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パンドラの箱

パンドラの箱から黒い塊が
天空目掛けて飛び出ていった。

行き先が決まっていたかの如く
黒い塊は空で分裂し
四方八方に離散していった。

パンドラは慌てて箱を閉じた。

ゼウスは言った。
 
「こんなはずではなかった」と。

災いは、人類に教訓をもたらしてきた。

建築技術。
防波堤。
避雷針。
哲学。

災いは人類と共存し
人類の進化に寄与してきたのだ。

罰であり、愛。

これが、ゼウスの意図だった。

彼の愛は引き裂かれる。

災いは人類と袂を分かつようになったのだ。

現在、人類に教訓を与えてきた災いは
人類に破滅を与えんとしている。

災いは、潜んでいる。

時に地面に溶け込み
時に山の中心に居座り
時に海の中に潜る。
そして、人類に巣食うようになった。

一度、人間界に降りた災いを
天界から制御することは出来ない。

いつから歯車は壊れていたのだろう。

私は舞い降りた。

再び、人類と災いが手を取り合う為に。

必要であれば、鉄槌は厭わない。

正直に言う。

私がプロメーテウスに火を盗まれなければ
こんなことにならなかった。

私は罪を滅ぼしにきたのだ。

我が名は太陽神 アポロン。

全知全能の神 ゼウスの息子である。



↓ご紹介。


とらねこさんの文豪のいざないに参加致しました。

今回の書き出しは、『パンドラの箱』でした。

新しい事をしたいなと思ったので
今回は創作をしてみました。

ゼウスは言いました。

人類に火を持たせると、
取り返しがつかない。と。

ただ、人類を憐れみ、プロメテウスは
天界の火を盗み与えてしまいました。

ゼウスはプロメテウスを山に捕らえ縛り
人類には罰として人類最初の女性として
パンドラと災いの詰まった箱と共に送りました。

パンドラによって、箱は開けられ、
災いは広がっていきました。

パンドラは急いで閉じました。

災いは広がったものの
箱の底には、希望が残っていたようです。

何故、希望を箱の底に入れていたのか。

ゼウスの思惑があるのでは?と思いました。

また、それを誰かは知っていたのか。

愛の鞭という言葉。

時に愛の鞭は、ただの鞭と捉えられ
解釈の違いが生まれます。

そういった解釈の違いが折り重なって
世界が混沌に飲まれてしまったとしたら。

僕の好きな映画やアニメや漫画の特徴は

「味方が味方ではなく、
 敵は敵じゃない。」です。

自身の正義を貫いて走るがあまり
混沌を生んでしまう。

結構、僕は敵と見做された側の
辛い環境や事情に
共感してしまうことが多いです。

        神

人類       災い 

vsでもなく、vsでもあり。

拙い創作で恐縮ですが
この三角関係を示唆した文章に
なっていたらいいなと思います。


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