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試験の秘密教えます


はじめに

 皆さん、こんにちわ。合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。

今回は、試験の秘密をお話します。

 といっても、極秘事項の類ではありません。試験で高得点をあげている受験生にとっては、秘密どころか、自明の理といえるものでしょう。しかし、勉強しても試験でよい得点が残せないと悩んでいる方、そもそも、どうすれば、試験問題が解けるのか、わからない受験生の方には、まさに『試験の秘密』と言えるかもしれません。この『試験の秘密』を知ることで、成績を伸ばすきっかけになれば、幸いです。

『試験の秘密』とは何か

 『試験の秘密』とは、ズバリ、『試験には答えがある』ということです。

全く持って、当たり前のことですね。ですが、これは、非常に重要なことなのです。実際、私は、この『試験の秘密』に気づいてから、各種の資格試験に、楽に合格できるようになりました。楽にとは、勉強せずにという意味ではありません。無駄な勉強をせずにという意味です。

『試験の秘密』が意味するもの

  『試験の秘密』、つまり『試験には答えがある』とは、一体何を意味するのでしょうか?それは、『必ず答えにたどり着ける様に作成されている』ということです。逆に言うと、正しい解き方をすれば、確実に正解できるわけです。出題者は、満点が取れる試験しか、作れないということです。

 これは、なかなか、出題者にとって、厳しい条件だと言えますね。入試問題では、満点がとれる問題を出題しながら、受験生の得点を、バラつかせる必要があるのです。出題者は、この難題を、一体どのように解決しているのでしょうか?答えは、難問化です。その具体的な手法を見ていきましょう。

暗記系の難問化

 試験問題には、暗記系、手順系、発想系の3種類があります。暗記系は、覚えれば、得点がとれる問題です。 『遣唐使が廃止されたのは何年ですか?』といった設問です。手順系とは、解答手順に従って、解いていけば、正解にたどり着く設問です。現代文の設問などが、これにあたります。そして、発想系とは、自由英作文などが該当します。

  そして、共通テストのようなマークシート方式の試験では、暗記系と手順系しか出題されません。まず、暗記系問題で、受験生の得点をバラつかせる方法は何でしょうか?これは簡単ですね。レアな知識を問えば良いのです。例えば、日本史なら、多くの受験生が知らない藤原京に関する問題を出せば、正解率が下がるはずですね。暗記系は、知っていれば解ける問題ですから、みんなが知らないレアな知識を問えば、それだけで、難問化します。


手順系の難問化(応用問題)

 では、手順系において、難問化させるには、どうすればいいでしょうか?手順系には、複数の難問化手段があります。ひとつは、応用問題を出題するという手段です。例えば、数学で、『男子4 人と女子3 人が1列に並ぶとき、女子が隣り合わない場合の数はいくらでしょう。』みたいな問題ですね。通常、隣り合わないケースは、隣り合うケースを求めて、全体から引けばよいというのが、解答テクニックですね。ですが、この問題では、女子が3人いるため、この解き方では、難航します。男子を先に並べて、その間に、女子を入れていくという考え方のほうが、スッキリ解けるのです。

(4!× 5P3 = 1440通り)


手順系の難問化(サイン化)

  国語の長文問題や、英語の長文問題の常套手段が、サイン化です。サインとは、野球で、キャッチャーがピッチャーに、指で指示を出している、あれと同じです。そして、サインの意味を知っている受験生だけが、正解にたどり着くわけです。何か、ずるいですね。例えば、皆さんが良く知っている『傍線部』というものも、実は、サインです。

 具体的に見てみましょう。共通テスト 令和5年 本試験の国語、第1問 問題2です。設問は、『傍線部A 子規が四季を楽しむことができたのはなぜか?最も適切なものを選べ。』です。ここで、解き方を知らない受験生は、いきなり、なぜだろうと思考を巡らせます。ですが、解き方を知っている受験生は、何も考えることなく、長文中の傍線部Aを探します。そして、傍線部A自体には、目もくれず、その直前の文を読みます。すると、『障子の紙をガラスに替えることで』という前置きが書かれています。ここから、『障子、ガラス』に関する記述がないか、さらに前の文を探します。ありましたね。『ガラス障子の向こうに見える景色が慰めで、自身の存在を確認できた。』と書かれています。これが、解答のヒントです。このように、設問に書かれた傍線部Aというサインから、正しく長文をたどることで、解答のヒントにたどり着くのです。つまり、傍線部とは、ここから探索を開始せよのサインです。

手順系の難問化(誤答の工夫)

