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ふるさとの有明海

あさり貝が消えた

2024.4.7
この季節になるとスーパーで あさり貝が並びます。ふるさとの熊本産をいつも楽しみにしているのに、中国産という一連の事件で熊本産が消えました。これも あさり貝が獲れなくなったことに起因はあるのですが、確かに偽装は許しがたいことでした。

私が物心ついた頃には もう毎日のように有明海の恵みをいただいていました。
有明海は広いのですが、私のふるさとは熊本県でも一番北の荒尾市。福岡県との県境で隣は工業もさかんだった大牟田市。両市は三井三池炭鉱で繁栄しました。

荒尾干潟
対岸には雲仙岳が見える
荒尾公式ページより

海のものに恵まれて育った

我が実家から有明の海(荒尾干潟)までは歩いて10分程。田圃の中を通って鹿児島本線を渡ればすぐです。今思い出しても 確か、祖父は暖かい季節には毎日のように海になにかしら獲りに行っていたと思います。祖父は昭和45年に亡くなってますので、まだ私は小学生1年生だったのですね。夕飯は祖父の獲ってきた、蛸.あさり貝.まて貝.タイラギ.まじゃく.小さな蟹.イソギンチャクなどなど がよく並びました。中でも蛸は美味しかったな。
幼いながら 頭が好きで、小さな口でかぶりついて食べたことを思い出します。
苦手だったのは、イソギンチャク。
後になって自分でも獲ることを憶えてからは楽しかったのですが、味噌汁に入っていたり煮付けにしてありましたが、美味しいのかどうかわかりませんでした。

タイラギ(平貝)
荒尾公式ページより
マジャク
荒尾漁業共同組合
ホームページより
マテ貝
魚食普及推進センター
ホームページより
イシワケイソギンチャク
市場魚貝類図鑑より

兼業農家だった我が家は父は会社勤めで、祖父母は田圃でお米を作っていました。海のそばだったのでほとんどの世帯は漁業組合に入り、入漁権をもつ家のものは海に入っていろいろと獲ることができました。というか、幼い頃はそんなこと知らなくて、海の恵みを当たり前のように食してたものです。
祖父は 焼酎を飲みながら自分で獲たものを美味しいそうに食べていたのを憶えています。
50年以上前の話になってしまいました(^_^;)

我が家の周りでは、ほとんど兼業農家か兼業漁業の家が多く、海苔やあさり貝で生計を立てている世帯があったものです。
「○○ちゃんのお父さんとお母さん、貝堀りに行かしたよ」「○○ちゃん所は 海苔の乾燥機の回りよったよ」などと幼馴染みの家々のお父さんお母さんの働きぶりが よくわかったものです。
昔は、貝も海苔も本当によく獲れました。
海苔を細かくして簾に張り付けていくカッタンカッタンという機械の音があちこちの家から聞こえてきて、今思えば活気がありました。

私達 子供も小学生くらいまでは、大きなバケツほどの入れ物にザクザクと あさり貝をいっぱい獲ったものです。ガンヅメという道具で干潟を掘ると貝が一面に現れて大喜び。
あさり貝を2~30粒獲って喜ぶ潮干狩りとは
比べ物にはならないです。貝掘りと言っていたくらいですからね。

あれ、スーパーの あさり貝の話から
ふるさとの思い出になってしまいました(^-^;

ガンヅメ(雁爪)
実家に残っていた農具
ガンヅメらしきものも

ラムサール条約湿地?

私は高校を卒業してからは荒尾市を離れましたので帰省のたびに海を眺めには行きましたが、漁業としての有明海のことは、海苔やあさり貝がもうめっきり獲れなくなったのを肌で感じていたぐらいでした。致し方ないことではあります。
それと、昔はなかった牡蠣の養殖が意外と盛んであることも新しく知りました。

いつだったか もうずいぶん前ですが、 荒尾干潟はラムサール条約湿地に登録されたと聞きました。何それ?
水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の仲間入りをしたということだそうです。漁貝から水鳥や自然に視点が移ったんだなと思いました。
さまざまな鳥は昔からいたはずですが、こういう言われ方をすると、干潟というのはそうか湿地かと ちょっと面白いと感じました。

荒尾公式チャンネルより

満潮と干潮のある有明海。さまざまな生物の宝庫ですが、よそ者になった私にはラムサール条約という言葉は、今だになんだかなじまないのです(*_*)

昨年帰省した時に、満潮の堤防から釣竿を
たくさん垂らして、おじ様達が何か掛かるのを待っていました。何が釣れるか聞いてみました。「ガンバたい。ガンバよ」と。
地元民しかわかりませんよね。
小さなふぐの仲間で、身がふっくらして美味なのです。
あ~これこれ!懐かしい言葉を聞いて、その時はすごーくホッとしたのでした。

※トップ画像は「豆千」さんから
拝借しました。ありがとうございます。

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#ラムサール条約 #荒尾市
#創作大賞2024   #エッセイ部門



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