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熊になったカリスト~ギリシャ神話美少女シリーズ~

 今回の美少女はカリスト。熊の姿に変えられ、おおぐま座として夜空を飾ることになったニンフで、子ども向けの星座神話本などでも定番のエピソードとして取り上げられていますから、ご存じの人も多いでしょう。これまで挙げたなかでも神話としての知名度は一番かもしれません。
 ただ本来のエピソードは凄まじいもので、そのまま児童書にはとても載せられないようなものです。児童書ではたいていかなり棘を抜かれた内容に変えられています(それでも救いの無い結末はどうしようもありませんが……)。

「カリスト」という名は、ギリシャ語で「最も美しい」という意味。彼女はその名が体を表すように、とても美しい乙女でした。しかし処女神アルテミスに仕えるニンフとして、自身も純潔の誓いを立て、女神のお供で狩りに勤しむ日々を送っていました。色恋やおしゃれなど、まるで眼中に無いような子です。
 そんな彼女は、アルテミスにとってもお供のニンフたちの中で特にお気に入りの娘でした。
 けれども、その美しさにゼウスが一目惚れしてしまいます。それが、彼女の不幸のはじまりでした。
 彼女のエピソードは長く複雑で、「語りたいネタ」としてもいろいろあるので、その後の話は後の記事で改めて語ることにします。
 ただ『変身物語』のエピソードとしての核心を言うと、彼女は重なる苦難に見舞われたあげくに、美少女から熊の姿に変えられてしまいます。

 イラストは、やがて変ずることになる熊をともに描くことで、彼女をいずれ襲う運命を暗示するようにしたものです。美少女と熊、例によって「変身前後」のイメージです。

 もう一枚。全くの偶然ながら、親子に見える二匹の熊が背後に描かれる絵が生成されました。

 Pix AI は「単複」の区別をちゃんとわかってくれないらしく、”a…” と単数形でプロンプトを入れても複数のものが生成されることはよく経験していますが、その例です。
 けれどもこれは偶然にしては出来過ぎというものであって、彼女がいずれ望まずして母になり、わが子ともども熊となって、星座として天を飾る(本来の神話では息子のアルカスはうしかい座のアークトゥルスになったのですが、一般的にはこぐま座になったというイメージが定着しています)運命を見事なまでに暗示しています。
 カリストの悲しげな表情からして、ゼウスとの一件があって後のこと。まだ目立ちはしないものの、この華奢な身体には新しい生命がすでに宿っているのでしょう。

 その辺の話は、いずれ後の記事で。


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