 解答のヒントを手にした受験生にも、さらに、罠が待っています。それが、誤答の工夫です。出題者は、正解の選択肢を作成した後、受験生を迷わす誤答を工夫を凝らして準備します。ひと目で、誤りと判断できる選択肢では、存在価値がありません。理解が浅い受験生を、確実に間違えさせるレベルで作りこむ必要があります。では、出題者の工夫の結晶である選択肢群を確認しましょう。実際の選択肢を要約して、ザックリと示しています。

①病気で絶望的な気分の子規にとって、現状を忘れる有意義な時間となった。

②希望を失いかけていた子規にとって、外界の出来事が自己の救済となった。

③寝返りも打てない子規にとって、多様な景色が生を実感する契機となった。

④体を動かせない子規にとって、ガラス障子が外への想像をかきたてた。

⑤寝たきりで思索した子規にとって、内外の視角的につながり、作風の変化となった。

 どれも、ぱっと見では、区別がつかないほど、カムフラージュされていますね。これが、出題者の工夫です。ですが、私たちには、先ほど手にした正解のヒントがあります。落ち着いて、ヒントと選択肢群とを見比べましょう。ヒントは、『ガラス障子の向こうに見える景色が慰めで、自身の存在を確認できた。』でしたね。この後半部分の『自身の存在を確認できた』に近い選択肢は、②『自己の救済』か③『生を実感』の2つに絞れますね。このように、まずは消去法で、選択肢を絞るのが鉄則です。さらに前半をチェックすると、②『希望を失いかけた』は、本文にない記述です。③『寝返りも打てない』のほうは、本文にしっかり書かれています。つまり、正解は③です。このように、ヒントをもとに、消去法で削り、残りを精査する、これが国語の解き方です。

 このように、手順系の問題では、出題者は、勉強不足の受験生が間違えるように、いくつもの罠を仕掛けています。その一方で、しっかり勉強して、解き方に精通した受験生なら、確実に正解にたどり着けるように、設計しているのです。

国語の決まり文句はサイン?

 まずは、超頻出のサイン、『傍線部』をご紹介しました。このサインの意味は、『傍線部から辿れば、ヒントがあるよ』でしたね。

 そして、サインはまだまだあります。国語の一文です。決まり文句です。

『次の文章を読んで、以下の問いに答えよ』です。

  この文の指示通り、続く長文を読んで、問いに答えていく受験生がほとんどだと思います。ですが、佐々英流はこれもサインだと考えています。その意味は、『答えのヒントは長文の中に隠したよ』です。

 実際、国語の長文、英語の長文など、答えの根拠となるヒントが長文の中に隠されています。設問から、そのヒントを探し出した受験生だけが、論理的に正解を見つけ出すわけです。この決まり文句は、このからくりを受験生にお伝えしているのです。長文問題は、宝さがしゲームと考えましょう。長文に隠されたヒントを、『傍線部』といったサインを頼りに、見つけ出すのです。

設問の決まり文句

 そして、設問での問いかけの決まり文句にも、注意が必要です。先ほどの問題は、『最も適当なものを選べ』と問われていました。この問いかけの意味は、『ヒントと見比べて、もっとも近いやつが正解』です。もう少し言うと、『正解の選択肢も、絶対的に正しいわけじゃないよ』と伝えています。先ほどの問題を例にすると、『自身の存在を確認できた』≒『生を実感』という関係性ということです。先ほど見た通り、受験生は、ヒントと選択肢群を見比べ、まずは消去法で絞り、最終的に残った選択肢を精査することで、正解を自動的に手にするのです。  

 これと似ている設問のサインがあります。『正しいものを選べ』です。このサインの意味は、『絶対的に正しい選択肢がありますよ』です。世界史などでよく出現しますね。つまり、歴史的事実を問う問題など、絶対の正解があるということです。もちろん、世界史でも、『最も適当なものを選べ』が登場することもあります。もうお分かりですね、この問題では、絶対的な正解ではないよと、受験生にお伝えしているわけです。皆さん、是非、一度、設問の末尾をよくチェックしてみてください。出題者は、『最も適当なものを選べ』と、『正しいものを選べ』を、厳密に使い分けています。しっかり、サインを受け取ってあげましょう。

手順系の試験勉強とは

 この様な、出題者からのサインを見分けられるようになると、手順系の問題で、面白いように、クリーンヒットが打てるようになります。試験の点数が伸びるのです。後は、暗記系に集中するだけです。こんな具合で、試験で高得点をとる受験生は、試験中に設問を通して、

出題者と対話しているのです。こう考えると、出題者のサインを知ることこそが、手順系の試験勉強だといっても、過言ではありません。


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