何も言わないので、無理に聞き出すことはしませんでした。
それまで送迎バスで家の近くから通っていたのに、鍛えたいからと自転車で通う様になった事くらいが変化でした。そして12月、突然サッカーを辞めたいと言い出したのです。そして一連の経緯を話してくれました。

送迎バスの集合地点のコンビニで、みんなが万引きをするのだと。特にレギュラーメンバーが中心になっていて、年下の子にも自分にもやらせようとする。でも自分は絶対に泥棒にはなりたくない。だから、絶対やらないと。始めは逃げてたけど、段々と一人だけ万引きをやらない自分を攻撃してくるようになった。練習や試合中でも邪魔してくる。こんな泥棒するやつらと全国大会なんて行きたくない。だからサッカーは好きだけど辞めたい、こんな奴らと仲間でいたくないから、と。

まずは勇気を出して話してくれた事を思い切り褒めて、抱きしめて、それから今後どうしたいか聞きました。
その子たちを告発したり、全国大会参加を中止させる事もできる、親として全力であなたを守るし、やりたいようにして良い、と。すると長男は、その子たちはそれで仲良くやっているし、別に大騒ぎしてチームを潰したいわけじゃないから、ただ自分が辞めたらそれで良いと。

結果として、チームをただ辞める事にしました。今から全国大会というタイミングで不思議に思ったコーチもいて、何かありましたか?と聞かれましたが、長男は何も言いませんでした。
辞めた次の日から、学校の友達が毎日家に遊びに来るようになりました。毎日日替わりで、何人も何人も、中には長男が家に着くより早く、自転車で先に来る子までいました。みんなサッカー部ではない、同じクラスでない子もいる、晩御飯になるまで、部屋から笑い声が途切れる事がないくらい、長男もとても楽しそうで、転校してきてこんなに大勢の友達を作っていたのだと、改めて感心しました。
後日談ですが、サッカーメンバーの中には、同じ学校の子が何人かいて、実はイジワルをされていたそうです。長男は小柄で細いので、イジメのターゲットになっていても不思議はないタイプです。それが、小学校から中学卒業まで、アメフトのクラブチームのキャプテンで身長170cmを超えている頼もしい子が、毎日誘いに来て、一緒に登下校していました。そのお蔭で、いじめっ子達も手が出せなかった様です。まるでボディーガードの様な子が何人もいたようです。
一日も学校を休む事なく、楽しそうに毎日過ごしていた長男も、実はギリギリの処世術で切り抜けられたのだと思います。それは、彼の優先順位がまずどんな仲間と過ごすか、を大切にする子だったからだと思います。

万引きをする子からは、例えイジメられても絶対に離れる、その強い意志のお蔭で、とても素晴らしい友達大勢に恵まれました。今でも長男の大切な仲間です。

善と悪はすぐ隣にいます。何が正しくて、何を守るルールなのか、それが身体に染みついているから、親の目の届かないどんな場面でも、正しい判断ができる子になるわけです。

子育ては積み重ね。
①危険な事
②人に迷惑をかける事
③人として恥ずべき事
この3つだけを避ける子どもに成長してくれたら、
どれだけ安心安全に過ごせる事でしょう。

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