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【創作大賞】頑強戦隊 メガネレンジャー(第7話)

7 激闘! ヒマワリ怪人


 街行く人を襲う黒いスーツの男。逃げまどい蹂躙され悲鳴を上げる人々。奇怪な声を上げる戦闘員たち。人々の顔には恐怖と絶望が張りついていた。黒いスーツの男が声を上げた
「ヒマワリ変身」
男にスモークがかかり、その後ヒマワリのような顔をした怪人に姿を変えた。頭が黄色で首から体が緑色なのが、黄色い帽子に緑のスモッグを着た幼稚園児みたいでちょっと可愛らしい。

 そこに駆けつけた5人の若者が真剣な表情で間髪を入れず反応する。5人が同じ動きでメガネを装着し、声を揃える。
「変身」
光に包まれた後、姿を変えると名乗りをあげてポーズをきめる。
「メガネレッド」
「メガネピンク」
「メガネブラック」
「メガネイエロー」
「キューティデビルヒップ」
『五人揃って、メガネレンジャーα』
ちゅどーん(背後で大きな爆発)

レッドのアップ。
「視界の平和を守るアイの戦士。我らはいつも人に寄り」
【ダダダダダダダダダダダ ダダダダダダン】
レッドの名乗りが途中だというのに機銃音が重なりセリフが打ち消された。
顔や胸を抑えながら倒れこみ、のたうち回るメガネレンジャー。ヒマワリ怪人が不敵に笑う。
「シードマシンガンの威力、全身で味わうがいい。それもう一丁」
【ダダダダダダダダダダダ ダダダダダダン】
大きな丸い顔面から発射された種のような無数の弾丸が5人を襲う。メガネが吹き飛び、変身が解除される。

 レッドだった若者がヨロヨロと立ち上がり、
「メガネ、メガネ」
往年のやすし師匠のようにメガネを探す。倒れたままで顔だけを上げたピンクの声が響く
「レッド、メガネを探すよりも予備のメガネを」
自分の世界に入りこんでいるレッドに代わりブラックが反応する。
「予備のメガネを使ってもまたシードマシンガンの的になるだけだ。このままじゃジリ貧だ」
解説のようなセリフを吐く。その時、空気を読まないイエローがメガネを再装着した。
「俺が奴の弱点を突く。ブラックさん、その隙に倒してくれ」
「ヒィッヒッヒッ、俺に弱点などあるものか」
ヒマワリ怪人の話を無視したままイエローが空高くジャンプし、空中で体を丸めクルクルと前方回転を始めた。空気を読まないイエローは物理法則を無視して空中から落ちてこない。回転が高速化しイエローの体が黄色い球体のように変化した。
「サンイエロー フラッシュ!」
太陽のような輝きが中空の黄色い球体から放たれた。

ザンッ
その刹那、地上では鈍い斬撃音が流れた。
ドサッ
ヒマワリ怪人の上半身だけが地上に落ちる。怪人を切り捨てたブラックが呟いた。
「ヒマワリの弱点、それは本能的に太陽の方向を向いてしまうことさ」
魂切れの声でヒマワリ怪人が問い質す。
「ば、馬鹿な。あの眩しさの中で、普通に動くことは、で、できないはず」
ブラックのアップ。
「俺は、サングラスでも変身できるのさ」
ブラックは不敵な笑みを浮かべた。

 その後方でレッドはメガネを探していた。
 その上空でイエローはまだ回転し目を回していた。
 その下方でピンクとキューティはとりあえず、二人でポーズを極めてみた。
ちゅどーん(大爆発)

(第7話 おわり)

https://note.com/tarofukushima/n/n80f0606a816a

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