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カサンドラ 悲劇の女予言者~ギリシャ神話美少女シリーズ~

 今回の美少女はカサンドラ。トロイアの王女です。
 絵は「予言者」ということで水晶玉をアイテムとして持たせました。実際に彼女が予知に水晶玉を使ったわけではないでしょうが、あくまでイメージです。

 清楚な美少女でしたが、その美しさがアポロン神の目に留まったことが悲運の始まりでした。
 彼女に夢中になったアポロンは、愛の贈り物として、自身の予知能力を分け与えます。アポロンは人間たちに神託を下す、予言の神でもあるからです。デルフォイのアポロン神殿などは有名ですね。
 ですがカサンドラは授けられた予知能力によって、いずれ別の女性に目移りしたアポロンに棄てられる未来まで知ってしまいます。
 アポロンがこれを否定すれば、授けた予知能力が嘘だったということになってしまうのだからどうしようもありません。
 そして予言の神であるアポロンが、こんな贈り物をした結果どうなるかを見通せなかったというのも皮肉です。自分の恋の行方については全く予知できないようです。
 こうして振られてしまったアポロンは(自分のやり方も棚に上げて?)怒り心頭、しかし人間に一度与えた贈り物を取り消すことは神として許されません。その代わりに、彼女の予言は「正しいが誰にも信じてもらえなくなる」という呪いをかけたのです。

 カサンドラは祖国トロイアの国難をことごとく予知しました。それを未然に防ごうと人びとに訴えますが、「私の予言は当たります」「本当です!信じてください!」と言っても、誰からも信じてもらえません。かの「トロイの木馬」も敵軍の策略で絶対に城内に引き入れてはならないと警告したのに無視され、祖国の壊滅を涙を呑んで見とどけるしかありませんでした。
 亡国の後、敵将アガメムノンの愛人にされますが、「自分を連れ帰れば恥ずべき死を遂げることになる」と警告したもののやはり無視され、それが自分の最期ともなることも見通せていながらもどうすることもできませんでした。
 美しさゆえに悲運に巻き込まれる女性というのはギリシャ神話では非常に多いのですが、そのなかでも有数の悲劇のヒロインです。


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