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私が「差別の無い社会は実現しない」と考える理由

差別を完全に根絶することは、現実的に非常に困難な課題であると私は考えています。ここで断っておきますが、私は「差別の無い社会を目指すことを否定している」わけではありません。差別は無いに越したことはありません。

今回の記事では、なぜ私が差別の無い社会が実現しないと考えるのかを語っていきたいと思います。

はじめに

私たちは、さまざまな歴史的、文化的、経済的な背景を持っており、それぞれが複雑に絡み合いながら差別の根底に影響を与えています。

今日、多くの国で差別を禁じる法律が制定され、教育を通じて多様性の尊重が推進されていますが、それでもなお、差別は根強く残っています。
時代の移り変わりとともに無くなった差別もあれば、新たに生まれた差別もあるのではないでしょうか。

皆さんは、差別と聞いてイメージするものはどのようなものがあるでしょうか?人種差別や性差別、年齢差別でしょうか?

以下に少し思いつくだけの差別を挙げてみます。

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textbf{名称} & \textbf{どんなものか} \\ \hline
人種差別 & 人種や民族の出身に基づく差別。 \\ \hline
性別差別 & 性別に基づく差別。\\ \hline
性的指向に基づく差別 & 異性愛者でない人々に対する差別。\\ \hline
宗教差別 & 宗教的信念や実践に基づく差別。\\ \hline
年齢差別 & 年齢に基づく差別。\\ \hline
障害者差別 & 身体的、精神的な障害を理由とした差別。\\ \hline
学歴差別 & 学歴を理由とした差別。\\ \hline
社会的地位差別 &社会的地位やクラスに基づく差別。\\ \hline
経済的差別 & 経済的状況に基づく差別。\\ \hline
地域差別 & 特定の地域出身者に対する差別。\\ \hline
言語差別 & 使用する言語に基づく差別。\\ \hline
外見差別 & 外見的特徴に基づく差別。\\ \hline
文化差別 & 特定の文化や慣習に基づく差別。\\ \hline
結婚歴に基づく差別 & 既婚、未婚、離婚歴に基づく差別。\\ \hline
世帯タイプに基づく差別 & 単身者、子持ち家庭、子なし家庭などに基づく差別。\\ \hline
疾患に基づく差別 & 特定の疾患(精神疾患や慢性病など)を理由とする差別。\\ \hline
刑事記録に基づく差別 & 犯罪歴を持つ個人に対する差別。\\ \hline
職業差別 & 特定の職業に就いている人に対する差別。\\ \hline
移民・難民に対する差別 & 移民や難民としての地位に基づく差別。\\ \hline
食生活に基づく差別 & ベジタリアンやヴィーガンなど特定の食生活を持つ人々に対する差別。\\ \hline
\end{array}
$$

少し被っていたり、まだほかにもあると思いますが、20個ほど挙げてみました。どれも根が深く、これらは歴史的な時間によってがっちりと固められているような感覚を受けます。
また、子供のころから当たり前としてあれば、自分がやっていることが差別であると考えていないことも多いです。

差別の定義

差別は、個人や集団が持つ特定の属性(例えば人種、性別、年齢、障害、性的指向、宗教、国籍など)に基づいて、不公平または不利な扱いをする行為です。これには、その人々を劣ったものとして扱うことや、平等な機会や権利を提供しないことが含まれます。

差別は、意識的または無意識的に行われることがあり、個人的な行動だけでなく、法律、制度、社会的な慣習を通じても行われることがあります。それによって、特定のグループが社会的、経済的、政治的に不利な立場に置かれることが多く、人権の侵害とされます。

社会構造の根深さ

差別は、社会の基盤となる構造に深く根ざしています。

たとえば、経済的な不平等、教育へのアクセスの格差、文化的なステレオタイプなどが、差別的な態度や行動を助長します。
これらの問題に対処するには、単に意識を高めるだけではなく、社会全体の構造改革が必要となります。

しかし、構造の変革は簡単に行えるものではなく、かなりの時間がかかります。

ネタになるという側面

語弊を恐れずに言えば、差別はいい意味でも悪い意味でも”ネタ”として機能する側面があると思います。

ブラックジョークや映画・ドラマ、小説などの物語のエッセンスとして使われることは珍しくありません。
これらを肯定するわけではありませんが、このような側面からみれば、ある意味で私たちは差別の存在を容認していると考えることもできるのではないでしょうか?

また、人々は自分とは関係がなかったり、どこか別の場所で起こる理不尽に対してはあまり大きな関心を寄せないということもあります。

教育の限界

教育は差別を減少させる有効な手段ですが、すべての個人に同じ影響を与えるわけではないということがあります。

家庭環境や地域社会の影響が強い場合、学校で学ぶ価値観が実生活で実践されないことも多いです。

さらに、教育システム自体が持つ先入観や偏見によって、逆効果となる場合もあります。

法律の実施に関する問題

多くの国で差別を禁止する法律があるが、それが実際に適切に実施され、遵守されるかは別の問題です。

法律の執行が不十分であったり、法律があっても社会の偏見がそれを上回ることも十分にあります。

個人の意識と行動

社会の変化と同様に重要なのが、個々の人々の意識の変化です。

しかし、人々の態度や行動を変えることは非常に難しいといえます。
長年にわたって形成された偏見やステレオタイプは、簡単には変わらないからです。

経済的な要因

経済的な不安が高まると、しばしば外部のグループに対する敵意が増すことがあります。
経済的な不平等が深刻化すると、それに伴って差別も増加する傾向にあります。

Why Are Some People More Hostile to Immigrants? - Muyi Yang(2018)
なぜ移民を敵視する人がいるのか?


おわりに

以上が、差別の無い社会は実現しないと私が考える理由です。

このような社会において大切なことは他者への思いやりを持つことです。
他人の文化や立場を理解し、頭ごなしに否定しないということは大切だと思います。

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