【詩】気配(けはい)
しわだらけの欲が歩いている
凍える寒さに吐き出された息の中を
噂話で満ちた外耳道の淵を
ときどき よろけたりもして
グレーの濃い部分があり
光のかげんによっては白く見えるところもある
時に見失うこともあるのだが
小さな眼を光らせて
十年前の古びたドライフラワーのようで
いじましくも見え
それは妄想と似ているため
10の下に赤い9が来て
そこで初めて10が黒と知る
空に浮かぶ下弦の月のもと
攻撃的にならざるを得ない
「人たち」の匂い
欲望は折り紙のように薄く
軽いからこそ知って