【詩】人生礼賛
乳白色の薄膜に
光を当て、
砂時計の中のつむじ風と
波頭の爪弾きのリズムで集う時
幾千日の眼底の鼓動音さえ
これを懲らしめるための頬のふくらみ
血のような
潮のような
生臭さの育たない地平の午後
落涙のため費やした時間を
何度も生え替わる剛毛や
卵の殻の無数の見えない気孔の
その数だけを数える日々
瞼の裏で濡れるのは
植物園の夕暮れ
いや 黎明であろうか
しっかりとしたジャンプのための
出来損ないの時間のようで
さみしい父よ
いつしか貴方の知らない間に
類例のない魚卵の青空の下
腐乱死体は祝日の挽歌を口ずさむ
そして餌を啄む鶏は
赤いトサカを小刻みに震わし
見開いた眼光の
逃走のための指南書を
指紋のない指でめくる
少女は休学の日々
真新しいシャツを着て
その時を夢想する革命家のために
朝日のとらえた金色のうぶ毛を剃るだろう
存在とは かなしい現実であると
いましがたのサイレンの後で
心折れる途方もない暮らし
何も言わない
何も思わない
発情した黒猫の時計で
唾液を嗅ぐと
細切れの睫毛や
しっかりした虚栄心でさえ
高原では疾風が落下する
、その投影され反転したメタデータに拍手喝采を
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